【ドリスヴァンノッテン】【カルバン・クライン】【トムフォード】新クリエイティブディレクター誕生！デビューショーの見どころをチェック

相次ぐデザイナーの交代劇。今季華々しくファーストコレクションを発表した3ブランドを紹介。それぞれが打ち出す＂エレガンスのかたち＂に焦点を当て、解説する

職人技を駆使した装飾美/DRIES VAN NOTEN

Julian Klausner(ジュリアン・クロスナー)

創設者ドリス・ヴァン・ノッテンの後を継ぐのは、2018年よりブランドでデザインや開発に関わってきたジュリアン・クロスナー。ドリスからも全幅の信頼を置かれる彼のファーストコレクションは、DNAを継承しつつも、独自の視点を果敢に取り込んだ。会場は、オペラ・ガルニエ。劇場に出入りする女性たちをイメージしたルックは、舞台衣装の要素や、オペラ座を彩る豪華な装飾のモチーフがちりばめられた。繊細なパターンや刺しゅう、精巧なディテールを卓越したクラフツマンシップによって惜しげもなく取り入れたスタイルは、唯一無二の重厚感を帯びる。大人のための味わい深い服作りは、次世代でも続きそうだ。

5　スパンコールやビーズなどのきらびやかな装飾は、舞台衣装をイメージ
6　舞台裏での身支度中にかぶるネットを想起させるヘッドスカーフ
7　リフレインされたコルセットベルトと細身のパンツのシルエット

8・9　絨毯のようなジャカード、ステージカーテンを思わせるタッセルは、会場そのものを着想源とした

モダンウーマンに捧ぐ日常服/CALVIN KLEIN

Veronica Leoni(ヴェロニカ・レオーニ)

ブランド初の女性クリエイティブディレクターに就任した、ヴェロニカ・レオーニ。このタイミングで、コレクションラインを復活させ、6年ぶりにショーを開催した。打ち出したのは、「生活のための服」。多様化したライフスタイルを送る現代人に向け、実用的なオフィスルックから優雅なイブニングウェアまでバリエーション豊富に展開した。ジルサンダーやザ・ロウで経験を積んだヴェロニカ。そのことを証明するように、デザインは一貫してミニマルで洗練されている。そこに、思わず＂欲しい！＂と思うようなキャッチーな小物を添え、現代女性に刺さる＂デイリーエレガンス＂を提案した。

10　オフィスコアのトレンドを代表するような、ストライプのセットアップスーツ
11　カラーパレットはシグネチャーでもあるニュートラルカラーが中心。ブランドらしいスポーティなムードをモダンにアレンジして

12・13　ウィッシュリストに入れたいバッグのオンパレード。「CK one」のボトルを模したクラッチは話題をさらった
14　知的なアイウェアがスタイルのアクセントに

新しい官能を定義する/TOM FORD

Haider Ackermann(ハイダー・アッカーマン)

トム・フォードが直々に後継者として指名したのは、ハイダー・アッカーマン。自身の名前を冠するブランドを立ち上げるほか、数々のブランドのクリエイティブディレクターを務めてきた。まず目に飛び込んでくるのは、鮮やかなカラーを用いたルック。メンズライクなスーツ、優雅なイブニングドレス、メイクアップに至るまで高揚感のある色が躍る。そして際立つのは、そぎ落とされたシルエット。純粋さにこそ品格が宿る、という新ディレクターの精神を示す表現方法だ。これまでブランドが打ち出してきたグラマーを、より情緒的に解釈したコンセプトは、ハイダーいわく＂官能的な誘惑＂。初手から新たな女性像を確立した。