2023年の8月号で初共演して以来、意気投合した水川さんと丸山さん。好きなファッションのテイストは似ているけど、買い物の仕方は真逆な二人が購入したお気に入りを持ち寄り、報告会を開催した。それぞれの私物をミックスさせた、スペシャルなスタイリングでお披露目!
1983年、大阪府出身。最近では、NHK連続テレビ小説「ブギウギ」、映画『唄う六人の女』に出演。2024年2月23日からは、舞台・KERA CROSS第五弾『骨と軽蔑』の公演が控える。
SPURをはじめとしたモードファッション誌面や、広告などで広く活躍中の人気スタイリスト。狙った獲物は逃さない、"買い物力"に定評があり、SPURの「買い物企画」の常連。
水川さんのBEST BUY #1「メゾン マルジェラのパデッドコート」
「毎シーズンなんだかんだ欲しくなってしまうアウター。今年の相棒はシューズのTabiも大好きで集めている、メゾン マルジェラのパデッドコートに決定。リサイクルナイロン製で軽くて暖かい。オーバーサイズなので、地厚のニットも余裕で着ることができます。動きづらかったり、インナーを選ぶアウターは、次第に手が伸びなくなると学んだので(笑)。実用性もしっかりチェック」
丸山さんのBEST BUY #1「マーガレット・ハウエルのシャツ&ベスト」
「マーガレット・ハウエルは、昔からすごく好きなブランド。アシスタント時代に、お金を貯めて買っていた思い出も……。当時購入したダウンベストは今でも大切に愛用しており、いずれ子どもに譲るつもりです。今季購入したのは、シンプルなシャツとベスト。ワードローブの土台となるベーシックなアイテムにこそ、"本物"を知るハウエル氏のデザイン美学が息づいていると感じます」
水川さんのBEST BUY #2「マーモット キャピタルの フリースベスト&パンツ」
「"作り手の顔が見えるか"が、最近買い物をするにあたっての決め手となっています。知人でモデルの菊乃さんがディレクターを務める、アウトドアブランドのマーモットの新ライン、マーモット キャピタルも、まさにそうした視点で愛用しています。フリース素材のベストとパンツは暖かく快適で、この冬かなりの頻度で着用予定。セットアップなので、スタイリングがすぐに完成するのもありがたい!」
丸山さんのBEST BUY #2「ボッテガ・ヴェネタのベスト&パンツ」
「そもそもベストというアイテムが好きでたくさん持っているのですが、一枚で着られるものが案外なかった! その点、こちらはネックラインやアームホールの開き具合がちょうどよく、主張のあるデザインがいい。一見、スウェットのように見えるパンツは、実はレザー素材。誰もやらないことをあえてやる。その挑戦的な姿勢とユーモアにぐっときました。メゾンの服は、デザイナーのフィロソフィーに共感することが、購入のきっかけとなることが多いです」
丸山さんのBEST BUY #3「ジョージ ジェンセンのネックレス」
「ジョージ ジェンセンは、創業者が銀細工師というルーツもあり、繊細なクラフツマンシップを感じる点に惹かれる。彫刻的なデザインが美しく、人とあまりかぶらないところもいい。こちらのダイヤモンドが埋め込まれたタイプは今年の新作ですが、以前、同シリーズのネックレスをSPURの撮影で借りたんです。いつも、撮影すると"欲しい"という気持ちを昇華できるのですが、このネックレスは、どうしても自分の手もとに置きたくなりました。普遍的なデザインなので、私にとってのエターナルジュエリーになると思います」
水川さんのBEST BUY #3「7 77サーカのニット」と 「コム デ ギャルソンのヴィンテージシューズ」
「77サーカとのコラボレーションである7 77サーカの第2弾として、一緒に製作したニットは、リサイクルウール製。とにかく暖かく、着心地がいい。家でも外でも着られる、リラックスウェアのような立ち位置を目指しました。合わせた靴も私物で、コム デ ギャルソンの90年代のヴィンテージ品。ビビッときて、試してみたらサイズもシンデレラフィット。ウエスタン調で主張があるけど意外となんでも合わせやすい!」
