茜色[ madder red ]
夕暮れの空のような赤色。沈みゆく夕日を夜の闇が包み込むように、少し暗さを帯びている。数々のブランドのランウェイを彩った、今季のトレンドカラーのひとつ。
アイコニックなホースビットをあしらったバレエシューズは、ロマンティックな足もとを演出。
アニマルパターン[ animal pattern ]
ゼブラやレオパードなど、一点投入するだけで主役級の存在感を放つ動物の柄。2024-’25年秋冬コレクションでは、アウターやトップスで柄を重ねたり、異なる模様や素材をMIXする着こなしが目立った。
ビスコース素材のジャカードニット。体のラインに品よくフィットする。
シャギーな質感の起毛ウール地で、軽く暖か。ビッグシルエットにゼブラ柄で、インパクト抜群だ。
ウエスタンディテール[ western detail ]
アメリカ西部にルーツを持つ。ウエスタンブーツの彫り模様やフリンジ、スエードなど、カウボーイ風ファッションに見られるディテールのこと。ビヨンセの最新アルバム『カウボーイ・カーター』に代表されるように、カルチャーシーンでも盛り上がりを見せている。
ブランドの代名詞「アルファ ハンドバッグ」も今季は、スエード生地に長めのフリンジをあしらい登場。
オールドマネー[ old money ]
代々莫大な財産を所有する階層を表す言葉。これに対して新富裕層をニューマネーと呼ぶ。ファッションでは、上流階級がまとっていたような、トラディショナルな装いを指す。仕立てのよいボタンダウンシャツやブレザーや乗馬スタイルなど、優雅な暮らしを彷彿とさせる。
アメリカントラッドを象徴するラルフ ローレンこそ、このトレンドのお手本だ。乗馬で着用するハッキングジャケットにカシミヤセーターを合わせ、足もとも乗馬ブーツで揃えて。
グラニーチェック[ granny check ]
「グラニー」とは、おばあさんという意味。その言葉通り、どこか昔懐かしく、素朴な味わいのチェック柄のこと。デザインに英国的な要素を取り入れたブランドが多かった今季は、タータンチェックが再びトレンドに躍り出た。
裾がプリーツになっている膝丈のドレス。ロイヤルブルーとグレーを基調にした色合いは、ノスタルジックな柄を洗練された印象へと導く。
苔色[ moss green ]
力強さと優しさが共存する深い緑色。今季はテクスチャーにおいても、まるで苔むした大地のようにふわふわの生地を使ったアイテムが多数登場している。
もこもこの起毛素材を使用した、まさに苔玉のような質感。ころんとしたフォルムが愛くるしい。
サイハイブーツ[ thigh high boots ]
脚のつけ根まで届きそうなほどのスーパーロングブーツ。Y2Kトレンドの中で数年前からニーハイブーツが流行していたが、今季エクストリームに長い、サイ(腿)を覆う丈に進化した。
ぴたりとフィットするシルエットとストレッチのきいた素材で、まるでソックスのように履くことができる。着脱可能な足もとのフェザーがセンシュアルな魅力を際立たせる。
ジェントルラグジュアリー[ gentle luxury ]
ブルネロ クチネリが生み出した新潮流。「ジェントル」とは、"親切な""優しい"の意味。本質的な美を追究し、自身を含めた森羅万象を尊重することで生まれる、内面の満足感を表す言葉。
上質なカシミヤを100%使用し、究極のシンプリシティを追求したニット。とろけるようになめらかで、心の内側まで満たされる。オーストリッチフェザーをあしらったパンツは、一歩踏み出すとラメがきらめく。日常からパーティシーンまで、幅広いオケージョンになじむ。
シンチウエスト[ cinched waist ]
きつく締めつけるという意味の「シンチ」。ウエストをキュッと絞った、砂時計型の美しいラインを描くシルエットのこと。2024-’25年秋冬シーズンは、ブレザーでの提案が多く見られた。肩のラインはパワーショルダーで強調している点もポイント。着る人にパワフルなフェミニニティを宿す。
ピークドラペルでよりフェティッシュな印象に。
スウィンギングパリ[ swinging paris ]
台形のミニスカートやボックス型のシルエットなど、フレンチブランドによる60年代の再解釈が盛んだった2024-’25年秋冬シーズン。現代に蘇ったこの流れはまさに、’60sカルチャーを象徴するムーブメント"スウィンギング ロンドン"ならぬ"スウィンギング パリ"!
