【ドルチェ&ガッバーナ】最高峰コレクションを伝統と神秘の島サルデーニャ島で発表

2024年6月30日から7月4日まで、ドルチェ&ガッバーナの最高峰コレクションの発表イベントが、イタリアのサルデーニャ島で開催された。「アルタ ジョイエッレリア(ハイジュエリー)」、「アルタ モーダ(高級仕立婦人服)」、「アルタ サルトリア(高級仕立紳士服)」の発表と、その前後に開催されるオープニングとクロージングのパーティ。もはや「ドルチェ&ガッバーナ・ファッションウィーク」と呼べるほどの、絢爛豪華なイベントが盛りだくさんの華やかな祭典だ。

2012年にシチリア島のタオルミーナでの「アルタ モーダ」デビューコレクション発表以来、イタリアの魅力あふれる土地を選んで開催してきた最高峰コレクション。今回は、自然の神秘的な力に満ちたサルデーニャ島が舞台に選ばれた。さまざまな異民族が通りすぎて、土着の文化と融合して形成された独自の伝統文化を持ち、豊かなクラフツマンシップが継承された魅力あふれる島だ。

2024年6月30日から7月4日まで、ドルチェ&ガッバーナの最高峰コレクションの発表イベントが、イタリアのサルデーニャ島で開催された。「アルタ ジョイエッレリア(ハイジュエリー)」、「アルタ モーダ(高級仕立婦人服)」、「アルタ サルトリア(高級仕立紳士服)」の発表と、その前後に開催されるオープニングとクロージングのパーティ。もはや「ドルチェ&ガッバーナ・ファッションウィーク」と呼べるほどの、絢爛豪華なイベントが盛りだくさんの華やかな祭典だ。

2012年にシチリア島のタオルミーナでの「アルタ モーダ」デビューコレクション発表以来、イタリアの魅力あふれる土地を選んで開催してきた最高峰コレクション。今回は、自然の神秘的な力に満ちたサルデーニャ島が舞台に選ばれた。さまざまな異民族が通りすぎて、土着の文化と融合して形成された独自の伝統文化を持ち、豊かなクラフツマンシップが継承された魅力あふれる島だ。

深い学び、伝統文化や職人とのふれあいから生まれる、唯一無二のコレクション

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「アルタ サルトリア」のショーのプロローグに登場した、一大祭「サンテフィージオ祭」の行列。民族衣装が美しい。Photo by Zoe Joubert

ドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナの、最高峰コレクションのデザインワークは、彼ら独自の稀有な手法だ。彼らはまず開催地について学ぶことから始める。本などの資料を当たるのはもちろんのこと、現地を訪れて伝統文化に直接触れ、職人と話して技を学び、それをコレクションにどう取り入れるかを考えるという、長期にわたる深い仕事だ。

サルデーニャ島は、その民族衣装の豊かさで知られる。ドメニコはその中でウールのスカートの細かいプリーツに目を留め、職人にその製法について尋ねた。「これは、布を濡らして小さなプリーツを作り、きつく巻いて、1年間水に漬けて作るものだ。今回のコレクションには間に合わないなあ」と職人は答えたという。 また、型紙を使わずに布にギャザーを寄せながら仕立てるブラウスなど、「手仕事の習得に気の遠くなるような時間がかかるクラフツマンシップ」がサルデーニャ島には多く存在する。このような悠久の時を感じさせる職人技について楽しそうに語るデザイナーふたりの会話には、島のクラフツマンシップへの愛情と尊敬があふれていた。

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ドメニコが惚れ込んだ、繊細なプリーツワーク。Photo by Zoe Joubert

彼らはサルデーニャ島の特徴として「コントラストの強さ」を挙げる。「荒々しい自然と、豊かな装飾の民族衣装とのコントラスト。荒野の中に、突然予期しないような巨大遺跡や建造物が出現し、その意外性に、ワオ!と歓声を上げてしまうくらい」。彼らのこの島への深い造詣が、今回のコレクションにどう反映されているのか楽しみになってくる。

