ファッションプロやアーティスト、各業界で活躍する人がときめくショップ図鑑。こだわりが詰まった店の魅力をのぞきたい
郡山/nep
ショップの服愛を感じる、スタイリング提案に心躍る!
「セレクトするブランドだけではなく、ショップが提案するコーディネートに胸がときめきます」と語るスタイリストの渡邊 薫さん。彼女が挙げたのは、福島県郡山市にあるセレクト&ヴィンテージショップ「nep」だ。
「モード好きの鉄板ブランドであるFUMIKA_UCHIDAやアーニーパロ、日本発のデザイナーズにヴィンテージをミックスしたスタイリングが本当に素敵なんです」と渡邊さんはこのショップが提案する着こなしについて語る。「服って持っているだけだと広がりがない。それだけではダメで、着こなしや使い方が大事だと思うんです。その服の持つ引き出しを知らないといけない。それを教えてくれるのが『nep』です。訪れるたびにインスピレーションをもらえます」
2020年独立。ファッション誌や広告で活躍中。メンズブランドへの造詣も深く、2024年は1月にメンズのパリコレクションに参加。気鋭のブランドの研究に余念がない。
浅 草/SNOW PLANT
いつの間にか時間がたっている、唯一無二のヴィンテージの魅力
ファッションラバーとして知られるお笑い芸人・ケンドーコバヤシさんの"ワクワクする店"は、奥浅草にあるセレクトショップ「SNOW PLANT」だ。店内はアメリカで買いつけた50〜60年代のヴィンテージのウェアやオリジナル商品、雑貨が所狭しと並ぶ。「出会いは北海道出身の友人を通じて。彼らはファッション系の仕事をしていて、そのうちの一人がかっこいいワッペンをつけた服を着ていたんです。この『SNOW PLANT』のオーナーのものと知って以来、通っています」と話す。「ほかのショップではお目にかかれないアイテムばかりなんです。あれもこれも、と見ているうちに気づけば時間がたっているお気に入りの場所。実は、店頭で販売されている札幌のアイスキャンディ『ICETACHE』目当てで遊びに行っている面もあるんですけどね(笑)」
大阪府出身。バラエティ「にけつッ!!」(読売テレビ)など、多数のテレビ番組に出演。また、映画『ヤッターマン』(’09)などにも出演し、俳優としても活躍中。業界きってのファッション、マンガ好き。
新木場/BAY Apt.
好きな服と出合うための旅に。その道のりすらも愛せる店にときめく
新木場の埠頭沿いに位置する木材加工工場の上にあるヴィンテージショップ「BAY Apt.」。「まさか新木場にこんな素敵なお店があって、服を買いに行くようになるとは思っていませんでした」と語るのはスタイリストの佐藤 里沙さんだ。
「いい意味で緊張感があるんですよね。服のセレクトが素晴らしいから、というのももちろんあります。選りすぐりの服が吊るされている様子とか、ギャラリーみたいじゃないですか。心地よいストイックさがあって、身が引き締まるお店って今はもうなかなかないですし」と佐藤さん。「胸を打つアイテムと出合うために移動する。その時間すらも愛おしいと思えるお店に心惹かれますね」
モード誌や広告を中心に、俳優やアーティストのスタイリングも手がける。大のアート好きでも知られる。気になる美術展を見るために日本全国旅をする。
仙台/STORE15NOV
自分の価値観を更新できる。知られざる世界が見られる音の園
「え、何これ!? 全然知らない!って思えるレコードにこんなにたくさん出合える店はここだけ」と熱烈に語るオカモトレイジさんが挙げたのは仙台のレコード・CDショップ「STORE15NOV」だ。オーナーの青山泰知さんが厳選する知られざる名盤の数々がラインナップする。「ライブやDJのイベントで日本の各都市に足を運ぶことが多いんです。できるだけその土地のレコードショップはリサーチして、訪れるようにしています」と、生粋の音楽オタクであるオカモトさんをも唸らせる。
「初めて知るミュージシャンばかりなので、ヒントは青山さんが書く各アルバムのレビューだけ。そのテキストから、どんな曲が詰まってるんだろう?って考えながら手にとるのが楽しい。ドンピシャなアーティストに出会える瞬間の喜びはすさまじく、何物にも代え難いですよね」
1991年生まれ、東京都出身。ロックバンドOKAMOTO’Sのドラマー。3月10日まで「出張!オカモトークAcoustic/Talk Tour 2023-2024」を全国各地で開催中。
池 袋/ガチャガチャの森 池袋サンシャインシティアルタ店
新しい"ワクワク"は子どもたちから
「何が出てくるかわからない、いくらお金をかけても欲しいものが出るかわからない部分に惹かれます」と話すのは、大のゲーム好きで知られるスタイリストの丸山 佑香さん。子どもたちと一緒に足繁く通うのが「ガチャガチャの森」だ。数百台のガチャ機が並ぶ店内で、"推し"アイテムを求めて奮闘する。「テーマが面白くて、高度なギミックが凝らされているものが多いんです。かつては子どものおもちゃだと思われていましたが、このクオリティを見ると大人向けに進化しているなと実感しますよ!」
スタイリスト。SPURをはじめ数々のファッションモード誌のスタイリングを担当する。ビーズジュエリーブランド「TON」も手がける。大のゲーム好きで、UFOキャッチャーにもお熱。
表参道/ánok
新しい自分に出会える香り
「ánokは、香りを通じて、自分が気づけなかった面を知ることができる場所」と語るのは、セレクトブティック「Sister」のオーナー長尾 悠美さん。パーソナルセッションでは、エッセンシャルオイルを試しながら、生活にまつわる悩みについて相談し、世界に一つだけの香りのアイテムを作ることができる。「対話と香りで、知らない自分の姿がどんどんクリアになっていくのが楽しい。セッションで作る、自分のためだけの特別な香りにも胸が躍ります」
渋谷・松濤のセレクトブティック「Sister」オーナー。国内外のデザイナーズブランドやヴィンテージアイテムのバイイング、展覧会グッズやオリジナルアイテムの企画を手がける。
新大久保/シディークナショナルマート 新大久保店
日常の中で旅気分を味わえるスーパー
「ここに足を一歩踏み入れるだけで、まるで海外に来たような気分になれるんです」と話すのは、「out of museum」の店主・小林 眞さん。「シディークナショナルマート」は新大久保のイスラム横丁に位置する南インド産の製品を扱うスーパーマーケットだ。「本場のハラル食品を堪能できるだけでなく、多様な人種の憩いの場になっているのも魅力。夏場はマンゴーが振る舞われ、近所の人と交流したり、夜はお酒を飲みながら出会いを楽しんだり。コミュニティスペースになっているんですよ」
長野県生まれ。東京・羽根木にあるアトリエ兼ギャラリーショップ「out of museum」オーナー。旅好きの小林さんが出合った古今東西のアーティスティックなプロダクトを展開する。
軽井沢/発地市庭
妄想をかき立てるフレッシュな野菜に出合う
数々の広告や雑誌で活躍するフードディレクターのKAORUさんが選んだのは長野県軽井沢の農産物等直売施設「発地市庭」。
「見たことがない野菜や果物が並んでいる様子に胸がときめきます。新鮮で、大きく、色も鮮やか。農家の方の愛を一身に受けて育ったのがすぐにわかるんです。野菜を見ると、"この料理に使ったらおいしいかな?""この撮影のときの小道具にしたら素敵かも!"と想像してしまいます」
「Dress the Food」主宰。広告や雑誌、CMなどで幅広く活躍する。さまざまなアーティストと食でコラボレーションした雑誌『shichimi magazine』のディレクションも担当する。