丸山佑香(以下、丸山) (池崎さんのパワーフレーズシャウト&ポージングにしばらく感極まった様子で)池崎さんにスタイリングについて叫んでいただくのは念願だったんです。感激しました!
サンシャイン池崎(以下、池崎) (覇気が抜けたオフモード、YouTubeでおなじみの「ゼロシャイン家崎」のテンションに戻り)ありがとうございます、迫力のあるボンタンと、攻撃力が高そうな靴ですね。
丸山 ゲリラ豪雨にも対応できそうですよね。ハードな足もととは逆に、ワンショルダートップスには大きなリボンがついていて可愛らしく、シルクの艶で高級感も感じます。
池崎 ほー、上品ですね〜。
丸山 そうですね、アンバランスな感じがモードなムードを高めると思います。
池崎 メリケンサックを隠し持っていそうだ。
丸山 それもありです。暑さに対抗するならスタイルに強さを忍ばせることが必要です。
池崎 なるほど、さすがだなあ……。
丸山 デニムのセットアップです。池崎さんへのオマージュで、白いタンクトップとブルーのショートパンツにしました!
池崎 デニムの"デニコ"、脚を見せていてきれいですね。「ななめ45°」はトリオの芸人なんですけど、ネタの最後に手を斜めにするポーズをやるんです。彼女の脚の角度、まさしくそれと同じ。彼女にもこのスタイリッシュな装いでコントをしてほしいですね。
丸山 "デニコ"のオーバーシャツは彼氏のものを借りたようなサイジングで、立つとミニ丈のボトムが隠れて見えなくなるバランスが今っぽいんです。最新の夏の肌見せテクニックとしてこの上下のメリハリが大事です。
池崎 ああ、めちゃくちゃいいですね。彼氏のデカシャツ着てるみたいな。袖が萌え袖っぽくなっているのも、素敵です!
池崎 ジャスティスポーズしてくださってますね。なるほど……全部同じ素材と柄なんだ。
丸山 おばあちゃんが編んだみたいなクロシェニットは、夏になると着たくなるアイテムのひとつです。風を通して着心地がいいので、涼やか。海やプールにも行きやすいです!
池崎 楽しそうな顔してますもんね。サバンナで「しまうまウケる〜」って言っていそう。
丸山 真夏だとどうしてもカラフルにしがちですが、しまうま柄のモノトーンにすることで、モダンに昇華されて幼くならないんです。
池崎 全身ってところもいいっすね!
丸山 はい、どうせなら全部しまうまで!
池崎 わかります。しまうまが一番可愛いっすね。めっちゃ可愛い、しまうまが一番です。
丸山 あれ、飼っていらっしゃるのは猫ですよね……?
池崎 いやあ、しまうまが一番っすねえ〜。
池崎 パンツの上にスカートをはいちゃいましたか、これは欲張りだなぁ……。
丸山 「カレーもラーメンも」っていう命名は完璧ですね。スエードのボトムの色も……。
池崎 ね、カレーっぽいですね。
丸山 髪の毛もおいしそうな質感ですし。
池崎 「どっちもはいたっていいだろう、なんだこのやろう」って顔してますよね。上はノースリーブで潔い。おしゃれっすね。
丸山 暑い時季にダブルボトムをおすすめする理由はそこなんです。トップスをノースリーブにすれば涼しさをキープできるけど、レイヤードで上級者にも見える。
池崎 おお、なるほど!
丸山 あえて下だけにポイントを持ってくることで、すごく洒落感が出ると思います。
池崎 それを聞くともう1枚くらいはけそうだ。僕だったら、ダブルボトムの上からさらに袴をはいて全部覆い隠しちゃいますね。見えないファッション、みたいな……。
丸山 真夏にそれは忍耐が必要ですね!
池崎 ファッションは我慢っすからね。
丸山 (目を輝かせて)初心に帰る思いです!
池崎 可愛い。これはサファリのレンジャー的な……。
丸山 まさにそのイメージでスタイリングしております。かごやサンダルの夏小物に、あえてアンバランスな花柄のタイツを加えたのもポイントです。
池崎 ヒールもギャップがありますね。この服、着る人によっては「シワついてるよ」って言われちゃう感じですか?
