エディター、ジャーナリストなど、ファッションプロたちの超私的ネクストヒッツ!【2025-'26秋冬】

実際にショーを見たプロがトレンドを分析する一方、個人的に気になったトピックは? 注目デザイナーからアイテムまで超主観的な次なる流行を予想する

実際にショーを見たプロがトレンドを分析する一方、個人的に気になったトピックは? 注目デザイナーからアイテムまで超主観的な次なる流行を予想する

栗山愛以さん/エディター

エディター、ジャーナリストなど、ファッシの画像_1

同じモチーフを連ねるテクニックが光る

「パリでは、同じアイテムを複数つけたデザインが目立ちました。装飾の一環とも言えるし、アップサイクルの目的や、新しいシルエットづくりの方法となっているように感じます。ファーの帽子を組み合わせてコートにしたホダコヴァ(3)をはじめ、ウィッグをトップスのように重ねてパワーショルダーを生み出したジュンヤ ワタナベ(2)。歩くたびに光を反射するマリーン セルは、小さなコインをドレスの全面に(1)。各メゾンのアプローチが光っていました」

乗松美奈子さん/ファッションジャーナリスト

エディター、ジャーナリストなど、ファッシの画像_2

異なるアプローチのペンシルスカートに熱視線!

「ピュアなシルエットを意外な色合わせでまとめて非常に完成度の高かった、サンローランのコレクション。個人的に惹かれたのはペンシルスカートで、特にパワーショルダーで腰まであるアウターに対し、膝上丈のスカートとローウエストのベルトというバランス感は絶妙(5)。またLAを拠点とするハイスポートからは、オリジナルの超ストレッチ素材を使った定番ペンシルスカートの新色が(4)。濃淡はありながら単色でまとめたルックが今の気分」

大杉真心さん/ファッションジャーナリスト

エディター、ジャーナリストなど、ファッシの画像_3

ポール・アンドリューによる「セルジオ ロッシ」がついにデビュー!

「ポール・アンドリューが手がける待望のコレクション。ショールームの壁は、新しいブランドカラーであるアクアミントに。この色はシューズ(6)や中敷にも用いていました。ハイライトはカーボンファイバー製の近未来的なサンダル(7)。ソールにはブランドの頭文字"S"があ しらわれ、革新性を象徴するデザインに。実は今年1月に脳の大手術を乗り越えたばかりだというポール。困難を経て、こんなに素晴らしい靴を届けてくれたことに、心からの敬意と賛辞を贈りたい!」

高橋 恵さん/ファッションジャーナリスト

エディター、ジャーナリストなど、ファッシの画像_4

ミラノではパワフルな注目株が個性を発揮!

「アクト ヌメロウーノのデザイナー、ガリブ・ガサノフが独立後、初めてショー形式で発表。ファッションの遊び心と職人技へのリスペクトを感じました。靴紐を編んだエレガントなドレスやスカートなど、手仕事を駆使したアヴァンギャルドなクチュールが新鮮です(8)。ほかにも、ドルチェ&ガッバーナの若手支援プロジェクトでショーを行なったスーザン・ファンは夢あふれる個性的なルックを披露(9)。小粒ながらキラッと光る若手発掘も楽しい」

早川すみれさん/スタイリスト

エディター、ジャーナリストなど、ファッシの画像_5

「エイリアンシック」な世界観に射抜かれる

「レディー・ガガがコーチェラ・フェスティバルで着用したことでも注目を集めたマチエール フェカル。デビューコレクションを見て、未来的でエレガント、そしてハードコアな『エイリアンシック』のムードに心を射抜かれました(10・11)。エッジィなメイクを施し、民族、世代、性別という垣根を越えたモデルたち。ダナ・ハラウェイの『サイボーグ宣言』を思い出しました。ついビジュアルに目が行きがちですが、立体パターンや縫製技術が素晴らしいという点にも強く惹かれました」

高玉あかねさん/コーディネーター・ライター

エディター、ジャーナリストなど、ファッシの画像_6

「ブリオーニ」のフェミニニティを感じた首もとのストール使い

「仕立てのよいスーツやジャケットなど、メンズの印象が強いブリオーニ(12・13)。今回、その職人技、素材使いをそのまま女性のために捧げたコレクションがとてもよかったです。プレゼンテーション全体を通して気になったのは、首もとのフェミニンなアレンジ。エレガントなロングドレスにもカジュアルにストールを巻くスタイルは、ルールにとらわれない今っぽい提案。強さをたたえながらも、しなやかさ、いろいろな選択肢から決定する意志の強さを感じました」

森 光世さん/ファッションジャーナリスト

エディター、ジャーナリストなど、ファッシの画像_7

NYは、若手女性デザイナーの時代到来の予感!

「90年代初め頃、若者の心をつかむ女性デザイナーたちがニューヨークを盛り上げました。ここ数年、あの時代の再来を予感しています。カザフスタン出身のメルート トールゲンはシャープなロマンティシズムを表現(14)。ボディラインを活かしたエッジィで破壊的なデザインが特徴的なエレナ ヴェレスは、カナダ国立バレエ団の衣装デザインも手がける実力者(15)。デザイナーのルーツである南米のレースや刺しゅうなどを要所に組み込んだディオティマは、昨年CFDAのウィメンズ部門のデザイナー大賞を受賞しました(16)。そして今シーズンとても評判がよかったアシュリン。百貨店バイヤー陣が絶賛していました(17)」

森田華代さん/エディター

エディター、ジャーナリストなど、ファッシの画像_8

至る所に、ほっかむりスタイル

「フード、ニットキャップ、ストールなどですっぽりと頭を覆うスタイリング。思い返せばたくさんあったように思うのですが、それは私が好きで目についただけでしょうか。ドリス ヴァン ノッテン(18)やヴォートレイト(19)のように、トップスと一体化して頭を覆うもの。ステラ マッカートニー(20)はフードのように少しゆとりのあるサイズ。キャップの上にスカーフを結んでアクセントをプラスしたグッチ(21)など、多様なバリエーションが」

マスイユウさん/ファッションジャーナリスト・ライター

エディター、ジャーナリストなど、ファッシの画像_9

ファッションショーも〝コミュニティ〟でつながる

「今回のロンドンファッションウィークではコミュニティの重要さを感じるプレゼンテーションが際立っていた。2025年春夏にLFWデビューしたヤクは、今一番面白いデザイナー(23)。架空のRPGゲームの世界をコレクションを通して具現化、会場にはデジタル上で培ったコミュニティが集っていました。カズナアスカーは、イエメンにルーツを持つイスラム系女性デザイナー(22)。ウェルカムドリンクやダンスなど、イスラムコミュニティの温かいおもてなしがありました」

西條真希さん/ファッションジャーナリスト

エディター、ジャーナリストなど、ファッシの画像_10

新チャプターを迎えた「トリー バーチ」。リアルクローズとして推したいジャージーパンツ

「数年前に新CEOを迎え、デザイナーがよりクリエイティブに集中できる『トリッサンス(トリー バーチのルネッサンス期)』として注目されています。前回に続くクラシックなアメリカンスポーツウェアのエレガントな落とし込みはさすが。特に注目したのは起毛ウールとコットンのパンツ。カーディガン風のオフィスライクな着こなしにも(24)、ラガーシャツ風のスポーティなトップスに合わせても(25)、カジュアルに転ばない仕立てが素敵でした」

コレクションに関する記事はこちら