1924年、フランスの詩人のアンドレ・ブルトンが出版した『シュルレアリスム宣言』。無意識や夢の世界を探求し、人間精神の奥深さを知る思想は当時の若い芸術家たちを刺激した。100周年を迎える2024年、モードにもその自由な風を吹き込む。
1924年、フランスの詩人のアンドレ・ブルトンが出版した『シュルレアリスム宣言』。無意識や夢の世界を探求し、人間精神の奥深さを知る思想は当時の若い芸術家たちを刺激した。100周年を迎える2024年、モードにもその自由な風を吹き込む。
今までの固定観念を壊してみる
スポーティなハリのある素材で構築的なシルエットを作り出した、現代的なコルセットルックにトライ。ボトムスにたっぷりと生地を使ったサルエルパンツを合わせて、相反する魅力を組み合わせた。＂当たり前＂にとらわれないアイデアから生まれる自由な発想で、重力も空間も、自由にホップしたい。
幻想に誘われて、たどり着いたのは……？
第一次世界大戦時、傷ついた兵士たちのための精神分析の治療に携わっていたというブルトン。無意識下の抑圧からの解放について考えていたことが、新しい思想が生まれるきっかけに。モノクロームの夢の中で見た女性が意味するものはなんだろう？ 時代を超越する繊細なレースとベルベットのロングドレスは、ヒロインの苦悩を優しく包み込む。
意識と無意識のあいだを飛び越える
文学、美術、政治、哲学などの領域を超えて広まったシュルレアリスムの精神。さまざまなものから影響を受けている私たちの無意識を読み解き、解放していく運動は戦時下のアーティストたちの心のよりどころに。風にたなびくリボンと一緒に、その軽やかなマインドを手にしたい。
違った視点から物事を眺めてみる
無意識下に潜む不穏なムードを写し取ったような、ダリの作品世界は私たちを惹きつけてやまない。彼女が迷い込んだのは、コントロールできない時間の世界。一見すると可憐なモチーフが甘美な夢を思わせるシルクドレス。レザーのグローブとブーツを合わせることでタフな印象に様変わりする二面性も。
境界線を越える想像力で、花になってみた
クチュールライクなギャザー使いで魅惑的なフォルムを描くミニドレス。それをまとった女性と花のアレンジメントは、予測できないシルエットやノンシャランな佇まいなど、どこか呼応する美しさを持っている。理性から解放された純粋な美を追求するシュルレアリストたちも、その魅力に夢中になったはず。
コラージュから浮かび上がる真実
ふたつの異なる事物の偶然な出合いから生まれるものを思索したブルトンはコラージュの手法も愛した。一つひとつは独立したものであっても、対比させて関係性を読み解くうちに浮かび上がってくる新たな物語に引き込まれる。クラフツマンシップを感じさせる花弁を重ねたモダンなドレスとラフスケッチのようなアートワークが描かれるニットなど、ボッテガ・ヴェネタのクルーズコレクションはクリエイティビティを刺激するデザインが豊富に見つかる。点と点がつながり、自分だけの線が出来上がる瞬間に酔いしれたい。
シンボリックなモチーフに隠された欲望
「古典主義と破壊」をテーマに掲げたマックイーン。ドレスライクな仕立てのよいブラウスにはディエゴ・ベラスケスが描いた教皇の肖像画など、どこかミステリアスなアートワークを配して、その対比は目に鮮やか。無意識下の世界の知らない自分に出会うとき、どんな欲望が渦巻いているのか興味深い。
