2022年LVMHプライズのファイナリストに選出されたアシュリン・パークが手がけるASHLYNは、造形的な遊び心に富んだデザインとゼロウェイストを掲げる姿勢で高い評価を得ている。新時代のファッション界を牽引するブランドに、日本でどこよりも早くフォーカスする
デザイナーAshlynn Park 自身がリコメンド ASHLYNの最新キー・ルック
2023年春夏コレクションの中から、SPUR読者に特におすすめしたいLOOKをセレクト
デザイナーとして母として、彼女が考えること Ashlynn Parkが語るASHLYN
ブランドを立ち上げたきっかけや母としての葛藤、服作りに向かう彼女のまっすぐな思いとは
韓国で生まれ、日本で学び、憧れのニューヨークへ
片袖のないボタンを掛け違えたようなジャケット、裏表を逆にしたと錯覚するスーツ、縫い糸を引っ張って作ったようなフリルのドレス。ASHLYNの服はデコンストラクション(脱構築)の試みによるモード感と働く女性たちに寄り添う知的さを兼ね備えて、アトリエを構えるニューヨークを中心にファンを増やしている。デザイナーのアシュリン・パークは昨年、業界で最も権威ある若手デザイナーの登竜門として知られるLVMHヤング・ファッション・デザイナーズ・プライズファイナリストに名を連ね、知名度を上げた。
彼女は韓国出身。子どもの頃からの夢である建築家を志し梨花女子大学に入学をしたものの、次第に自分自身の手を使ったものづくりに興味が移りファッション・デザイン科に転科。卒業後にチャレンジしたコンペにて獲得した奨学金で日本に留学し、東京モード学園、文化ファッション大学院大学でさらにファッションの基礎を徹底的に学んだ。卒業後はヨウジヤマモトのアトリエにパターンメーカーとして就職したのを皮切りに、名だたるデザイナーたちのもとで研鑽を積んでいく。
「ヨウジヤマモトではデザイナーとしての基本的な心得を学ぶことができました。当時のアトリエは私語と雑音は厳禁。張り詰めたムードでドキドキしながら働いていたけれど(笑)、心地いい緊張感があったからこそ多くのことを吸収できたと思います。 山本耀司さんからは服を作る上で、常に自問自答をするように教えられました。『このデザインは本当に着られるのか?』『このディテールは絶対に必要なのか?』と。そして『使い捨てにならないよう、質の高い服を作りなさい』ということも繰り返し言われました。次に働いたアレキサンダーワンでは、女性の体にフィットする服作りを習得しました。アレックスはドレーピング(立体裁断)で服を作る人だったので、私も独学で学んだのです。女性の体にぴったりとフィットする服が作れるようになったのは、あの頃ビヨンセやリアーナなど、多くのセレブリティのビスポークの服を任されたおかげだと思います。彼からのオファーによって学生時代から憧れていたニューヨークで働くようになったし、本当に感謝しています」
韓国生まれ。韓国の大学でファッションデザインを専攻後、日本に留学。学生時代には装苑賞を受賞したほか、ISSEY MIYAKEでのインターンを経験。卒業後はヨウジヤマモト、アレキサンダー・ワン、ラフ・シモンズ期のカルバン・クラインでパタンナー兼デザイナーとして活躍。その経験を活かし2019年には自身の名前を冠したブランドを設立、2021年のNYコレクションでデビューを果たした。5歳と7歳の娘を持つ母でもある。