スクエアシルエットのフォルムが、まさに60年代風。帽子は、当時流行していたクロッシュハットをオマージュ。
スーツトラウザー[ suit trousers ]
スーツに使用される素材を採用した、テーラードパンツ。オフィスルックが新トレンドとして浮上する中、デイリーに取り入れやすいアイテムとして注目を集める。メンズスーツのような、ワイド幅を選ぶのが旬。
トラウザーは、グレーを選ぶとよりスーツルックらしさが際立つ。このパンツは、森林認証を受けた繊維と、リサイクル糸を使ったエコテックス素材を採用。美しい落ち感とナチュラルな着心地を楽しめる。
スキーコア[ ski core ]
デザイナーたちがこぞって注目している、アプレ(アフター)スキーファッション。スキーウェアのテイストを取り入れ、スノーリゾートのリュクスな雰囲気が漂う。ゲレンデでも街中でも映えるデザインが特徴だ。
鮮烈な赤のラインがスポーティさを強調する。ヘムラインのテールカットは、かがんだときに腰を冷やさないという実用性も兼ねている。
スラウチィソックス[ slouchy socks ]
1990年代を思い出す、ルーズソックスがリバイバル。太い糸が幅広く織り込まれた膝丈の靴下を、足首まで下ろしてくしゅくしゅっとたゆませる。
秋らしい色で、足もとから主張して。デザインに合わせ一つ一つ、糸や編み機を選んでつくっている。
ダスティローズ[ dusty rose ]
ほどよくグレーにくすんだピンク色。ランウェイでは、濃淡をつけたワントーンの着こなしが目立った。品のあるピンクが大人の乙女心をくすぐり、心も薔薇色に染め上げる。
胸もとのボウタイは、前でリボン結びにしても、後ろで結んでホルターネックのようにもできる仕様。ロングカフスとダスティローズの落ち着いた色合いが、知性あふれる女性像を演出する。
チャンキーニット[ chunky knit ]
分厚いという意味を持つ「チャンキー」。太めの毛糸をざっくりと編んだ、ローゲージのニット。体をすっぽりと包み込むようなビッグサイズを選んで。だぼっとオーバーに着こなすのが今季らしい。
アメリカントラディショナルと、カウンターカルチャーの要素を融合した秋冬コレクション。クラシカルなケーブルニットは、カシミヤ混の肉厚な質感が肌に優しく寄り添う。
チョコレートブラウン[ chocolate brown ]
2024年の秋は、ブラウンがなければ始まらない。ランウェイを席巻した、ダークチョコレートのような焦げ茶。このカラーのスエードは特に人気が高い。上品でソフトな印象に仕上がるので、「クワイエットラグジュアリー」な着こなしにもベストマッチ。
上質な光沢を放つスエード生地。ミニ丈で軽やかに取り入れて。
デニムオンデニム[ denim on denim ]
構築的なシルエットで、体のラインを美しく引き立たせるデニムが数多く登場した今季。トップスとボトムスのセットアップの提案も多く見られた。ドレス感覚で身にまとうのが、斬新。
ウエスト部分の切り替えとバックベルトが、美しい曲線のシルエットを描き出す。腕やスカートの部分には繊細なカッティングが施され、ちらりと肌が見える透け感が心にくい。
トランスペアレント[ transparent ]
透明でエアリーな素材を使い、肌の透け感を楽しむシースルーアイテム。ランジェリーを透けさせたり、異素材のものとレイヤリングして、いつもの着こなしに一歩差をつけたい。
体のラインを拾わないコンパクトなフォルムで、インナーを重ねやすい。キャミソールやシャツなど、自由なレイヤードを楽しんで。落ち着いたブルーなので、セクシュアルな印象になりすぎず都会的に着こなせる。
ぬいコート[ stuffed toy coat ]
ぬいぐるみのように、ふわふわ・もこもこ質感のエコファーコート。昨今高まる"ぬい活"を反映するかのよう。着ても癒やされる一着は、「ジェントルラグジュアリー」のムードも体現している。
くるくるとした巻き毛がまさに、動物のぬいぐるみを想像させるカーリーエコファーコート。顔まわりをやさしく包む大きめのスタンドカラーが、リュクスなムードを醸し出す。たっぷりとボリュームはあるけれど着ぶくれせず、スタイリッシュなシルエットがかなう。
バッグチャーム[ bag charms ]
Y2Kトレンドを反映し、ランウェイからストリートまで、バッグにチャームを"じゃらづけ"するスタイルが席巻中。ぬいぐるみからキーホルダー、チェーンやミニバッグまで、自分のお気に入りを選んで。かばんを覆い尽くすほど、たくさんつけるほうがファッショナブルだ。
魔法の鍵やドクロのドールなど、心ときめくままにデコレーションして。
バレエコア[ ballet core ]
リボンやチュチュのようなシフォン素材、ボディスーツなど、バレリーナの衣装に着想を得たスタイル。K-POPアイドルが火つけ役となり、世界的ブームになった。ロマンティックで儚げなディテールが特徴。
