【2025SSトレンド】ジャーナリストが分析する、各都市の“かわいい”

各都市の取材担当者が2025SSのショーを総評。"NEW かわいい"はどこから来たのか?

各都市の取材担当者が2025SSのショーを総評。"NEW かわいい"はどこから来たのか?

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編集長 並木/パリ

1. VALENTINO 2. CHANEL 3. LOEWE
1. VALENTINO 2. CHANEL 3. LOEWE

パリ取材を担当。ショーの合間に『シュルレアリスム宣言100年展』を観て衝撃を受け、企画を展開。

ロマンティックなれどパワフルな提案が新しい

「今季パリで一番輝いていたのは、クロエでしょう。レースや花柄、ぜいたくに生地を使ったラッフルにフリル、夢々しいバルーンシルエット。かわいいだけでなくキラキラとした生命力にあふれていました。

また、就任後初のショーを開催したヴァレンティノ(1)のアレッサンドロ・ミケーレは、クワイエット・ラグジュアリーから装飾的なトレンドへの流れを決定的にしました。彼はやはりゲームチェンジャー! アーカイブスの要素を密度濃くちりばめたルックには、憧れのメゾンに携わる彼の夢が詰まっていました。

重要なポイントは、このロマンティシズムは、厳しい現実世界からの単なる『逃避』ではないということ。クロエのミューズの一人であるパット・クリーブランドをショーのあとに突撃すると、『私たちには生きるために美が必要なの』と力強いコメントを。

シャネル(2)は自由への意志を感じさせる鳥をモチーフとし、ロエベ(3)は淡い花柄のドレスにアクティブなスニーカーとクールなサングラスを合わせ、ファッションの力をエンジンに、未来へ前進しようというメッセージを投げかけました」

副編集長HA/ミラノ

4. BOTTEGA VENETA 5. PRADA 6. JIL SANDER
4. BOTTEGA VENETA 5. PRADA 6. JIL SANDER

ミラノ取材を担当。ランウェイからリアルにヒットしそうな服を分析する。取材中は、街中のかわいい犬もハント。

個性と芸術性で一歩踏み込んだ"かわいい"へ

「キーワードは、"装飾的でありながらもウェアラブル"。ここ最近の静謐な服の流れも落ち着き、戻ってきたのは高いデザイン性や華やかな色柄でした。しかし、もともと上質な素材や卓越した職人技で勝負するのが、ミラノブランド。単なる"甘い服"にまとまらず、各メゾンがそれぞれの芸術性をアピールしていました。

際立っていたのがボッテガ・ヴェネタ(4)。超絶技巧的なレザー使いは健在で、服の随所にはおちゃめな動物モチーフが配されていた。自由な"遊び"を繰り出しながらも、基盤となるのはエッセンシャル・ワードローブ。そのバランス感覚が天才的です。

強いメッセージを放っていたのは、プラダ(5)。ガーリーなボウタイブラウスに、メタルパーツをはめ込んだスカートを合わせるなど、装飾で着こなしに"違和感"が差し込まれている。混沌とした時代の中での人間らしさを問い、個性を謳歌する重要性を訴えています。丸襟ブラウスや花柄などデイリーかつロマンティックな服に、ダークなニュアンスを宿したジル サンダー(6)のようにひと筋縄ではいかないのが新時代の"かわいい"なのでしょう」

ジャーナリスト森/ニューヨーク

7. MARC JACOBS 8. SANDY LIANG 9. ANNA SUI
7. MARC JACOBS 8. SANDY LIANG 9. ANNA SUI

ニューヨーク在住。長年コレクションを見続けてきた経験値と審美眼で分析。時には鋭いコメントも飛び出す!

服を着るときめきを教えてくれる

「前回と比べて活気にあふれ、色やデザインで冒険した『脱クワイエット・ラグジュアリー』を実感したニューヨーク。特にマーク ジェイコブス(7)はどれもかわいく、イチ押しを選ぶのが難しい! マークは"かわいい"を知り尽くした、コケットコアの元祖的存在。懐かしいコミックやキャラクターの要素を盛り込み、キッチュに作っていました。

一方で今、かわいいもの好きな乙女心を熟知しているのはサンディ リアン(8)。その力量がよくわかるのが一見シンプルなキャリア風ルック。ショートトップスにショーツの組み合わせ、小さなピーターパンカラー、裾のフリルなど、細部が愛らしさを引き立てています。パステルピンク×ブルーのチェックという柄選びもさすが。

『こんなかわいいビキニスタイルは初めて!』と感激したのはアナ スイ(9)。ミニスカートのようなショートボトムと、ヴィンテージ感あふれるトロピカルなプリント。ライトブルーと白の爽やかな色使いでモダンに仕上げたところに、デザイナーのアナの力量が。全体的にポジティブなムードが漂い、ファッションの楽しさを再確認できたシーズンでした」

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