Kis-My-Ft2 玉森裕太も来場！ ドルチェ＆ガッバーナの豪華絢爛な展覧会がミラノで開催中

フロランス・ミュラーによるキュレーションに期待が高まる！

ドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナの“ハート”に生まれたアイデアが、“ハンド”（手仕事）によって形になった、アルタ モーダ コレクション。これまで顧客に向けてのみ発表される最高峰のクリエイションとして位置づけられてきたコレクションだ。そんな12年間にわたる芸術的なコレクションが、デザイナーたちのインスピレーション源をテーマとしたゴージャスな空間に展示されている。キュレーションを務めたのは、ファッション史家のフロランス・ミュラー。「ランウェイでは美しいコレクションルックはあっという間に通りすぎてしまうけれど、この展覧会ではゆっくりと近くで、服作りに携わった工房の職人たちの匠を見ることができるし、デザイナーのパッションも感じられるはずです」とフロランス。

今回の見どころのひとつは、ドルチェ＆ガッバーナをインスピレーション源とした、現代アーティストとのコラボレーション。エキシビションが開催されたパラッツォ・レアーレのエントランスで出迎えるのは、フェリーチェ・リモザーニによるインスタレーション。今回の展覧会のタイトルにもなっている「Heart」「Hand」をキーワードに、動く手が浮き彫りにされたデジタルアートが会場へと誘う。
中に入ると、大階段には大型のサイネージに映し出された5人のデジタルアーティストによる現代的な解釈の作品が続く。ドメニコ・ドルチェ、ステファノ・ガッバーナの2人は、自分たちの世界を現代のビジュアルコミュニケーションを通じてどう伝えられるか、全権を委ねられた新しい才能たちによるブランドの解釈に見応えを感じているという。

10の部屋に分けられた、ドルチェ＆ガッバーナの世界へ

アーティスト、アン・ドゥオン制作の絵画が飾られる第一の部屋「ハンドメイド（Handmade）」からはじまり、無数のシャンデリアが煌めき、ガラスの割れる音により異世界へと導かれる「ガラス工芸の芸術と技術（The Art and Craft of Glassworking）」の部屋へ。この部屋のテーマはクラフツマンシップ。ドルチェ＆ガッバーナの作品に影響を与え、インスピレーション源となってきたヴェネツィアン・ガラス職人たちの芸術的な技が、この展覧会のために制作された豪華なシャンデリアとなって披露されている。展示のコレクションは、複雑なクリスタルの刺しゅうが特徴的なアルタ モーダと高級仕立て服のアルタ サルトリア、煌びやかなジュエリーに心を奪われるアルタ ジョイエッレリアの貴重なコレクション。ベルサイユ宮殿の鏡の間を彷彿させる鏡張りの壁によって、ガラスの輝きが強調された空間に。

2人のデザイナーにとって尽きることのないインスピレーション源といえば、ルキノ・ヴィスコンティ監督作品の『山猫』（1963）。映画のタイトルがそのまま用いられた「山猫（The Leopard）」の部屋へ足を踏み入れると、そこはサリーナ公爵が主催する、パレルモの屋敷の舞踏会！ 水彩画タッチのプリントドレスやブラックのレースドレスなど、ドルチェ＆ガッバーナらしいシチリアの女性像を表現したコレクションが並ぶ。

シチリアの文化と伝統から広がる、色彩と装飾豊かな独自の世界

続いて現れたのは、シチリアンブラックとバロック様式の華麗なゴールドで表現された静かで威厳のある空間。「献身（Devotion）」がテーマのこの部屋は、クラフツマンシップや美に対するドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナの無条件の“献身”が表現されているという。会場にはバッグのモチーフとしても有名なハート形の“ディヴォーション”がシンボリックに輝いて。

鮮やかな色彩が飛び込んでくる「シチリアの伝統（Sicilian traditions）」の部屋へ。シチリアといえば、2人のデザイナーにとって特別な場所だ。その土地だけにとどまらず、伝統や文化からもインスピレーションを得ているという。職人の手で描かれたシチリアの伝統的荷車、カレット（なんと2人の私物だそう！）とその隣には装飾を全身にまとったアルタ モーダが、これ以上ないほどの賑やかさで佇んでいる。壁も床も複雑なマヨリカ柄で彩られており、床のタイルにおいては職人がひとつずつ手描きし、仕上げは会場で行ったというこだわりよう！

シチリア・バロックの彫刻家、ジャコモ・セルポッタが手がけたサンタ・チータ祈祷堂の回廊へと誘われる「ホワイトバロック（White baroque）」の部屋。シチリア・バロックを象徴する複雑なデザインや、アラベスク模様、天使、純白の花々などをモチーフに取り入れたアルタ モーダが、白亜の世界に融合し、その神聖な美しさは言葉を忘れるほど。

イタリアの劇場を彷彿させる「オペラ（Opera）」の部屋では、オペラの登場人物に着想を得たバラエティ豊かなコレクションが圧巻。オペラはファッションと同じように舞台美術家から衣装デザイナーまで、制作に携わる多くの職人たちによって実現するもの。それゆえドメニコとステファノにとって、おおいに想像力を掻き立てる世界なのだそう。また、オペラに登場する主人公はドルチェ＆ガッバーナのミューズでもあり、それだけ2人のデザイナーにとって重要なインスピレーション源だということを実感させられる。

その他、「アトリエ、オーナメント、ボリューム（Ateliers, ornaments and volumes）」「建築的、絵画的（Architectural and pictorial）」「神性の夢（Dream of Divinity）」の部屋もそれぞれ個性が際立つ空間になっており、時間を忘れてドルチェ&ガッバーナの世界に没頭できる。