買い物の達人は何を買う？ 【スタイリスト丸山佑香】の欲しいもの

まず狙うはメゾンのデニム

「昨今、メゾンがこぞって気合の入ったデニムを展開しているのにお気づきですか？　リュクスな素材を使っていたり、オートクチュールのルックにも登場したり。このムーブメントも含めて、メゾンのデニムが今秋一番気になります。グッチのデニムは、とにかくシルエットや色みがよく考えて作られている。一見ベーシックに見えますが、はくと美しさが際立つワイドストレートに、品をキープした色落ち。オーバーサイズのジャケットと、シャツでメンズライクに着こなしたいですね」　

キャメルカラーのビッグショルダーのジャケットに色褪せたデニムが、70年代のムードを漂わせる。インターロッキングGのベルトが全体をモダンにまとめる。

大人の＂ロゴ＂への探求心

「プリントＴシャツや柄ものなど、スタイルのはずしとなるプレイフルなアイテムは好きですが、ロゴを着ることは案外少ないんです。あまりにわかりやすいとちょっと恥ずかしいかな、と。でもミュウミュウのロゴは別。グラフィカルだからでしょうか？　大人でも堂々と着こなせると思うんです。ニットからタイツに至るまで全身にロゴをまとってもシック！」

なんてことないアイテムに、＂ちょっとの違和感＂を足すことで、印象的なスタイルに仕上げた今季のミュウミュウ。ツインニットにペンシルスカートというグッドガールな着こなしに、露わになったストッキングのウエストバンドが絶妙な毒っ気を添える。

ボトムこそインパクト主義

「トップスはシンプル、ボトムは派手に！　が私の中での定番バランスです。実は撮影日の私服も無地のＴシャツに柄パンツです。今季の私的＂No.1インパクトボトム＂は、ランウェイの画像を見たときから心奪われたプラダのスカート。プレーンなニットを合わせるバランスも最高。私ならヴィンテージのスウェットと着ると思います。ラフ・シモンズが入ってからのプラダは、メンズのテイストが色濃くなった気がして、ますます好きになりました」

ウェディングドレスに着想を得たスカートは、花のレースやコサージュがあしらわれ、繊細な魅力が光る。丸山さんもファンだと語るブランドのニットは、デイリーで出番の多い名品だ。

素材はリュクス、 デザインはカジュアル

「SPURの撮影で出合って以来、ロロ・ピアーナに心酔しています（笑）。最高峰の素材に、上品なデザインは、私の憧れ。特に、ニットポロやネルシャツのようなカジュアルなアイテム、なのに上質という素敵な裏切りが心憎い。心まで満たされるような＂気持ちのいい服＂へ投資することの大切さを最近実感しています」

チェック柄をきかせた、温かみあふれる大人のカジュアル。ニットポロは、この秋から登場するリサイクルカシミヤのシリーズ。ニットウェア生産で余ったカシミヤを利用して新しい服に紡ぎ直した独自のメランジェカラーもまた魅力。

大人の＂盛り＂にブローチを

「秋冬のニットスタイルを盛り上げるには、ブローチがおすすめ。ネックレスより目新しくて、上手くつけこなせたら、こなれた大人の仲間入りができそうですよね。ただ、展開が少ないのでなかなかちょうどいいデザインが見つからない！　今季出合えたジル サンダーのシルバーブローチは、まさに理想的。メンズアイテムならではのミニマルさで、どんなトップスにもモダンなテイストを添えます」

ニットの襟もとやストールにつけるだけで、モードな表情に。

バッグはメンズを選ぶ

「ウィメンズよりスマートで機能的なアイテムが多いので、バッグはメンズを選ぶことも多いんです。サイズが大きめなのも、仕事柄うれしいんですよね。ボッテガ・ヴェネタのバケツ型バッグは、高さがあって収納力も抜群。取りはずし可能なキャンバス地のポーチがついているのも心強い！」

存在感のある大ぶりなイントレチャート。美術品のように凛とした佇まいに、クラフツマンシップを感じる。

おめかしはヴァレンティノで

「ドレスアップの場面では、ヴァレンティノのモノトーンアイテムに信頼を置いています。華やかな甘さがありつつも、どこかピリッと辛い。このドレスは、裾のフリルが動いたときに抜群に可愛く、でもテーラリングのディテールがマニッシュな雰囲気も添える。ネクタイは個人的に好きなアイテムなので、今季のトレンドもうれしい！」

フェミニンとマニッシュ、アンビバレントな一着。

バランスのいい ザ・ロウのフラット

「靴なら、乙女心をくすぐるスエードのメリージェーンを狙っています。身長が高いほうではないのですが、ザ・ロウのフラット靴はそんな私でもバランスよく、大人っぽく履ける。アッパーの絶妙なボリューム感やカッティングだったり、ストラップの位置だったり。細部にちりばめられたこだわりのディテールに秘密がありそう」

深めの甲が今どき。ネットタイツと合わせればスパイシーにも履ける。

派手なリングで気分を上げる

「自分の視界に入るリングは、華やかなデザインを選んで見るたびにパワーをもらうのがこだわり」

エナメルに石をセッティングし、アートのように。

お気に入りはおかわりする

「南チロル地方出身のデザイナーが手がけるリアは、最近のお気に入り。黒のベストも持っていますが、白を買い足そうとしています。クラフト感のある花の刺しゅうが愛らしく、カットソーの上に羽織るだけでコーディネートに味が出ます」

オンリーワンを味わう

「サステイナブルな取り組みをするポートランドのブランド、アレクサ スタークは、過去にSPURのスタイリングでも採用したほど注目しています。古着にペイントを施すシリーズは、唯一無二なところにも惹かれます」

コートに大胆に描いた花がおちゃめ。

チェッカーフラッグ狂

「チェッカーフラッグ柄に目がなくて、見つけると思わず買ってしまいます。何故でしょう……『マリオカート』が好きだから？　今季見つけたのは、クラークスのワラビー。ブラウン系なので、柄ものでもいろんなスタイルに合うと思います」

ストーリーのある名作椅子

「家にもいくつか名作といえる椅子がありますが、今狙っているのはジャン・ルイ・ボナン作の通称＂Mon Oncle＂という一脚。ジャック・タチ監督の映画『ぼくの伯父さん』（’58）に登場するのが愛称の由来だそう。大好きなシャルロット・ぺリアンにもゆかりのあるデザイナーなんですよ」

店舗でしか出合えない香り

「オンラインショッピングは大好きだけど、お店でしかできない体験も大切だと実感。それが香りなら、なおさら。一本一本嗅いでみてお気に入りに出合いたいです」

ラブ、韓国

　「韓国のエンタメやカルチャーは、いつしかなくてはならない存在に。もちろんコスメも愛用。今一番欲しいのは、スタイリッシュなノンフィクションのボディケアアイテムです」

パジャマで運を上げる

「きちんとしたパジャマを着て寝たほうが運気が上がると聞いて（笑）。使い心地のよさに、周囲でも愛用者の多いテクラで、タオルとセットで揃えたいと計画しています！」