古代遺跡と現代アートの融合。過去と現在をつなぎ、時空を超える「アルタ モーダ」

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「アルタ モーダ」のショーのフィナーレ。©DOLCE&GABBANA

「アルタ モーダ」のショー会場は、島の南端の岬にある紀元前8世紀を起源とする古代遺跡ノーラ。デザイナーのふたりは、「会場探しのためにこの遺跡を訪れた際、まるでデ・キリコの絵に出てくる広場のようだと感じた」と語る。そこに、アメリカ人現代アーティスト、フィリップ・K・スミス Ⅲが、今回のショーのために制作したインスタレーション「ノーラ ミラージュ」の、何本もの巨大な鏡張りの柱が斜めにそそり立つ。

「過去と現代をつなげたかった」というドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナの試みは見事に成功。鏡には、海と遺跡、そして柱を縫うように歩くモデルたちが映り、時が潮流となって流れ込むような、ドラマティックで不思議な空間を生み出した。爽やかな海風、鏡に反射する黄昏の光に包まれ、サルデーニャ島の持つ神秘的な力が宿った瞬間だった。

意外! シンプルでエレガントな「アルタ モーダ」。島の伝統へのオマージュも

サルデーニャ島について深く学び、理解したふたりがデザインした今回の「アルタ モーダ」。サルデーニャ島のフォークロア的な要素が盛りだくさんのコレクションを想像していたが、意外にも、エレガントでシンプルなドレスが目立つ。もちろん彼らがリスペクトするサルデーニャ島の伝統的手仕事は、要所にちりばめられている。

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美しいカッティングのシフォンのドレスを、フィリグリー細工のコルセットやボリュームのあるネックレスが覆うルック。©DOLCE&GABBANA

ステファノ・ガッバーナは、「ふたりで、このコレクションはシンプルなものにしようと決め、エレメントを箇条書きにしてコレクションの内容を決めていった」と説明する。「色は黒と白が中心のシンプルな服。それをジュエリーの額縁で飾っていくようなイメージ」とドメニコ・ドルチェ。ローマのクチュリエ「アトリエ・カローザ」、そして60年代のエレガンスからインスピレーションを得た、シンプルで構築的なシルエットもある。「当時のエレガンスは、着る人の存在そのものや所作も備わってこそ完成していた。また文化や服へのリスペクトもあった。今、SNSで“美しいもの”は簡単に目にできる。しかし、本物の“永遠に美しい服”を目の当たりにした時に感じるのは『美しいものは美しい』という確信なんだ」とドメニコは語る。

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豊穣のシンボルである乳房の形のフィリグリーをあしらったドレス。©DOLCE&GABBANA

ショーの冒頭に登場したのは、優れたカッティングの流れるようなシフォンのドレスを金のフィリグリー細工(糸のように細くした金や銀を手作業で編み込み、レースのように複雑で美しい模様を作る技法)のコルセットやボリュームのあるネックレスが覆うルック。豊穣のシンボルである乳房の形の大きなフィリグリーをバストにあしらったドレスは、神秘的な母性やセンシュアルさを醸し出す。民族衣装のカラフルな花の刺しゅうを彷彿させる、極太の毛糸の花が咲き誇るカラフルなドレス、同じく民族衣装に見られる白いブラウスをインスピレーション源とし、職人の手で独特のギャザーやドレープを生み出したレースの白いドレスなど、島の伝統にオマージュを捧げたルックも登場した。

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熟練の手仕事によって仕立てられる、民族衣装の白いレースのブラウスを想起させるドレス。©DOLCE&GABBANA

エンディングは、モデルが自由自在に動き回る異色な演出。まるで古代遺跡と服、私たちが生きる今が、時を超えてダイナミックに融合するような感覚に包まれた。

世界中からセレブやVIP顧客が集結。毎晩繰り広げられるコンサートやパーティも第一級!