チュール素材を重ね、ピンクや紫の淡いトーンでまとめて。
ヒロイングローブ[ heroine glove ]
色鮮やかなデザインやスーパーロングなオペラグローブなど、コーディネートの主役に躍り出る手袋。装いにクラシカルな趣を添える。まるで映画『おしゃれ泥棒』(’66)のヒロインのように身につけたい。
「大人へ向けたクラシック」をテーマにした今季。深紅の色合いが品格ある佇まいながら、スポーティなロゴがアクセントに。
覆面襟[ masked collar ]
まるで覆面のように、頰まですっぽり覆ってしまう丈の襟。目だけチラリと見えるバランスが、ただ者ではないオーラを醸す。アノニマスでありたいという時代の風潮も、映し出しているかのようだ。
表地にはコーティングを施し、裏地はボリュームのある羊毛を使用。リアルムートンなので通気性にも優れている。
ブラットグリーン[ brat green ]
チャーリーxcxの最新アルバム『Brat』のジャケットカラー。挑発的で色鮮やかなネオングリーンの色合いは、悪ガキという意味を持つ"Brat"というスラングとともに今夏からトレンドに。チャーリーが、Xで大統領選に挑むカマラ・ハリスを「bratだ」と描写したことでも話題になった。
片方は筒状になっており、腕を通せばアームウォーマーとしても着用できる大判マフラー。
フルスカート[ full skirt ]
裾に向かってきれいなAラインを描くゆったりとしたスカート。布をたっぷりと用い、幾重にもマチをつけるなどして、構築的なシルエットを描き出す。ノーブルなファッションに注目が集まる中、脚光を浴びている。
ウエストのすぐ下に切り替えがあり、ドレープが流れるようなシルエットを実現。創業100年を超える老舗メーカーのウールを使用したハリのある素材で、ボリュームもたっぷり。
ブロケットコア[ blokette core ]
サッカーユニフォームなどのスポーツウェアを中心とした着こなし「ブロークコア」に、レースやフリルなどのコケティッシュなアイテムを合わせたスタイル。あえてギークに仕上げるスタイリングが、Z世代で流行中。
トップスは、イギリスのサッカーチーム「マンチェスター・ユナイテッド」とコラボレーションしたもの。ユニフォームはとことんリアルさを追求するのが、スタイルを完成させるカギだ。乙女心をくすぐるパステルカラーのボトムを合わせて。異なるテイストをMIXし、アンバランスさを楽しみたい。
防御系バラクラバ[ protective balaclava ]
もともとはミリタリーアイテムだったが、ウィンタースポーツにも取り入れられるようになったバラクラバ。近年、ストリートで流行中だが、今年はさらなる変貌を遂げている。まるでヘルメットかのように顔と頭全体を包み込む隙のないシルエットは、モードなインパクト抜群だ。
顔を囲むチャンキーなトリミングラインが特徴的。同系色のニットと合わせて着こなしたい。
マント[ mantle ]
肩からゆったりと落ちる、袖のないアウター。どこかレトロなエレガンスが薫る。2024-’25年秋冬コレクションでは、60年代風のルックや、70年代のボーホーシック・スタイルでも多く着用された。
スタンドカラーのマニッシュな雰囲気ながら、裾に向かって流れるように優美な線を描く。指先まで隠すような袖が、ハイモードなオーラを放つ一着。
ランナーグラス[ runner glasses ]
陸上選手が着用するような、ランニング用のサングラス。ネオンカラーの偏光ミラーが近未来的な空気感を醸し、スポーティな装いをかなえる。
とびきりモードに気取りたいなら、キャットアイはいかが? フレーム部分もクリアになっており、光を反射してキラキラと輝く。
レザー編みバッグ[ woven leather bag ]
細かな編み目でしっかりと編まれたレザーバッグ。「クワイエットラグジュアリー」に、ここ数年盛り上がるクラフトブームが融合したトレンド。
ボートの船底をイメージした新型。インドのカンプール地方にて、手編みで作っている。
ロープベルト[ rope belt ]
紐状のロープをウエスト部分で結ぶベルト。ジャケットの上からそのままつけて、「シンチウエスト」に仕上げる着こなしが流行中だ。
ラムスキンのベルト。石のようなメタルモチーフには、ウエスタンな雰囲気も。
ワーキングコア[ working core ]
映画『ワーキング・ガール』(’88)を思わせるコンサバティブなスーツのセットアップや、日常着でのネクタイ使いなど、オフィスルックに着想を得たスタイルのこと。今季は、女性の解放やエンパワメントのメッセージをこめたブランドが、マスキュリンなテーラードシルエットを数多く提案した。
マニッシュなコートとパンツの、テーラードアンサンブル。60年代に女性活動家の象徴だった服装を、エフォートレスに再解釈した。