【ミナ ペルホネン】を好きな理由

唯一無二のテキスタイルやものづくりの姿勢など、愛好者が語る好きな理由

唯一無二のテキスタイルやものづくりの姿勢など、愛好者が語る好きな理由

カネコアヤノ

カネコアヤノ ミナ ペルホネン
ピュアなホワイトカラーで全身が包まれる、フルレングスのコットンドレス。上半身とスカート部分に入ったチェック状のレースが、見た目にも涼しさを誘う。レースに施されているのはチューリップの刺しゅう。甘すぎない連続模様で、透明感のある一枚に。ドレス「tulip」¥99, 000/ミナ ペルホネン タンクトップ/スタイリスト私物

テキスタイルの中に感じられる少しの遊び心に魅了されて

「昔、街で『tambourine』の服を見かけると、着ているのは素敵な人ばかり。それで自立したときには、あの服を着られるような女性になっているといいな、とよく思っていました」

ミナ ペルホネンとの出合いについて、カネコアヤノさんはそう語る。年月を経て実際に購入し、袖を通すようになると、ますます魅了された。

「手持ちの服で一番好きなのは、『tambourine』の真っ白なコート。生地も刺しゅうも白で、丈はほぼフルレングス。白い服や丈の長い服が好きだったのもあって、引き寄せられました」

白のフルレングスだと汚れる可能性が高いが、その味も丸ごと愛するタイプ。

「今日着ている白いレースのロングドレスも、自分のクローゼットに入っていてもしっくりくる感じです」

ミナ ペルホネンの好きなところは、毎シーズン、テキスタイルの中に少し遊び心が感じられる部分。「こんなことしていいんだ」という気持ちになる。

「その一方で定番は常に作り続けていて、芯はしっかり通っている。可愛くて温かみがあって、と見せかけて、奥深くていつもとがっている感じが好きです。間口が広いのにコアなファンには真髄が伝わっていて……そこもかっこいい。それが長く続いている理由かもしれません」

好きな服を着ると胸を張れるし、守られている感覚があって、自分に自信が湧いてくるというカネコさん。

「長く続けるためには、変わりたくない部分や、変わってはいけない部分のために変わらないといけないことがありますが、ミナ ペルホネンはそんなふうに変わっていっているのかなと思います。そうやってずっと続いていってほしい」

“可愛くて癒やされる雰囲気に見せかけて、奥深くていつもとがっているところが好き”

カネコアヤノプロフィール画像
シンガーソングライターカネコアヤノ

2016年に初の弾き語り作品『hug』、’17年9月に初のアナログレコード作品『群れたち』を発表。’24年にバンド「kanekoayano」としての活動をスタートした。今年4月に初アルバム『石の糸』を発表。6月から全国12カ所14公演のホールツアーを開催予定。

リム・テヒ

リム・テヒ ミナ ペルホネン
今年1月にオープンした福岡店まで、ソウルから日帰りで買いに行ったという「panier」のドレス。連続性の中に、揺らぎのある線やバイアスのストライプが配された幾何学的なパターン。直線的なシルエットがラインを強調させる。「一番期待していることは、まず韓国にお店を作ってほしいということです」

基本になるものを作り続ける。韓国ではなかなかできない仕事

「ミナ ペルホネンとの出合いは、京都での留学時代。京都駅の伊勢丹でポップアップショップを見かけ、吸い寄せられました。でも留学生の身では値段的に難しく、いつか買えるような大人になれたらと心に夢を持ったのを覚えています」

留学を終えて韓国に戻り、数年後に空間デザイナーとして働き始めてから、旅行で日本を訪れたリム・テヒさん。再会したのは東京だったという。

「代官山店に偶然入って思い出したんです。それでエッグバッグを買って、自分も立派な大人になったととても幸せな気持ちになりました。それ以降、来日ごとに立ち寄っています。代官山には旧山手通りを挟んでファブリックや食器を扱う店舗もあり、最初に見たときはこういうものも作っているんだと驚きました」

リムさんが一番心引かれるのはファブリック。東京での旅のしるしとして、行くたびにショップで1メートルほどの生地を求め、少しずつ集めている。

「大ファンなのでもちろん服も好きなのですが、一番素晴らしいと思うのはやはりファブリック。自分たちの基本になるものを黙々と作り続けるというのは、韓国ではなかなかできない仕事です。ブランドとして素直にその道を歩んでいる姿は、私にとってとても感動的なこと」

好きな柄は「run run run」や「tambourine」で、さまざまなアイテムを愛用している。空間デザインの仕事で使うこともあるという。

「世界的に今の平均化された時代を突破するものの一つは、想像力だと考えています。ミナ ペルホネンが素敵なのは、着る人や持つ人が想像の余白を感じ取り、ともにもう一つの世界をつくっていく気持ちにさせてくれるところです」

“着る人や持つ人が想像の余白を感じ取り、ともにもう一つの世界をつくる気持ちにさせてくれる”

リム・テヒプロフィール画像
建築家リム・テヒ

ソウル生まれ。京都大学建築学科の研究生として留学。帰国しホンイク大学大学院、再度来日し京都工芸繊維大学建築学科にて博士学位取得。2007年ソウルでリム・テヒ・デザインスタジオを設立。ソウルの「LEMAIRE」旗艦店など作品多数。