このドルチェ&ガッバーナのイベントは、世界中のVIPが「アルタ モーダ」を着てイベントを楽しむ場でもある。VIPたちも、ショーを観ながら「次は何を着ようかしら?」と、真剣な表情だ。

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ショーに来場したATEEZのサン。 Photo by Marco Bahler

世界から来場するセレブリティに会えるのも「アルタ モーダ」の楽しみの一つ。今回も、ATEEZのサン、ナオミ・キャンベル、ハリー・ベイリー、ルシアン・ラヴィスカウント、レオニー・ハンネ、ロージー・ハンティントン・ホワイトリーなど、数々のセレブリティの姿が。

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ショーに来場したナオミ・キャンベル。 Photo by Marco Bahler
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クロージングパーティでパフォーマンスを披露したケイティ・ペリーと、デザイナーのドメニコ・ドルチェ(右)とステファノ・ガッバーナ(左)。Photo by Marco Bahler

連日繰り広げられるパーティでは、クリスティーナ・アギレラ、ケイティ・ペリー、新鋭ピアニストのミカ・マクローリン、ドラァグクイーンのトリクシー・マテル、ヴァイオレット・チャチキら、一流のアーティストがコンサートを開催し、夜更けまで盛り上がりを見せた。

サルデーニャ島の伝統的なファット・ア・マーノ(手仕事)にフォーカスした「アルタ ジョイエッレリア」

「アルタ ジョイエッレリア」の発表イベントは、今回のメイン会場となった高級リゾート「フォルテ・ヴィレッジ・リゾート」で開催された。スターやサッカー選手、政治家などがバカンスに訪れる、ビーチサイドの一大リゾートだ。

発表会場の広場は麦の穂で埋め尽くされ、田舎の農園を訪れたような、ほっとしたくつろぎを感じさせる。その会場内に、ガラスのショーケースが点在。その中に燦然と輝くハイジュエリーが飾られている。

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「アルタ ジョイエッレリア」では、豊穣と団らんのシンボル「パン」がハイジュエリーに。Photo by DSL Studio  Melania Dalle Grave, Piercarlo Quecchia

今回のジュエリーは「金のフィリグリー細工」がメインテーマだ。そのほか、「パン」を装飾にした作品もある。「え?パン?」と思ったでしょう。でもパンなんです。サルデーニャ島では、祝祭儀式のために、細かい細工で花や鳥をかたどったパンが作られる。それと同じパン生地を現地の女性たちが細やかに細工し、焦げ目を付けないように焼き上げたものに、樹脂を染み込ませて形状を安定させて、ジュエリーのパーツとして使用。宝石と組み合わせ、ゴージャスなハイジュエリーに仕立てた。パンは豊穣と団らんのシンボルであり、島の暮らしとも強く結びついている。そこにも、デザイナーふたりの、島の暮らしへのリスペクトを感じることができた。

同島の古代伝説を起源とする「フィリグリー細工」は、糸のように細くした金や銀を手で編み込み、繊細な美しい模様を作る伝統的技法。それに宝石を組み合わせた華麗なネックレスやピアスは、ため息が出るほどの美しさだ。

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細やかなフィリグリー細工も、ドルチェ&ガッバーナが手がけると、繊細かつ大胆に。Photo by DSL Studio  Melania Dalle Grave, Piercarlo Quecchia

“イタリアへの愛”を根底に、イタリア各地の文化や工芸、クラフツマンシップを、クリエーションを通じて世界に発信するドルチェ&ガッバーナ。その姿勢は世界で唯一と言えるだろう。「職人技はイタリアの誇り。自分たちは、もはやお金のためではなく、愛のために仕事をしている。コレクションづくりとは、コンセプトや哲学を唱えることではない。それを着る人のために、心でコレクションを作ることが大切なのだ」と、ふたりのデザイナーは満面の笑顔で語った。

ドルチェ&ガッバーナ ジャパン
www.dolcegabbana.com
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