2023年ウィメンズ・プレフォール コレクションの開催地は韓国。世界中から熱視線を集める街で、フレンチメゾンが紡いだストーリーとは？ ショーの模様をレポート。
ソウルとパリ、二都市のエネルギーが循環する
舞台は、江南と江北を結び、漢江にかかる潜水橋（チャムスギョ）。SEVENTEENのミンギュに、LE SSERAFIMの全メンバー、NewJeansのヘイン、Stray KidsのフィリックスらK-POPスターのほかKo¯ki,やAwichなども集結し、ショーが始まる前から場の空気は華やいでいた。来場したセレブリティの一人、NCT 127のYUTAは「練習生時代にメンバーとサイクリングしていた、思い出の地です」と感慨深そうに語る。ルイ・ヴィトンは、ショーの舞台として、ソウルの人々の心の風景とも言える場所を選んだ。「月光レインボー噴水」で有名なこの地に集った、1600人あまりのゲストたち。どんな夢が見られるのだろう、とショーを心待ちにしている。
韓国の伝統的な農楽歌が響き渡り、宇宙船の船室のようなトンネルから、Netflixオリジナルシリーズ「イカゲーム」でおなじみのチョン・ホヨンが現れる。異なる時空を旅するような感覚。同作品のファン・ドンヒョク監督が演出のクリエイティブ・アドバイザーを務める。ソウルとパリ、二つの都市が生み出すインスピレーションが、橋の上を行き交う人々のように交差する。
ファーストルックは、青いバイカーズブルゾンに、トラぺーズラインのスカート。ニコラ・ジェスキエールが得意とするモダンなフレンチ・スタイルに、若々しいバイブスが息づく。ソウルに満ちあふれるパッションを象徴するかのように、赤い囲み目のメイクアップを施したモデルたち。川からの強風を切り裂くように、前へ前へと突き進む。誇張されたメタルバックルのベルト、スポーティなディテール、グラフィカルなパターン。韓国の伝説的なロックバンド・サヌリムや、女性グループのパールシスターズによるノスタルジックな曲と、エッジィなルックが意外な調和を見せる。
曲調が変わり、オーセンティックなフレンチ・スタイルが続く。ストライプのテーラリングのセットアップや、ダミエ柄のミニドレス、シャーリングのロングドレス。漢江からセーヌ川へとイマジネーションが飛躍する。最後は再び、ブルーの髪のソラ・チョイがエキゾチックな刺しゅうのシャツをまとい、締めくくる。フィナーレでは、橋梁噴水によるイリュージョンがゲストを包み込んだ。
ルイ・ヴィトンというメゾンの根幹にある「旅とロマン」を、ファッションに投影したニコラ・ジェスキエール。橋の上で垣間見たスペクタクルは、漢江の水の流れのごとく、絶えず揺れ動いていた。
【ルイ・ヴィトン】2023年ウィメンズ・プレフォール コレクションをプレイバック！