水川さんのBEST BUY #4「MM6 Maison Margiela x Salomonのリュック」
「機能的かつ、デザインも可愛いリュックを長らく探していたところ、ようやく出合えた理想形! ブルーとピンクの配色も絶妙で、サイズが大きすぎないのもいい。山に登ったり、海に出かけたりと、休日は結構アクティブに過ごすので、野外でも活用しています。スタイリッシュなので、仕事現場などタウンユースにも最適。特に荷物が多くなりがちな舞台の仕事に入っているときは、とても頼りになります」
水川さんのBEST BUY #5「SHISEIのロングブーツ」
「SHISEIは機能性とデザイン性を両立するブランド。このブーツはSNSで2022年に見つけたんです。でも、当時は自分のサイズが売り切れで手に入らず! 2023年に入ってから入荷があったと、お店の方から連絡をいただき、1年越しで手に入れました。とにかく履きやすくてガシガシ歩けるのに、見た目はシック。アウトソールはVibram社製で、滑りにくい。レインブーツ感覚で雨の日にも履けちゃうところもお気に入りです」
丸山さんのBEST BUY #4「FIDAN NOVRUZOVAのショートパンツ」
「セントラル・セント・マーチンズ出身のデザイナー、フィダン・ノブルゾバ。ロンドン発のブランドで、おそらく日本のショップでの取り扱いはまだないと思います。未上陸ブランドを日々ハントしているので、その点にも惹かれて公式サイトからオーダーしました。スポーティなトラックパンツなのに、ストライプの先がリボンになっているギャップにハートをつかまれました。冬はロングブーツとスタイリングしても可愛いですよね」
水川さんのBEST BUY #6「Pillingsのカーディガン」
「ニットを中心に展開する日本のブランド、Pillingsのカーディガン。実は、これ……今日の撮影で丸山さんが衣装として持ってきてくれたもので、ひと目惚れして購入することに決めました(笑)。人からのおすすめに弱いんです! 変形したデザインは、着ることでいっそう可愛さが引き立つのも素敵。どこか懐かしさを感じるハンドメイドのニュアンスや、子ども服のような丈の短さ、心をくすぐられるポイントがあります」
丸山さんのBEST BUY #5「FOTTS FOTTSのバッグ」
「韓国のファッションもよくチェックしているのですが、FOTTS FOTTSはバッグのブランド。トレンドのデザインをうまく取り入れたおしゃれなアイテムを展開しています。デイリーに使える横長フォルムのバッグが欲しくて探しているときに、これもまたSNSで発見! すぐさまポチりました。お値段が日本円で4万円弱とお手頃なのもいいんです。シンプルなので、同じく韓国のCOMFORTで購入した黒猫のマスコットをつけてアレンジ」
水川さん(以下、M) 仕事柄いろいろなスタイリストさんとご一緒しますが、丸山さんが準備してくださる衣装は自分にしっくりくるものが多い。好きなテイストが近いんですかね。
丸山さん(以下、Y) 今日の私服もグレーのジャケットにワイドパンツと偶然にも似ていますよね。
M そうなんです(笑)。だから、つい現場で身につけたものが欲しくなっちゃって困ります!
Y うれしいです。水川さんにリアルに気に入ってもらえるか、という視点で毎度気合を入れて準備をしています。
M どうりで! そもそも、人からのおすすめで物を買うことが多いんです。おつき合いがある人が携わっているブランドを選ぶこともしばしば。ちゃんと作り手が見える物を手に取りたくなります。
Y 水川さんの、人とのつながりを大切にする姿勢が買い物にも出ている! 物にあふれている現代だからこそ、〝縁〟を感じる製品に、手に入れる価値を感じますよね。
M ファッションアイテムもそうですが、生活まわりの雑貨や、食べ物もお店の方の思いが感じられる製品を気づくと選んでいます。だから、昔のように手あたり次第に物を買うことがなくなり、失敗も減って、ショッピングの精度が高まってきた気がします。丸山さんの買い物のスタイルは?
