世界で活躍する8人の視点。デザイナーが未来に紡ぐもの
一流のモードの作り手たちは今どんなことを考えて、何を見据えているのか?クリエイティブな才能を発揮し続ける8人に、未来への希望を聞いた。ここではTOGAのデザイナー、古田泰子さんのインタビューをお届け。
世界で活躍する8人の視点。デザイナーが未来に紡ぐもの
一流のモードの作り手たちは今どんなことを考えて、何を見据えているのか?クリエイティブな才能を発揮し続ける8人に、未来への希望を聞いた。ここではTOGAのデザイナー、古田泰子さんのインタビューをお届け。
エスモードジャポン/エスモードパリでファッションを学び、1997年にトーガを設立。2014年よりロンドンで発表。多様なカルチャーを横断しながら数々のアーティストと協業するなど、柔軟で時代に合ったアウトプットも注目を集める。
ブランド創立30周年も間近。「地に足をつけ、自分たちが本当にいいと思ったものをコツコツと作り、それをお客様が店頭やウェブストアで買ってくださって完結する。この流れだけはずっと変わらない」と古田泰子。一方で発信のありようは著しく変わった。
「SNSが登場してからプレス部門の仕事量は激増。Instagramの公式アカウントに、オンラインジャーナル、ウェブストアの商品説明。情報消費の速さも相まって、ビジュアルだらけ。ブランディングに関わることは私もすべてチェックするので、洋服を作った後のビジュアル作りも大きな仕事になってきました。ポジティブに考えると、自分たちの力で徹底した自己発信ができるのはとてもいいことですが、やっぱり大変ですね」
2024年春夏シーズンには、性別の枠を取っ払ったラインを「トーガ トゥ(TOGA TOO)」と名付け、リローンチした。
「ユニセックスやジェンダーレスとは違う言葉を探しました。『TOGA TOO』は難しくない呼び名で温かみもある。Tシャツだけではなく、デニムやトレンチコートのようなベーシックなアイテムを展開しています。始めるまでは、デザイン性はもちろん、サイズレンジに関しても大変な取り組みでしたが、性別や体型、生活様式など、着るさまざまな人について一度立ち止まって考えることはとても面白い」
着る人が主役である服作りが概念だけで終わらず、実際に袖を通して体感できることがトーガの魅力だ。
「心地よい状態を隠さず、ありのままの自分でいてください」と願いながら作り上げるコレクションには、唯一無二のエンパワメント力が宿る。
「購入してくださった方にとって、愛着のある一着になるような丁寧さで送り出したいという気持ちは変わりません。ただ、その後のことについても少し考え始めています。年を重ねたり、環境が変化したりすると、どうしても着なくなる服が出てきます。それを自分たちが愛着を持って回収し、手を加えるというシステムを作りたい。過去のアーカイブスであると認定したタグをつけたり、ボタンが取れていたらつけ替えたりとアップサイクルして、また送り出す。そうすることで、新品の服を買う必要がないという思想を持つ若い世代の人たちにもブランドを紹介できるとうれしいです。まずは今年3月にオープンした青山店で、世代を超えてファッションが交差する場所から始めてみたい」
2025年春夏コレクションはコロナ禍以降初めて、久しぶりにロンドンファッションウィークに参加。サロン形式でのショーを発表する。
「エンターテインメントの力があまりにも大きくなったファッションの世界とトーガはかけ離れている。でもフィジカルでショーを見せること、自分たちもそこに力を集約して発表できることはいいこと。ロンドンからまた、トーガらしく始めたいと思っています」