丸山 素材がパリッとした制服風だと、サマースタイルにふさわしい抜け感が出なくなってしまいます。この力の抜けたパジャマっぽさとタイトなシルエットのバランスに、プラダらしさが加味されているんです。
池崎 いいっすね! 夏はこれで上野動物園や富士サファリパークに行ってほしいです。サバンナ、遠いですから。
丸山 ムツゴロウさんのように動物と戯れてほしいです!
池崎 おぉ! この透けているスカートの下には何を着ているんですか?
丸山 ハイレグのレオタードです。「透明性」がキーワードでもある今回のコレクションでは、シアー素材が象徴的でした。猛暑のオフィスでも涼やかに過ごせそうでしょう?
池崎 確かに。京都で食うゆばの刺し身みたいに、儚いのに滋味深い感じがしますねぇ。
丸山 逆に、上半身はパワーショルダーのジャケットを。センシュアルさと意志が同居する、女性の大胆な通勤ルックをイメージしました。
池崎 攻めてるなあ。上司がこの格好で朝礼していたら、かなりしびれますね。
丸山 池崎さんは部下の設定ですね(笑)。
池崎 はい、叱られたらヒヤッと背筋が伸びそう。令和のクールビズですね。
丸山 ポロシャツとスカートの間からショートパンツを見せて、"はみパンツ"しています。
池崎 へえー! スポーティですね〜。
丸山 ジャージ素材なので、炎天下にハイテンションで汗をかいても快適です。
池崎 へそから、何かがあふれ出ていますね。
丸山 紐が、しかも2本もびよん、ってね。
池崎 はみパンの赤とも相まって、内臓が飛び出してくるほどの躍動感と言いますか。
丸山 いろんな意味でフレッシュと言えるのかも(笑)。ここ数年のミュウミュウは、元は男性が着るイメージがあったスポーツウェアを女性のファッションに落とし込んできました。だからお腹からいろいろ飛び出してきちゃうような、生き生きとしたイメージが湧いてくるのは、合ってると思います!
池崎 やはりそうですか、健康的だ!
丸山 最後は池崎さんの服装をモードに落とし込むとこうなる、というスタイリングです。
池崎 池崎を意識しているのか……でかいTシャツにタンクトップを着ているんですね、絹ごし豆腐みたいに真っ白で、涼しげで、いいっすね。
丸山 猛暑を爽やかに乗り越えるタンクトップのようなリアルな服を、すごく上質に仕立てる。そうしたクワイエットラグジュアリーのトレンドの中心にあるのがザ・ロウなのですが、ショーでこのルックを見たとき、ああ、池崎さんにモードがやっと追いついてきたんだなあ、と感じまして(笑)。
池崎 なるほど、時代の最……最先端(噛む)。
丸山 私はそういうふうに見ていました。
池崎 ほー、そうっすか……だとしたら僕は、この服にはぜひ名字を書いてほしいですね。あ、ゼッケンがいいかな、ゼッケンつけてほしいです!
丸山 それはいいですね! ちなみに池崎さんはどうやって今の衣装にたどり着いたんですか?
池崎 ピン芸人になったときに、家の中をあさっていたらタンクトップが出てきて、元はジーパンだったんですけど短パンになって。その後、ネタの一環で、胸に「池崎」って書いたタンクトップを作って……それ以降はずっとこれっすね。なぜかは自分でもあまりわかっていないですけど。
丸山 この衣装で池崎さんが入ってきた瞬間に、スタジオ内のテンションがぶわっと上がって、服の力ってすごいな!と思いました。衣装自体のインパクトはもちろんですが、カメラの前で目にグッと力が入って。池崎さんの存在感の、目力が占めるパーセンテージにも感激しました。
池崎 確かに、普段のゼロシャイン家崎から、この衣装でサンシャイン池崎になって、一番変化するのは目かもしれません。あとは体のどっかしらに力を込めるとか、スイッチが入っちゃいますね。
丸山 ああ、スイッチをオンオフする役割って、洋服にはすごくあると思います。やっぱりモードと池崎さんとはつながるんだな。激しい暑さにも負けない、ファッションが持つ力を目の当たりにしました。ありがとうございました!
池崎 こちらこそ、ありがとうございました!