Y 私は、オンラインショップを活用することが多い。とにかく欲しいと思ったものは、地の果てまで追いかけます……悪いクセですね。毎年もう買わない!って誓ってるんですけど。水川さんみたいに丁寧な買い物をしたいです。
M 私だって、ネットでたまたま見つけて買うこともありますよ。
Y OwalaRの水筒ですよね(笑)。でも、あれはまさしくベスト・バイ! 私含め、水川さんの周囲の人みんなつられて購入しました。
M 本当におすすめの品です。自分が好きなものを人にも気に入ってもらえるのは、うれしいですね。一方で、人とかぶりたくないという気持ちも強い。
Y みんなが使っているという安心感はあるけど、一方で冒険もいい買い物には必須だと思います。水川さんは、いつからそう思い始めたんですか?
M 母がそういう人なんです。みんなと同じランドセルじゃなくてもいい、と言われて一人全然違うバッグで登校していました。当時から、人と違うことをうれしく思っていた気がします。
Y お母さま、素敵な考え! 私は、職業柄もあるのかも、周りより先にいいものを見つけることが楽しい。日本未上陸のブランドを発掘すべく、SNSをパトロール。見つけたら購入してみる、というバイヤーごっこをしています。それで今年ゲットしたのが、フィダン・ノブルゾバのショートパンツ。
M たしかに、知らなかったけど可愛いブランド。最後に、丸山さんの今年の買い物に点数をつけるなら? 私は80点。残り20点は、手持ちの服を生かせるアイテムを買えなかったから!
Y 私は100点! いつだって100点です。自分にそう言い聞かせてるところもありますが(笑)。買った経験は、絶対なにかにはなるので。
M さすがです(笑)。またこの企画があれば、そのときは私も100点が出せるように励みます!
まだまだある! 水川さん × 丸山さんのベスト・バイ
「SIMIHAZE BEAUTYのリップ&チーク」
「日本上陸が待ちきれず、ひと足早く展開している韓国で買ってきてもらいました。ころころとしたフォルムがキュートで、コンパクトなサイズも持ち運びに便利。バッグに常に携帯してます。早く日本でも買えるようになってほしい!」(丸山さん)
「餃子のかわしもの餃子」
「数々の餃子を試してきていますが、中でも大好きで定期的に購入するのがこちら。もちもちの皮とジューシーな具がたまらない!」(丸山さん)。
「Barney&Clementineの 猫のオブジェ」
「もともと猫の置物が好きで、旅先で見つけては買い集めています。この子たちは、オンラインショッピングで購入しましたが、実はソルト&ペッパーの容器。でも、可愛くてまだ使用できていません!」(丸山さん)
「OwalaRの水筒」
「ストロー内蔵型の水筒は、顔を上に向けなくても飲める画期的な仕組み。周囲でも愛用者が増えています(笑)」(水川さん)。「私の水筒探しの旅もこれで終わりを迎えました!」(丸山さん)
「サンガインセンスのお香」
「毎日お香をたくのが日課。京都のブランド、サンガインセンスは上質な香木を用いたお線香で世界の伝統的な香りを表現。数種類ストックしておいて、気分やシーンに合わせてたいています」(水川さん)
「つけものや あわの漬物」
「新鮮な野菜を昔ながらの素朴な味で漬けた、奈良のお漬物。おにぎりにして、現場に持参します」(水川さん)。
「吉延美山の備前焼」
「釉薬を使わず、自然の力で焼き上げる備前焼は、食事の味さえも引き立てる気がします。愛猫の水飲み皿としても使用しています。球状のものは、炊飯器に入れるとご飯がおいしく炊ける『備前玉』。おすすめです!」(水川さん)
「Cacao Magicの チョコレート」
「驚くほどおいしく、カカオの味をダイレクトに感じられる京都のチョコレート。ご褒美として」(水川さん)。