マチュー・ブレイジーによるボッテガ・ヴェネタの2025年春夏コレクションが、2024年9月21日(現地時間)に発表された。テーマを「WOW!」と題し、マチュー・ブレイジーが童心に立ち返って作り上げたというコレクションを、セノグラフィー、キールック、そしてアクセサリーの3トピックスを交えて紹介する。
なんて愛くるしい! 15種類の動物を模したレザー製のチェアがゲストをお出迎え
昨シーズン同様の広々したインダストリアルな会場でゲストを迎えたのは、動物を模したレザー製のチェア。イヌ、パンダ、ウサギから、テントウムシ、ヘビ、そして恐竜まで……。15種類の動物たちを模したこれらのチェアは、「ザ・アーク」と名付けられたザノッタ社による特注品で、1968年に発表された名作「サッコ」を再解釈したもの。「ザ・アーク」は、ボッテガ・ヴェネタの公式ウェブサイトで数量・期間限定で販売されており、2024年12月1日から開催されるデザイン・マイアミに合わせて特別なモデルもお目見えする予定だ。
子どものような無邪気さで、エッセンシャルなワードローブをフレッシュにアップデート
ファーストルックとして登場したのは、シャドーストライプのセットアップ。オーバーサイズのシルエット、そしてアシンメトリーなシルエットのトラウザーズは、まるで子どもが両親のクローゼットに忍び込み、着せ替えごっこをしたかのような遊び心を垣間見せる。
中盤で登場した、プリーツを施したプリントが目を引くルックは、まるで子どもが思いのままに絵の具を走らせたかのような色彩だ。全体を通して、マチュアな一面とピュアな無邪気さ、静と動、そして秩序と混沌といった、相反する2つの世界を行き交う、アンビバレントな心情を浮き彫りにした。
2022-23年秋冬コレクションのデビュー以来、マチュー・ブレイジーが継続的に取り組んできたのが、エッセンシャル・ワードローブを素材やシルエットでアップデートする試み。この取り組みは今シーズンも健在で、一見ストーンウォッシュ加工のデニムのように見えるトラウザーズが、トロピカルウェイトのメリノウールを用いたジャカード織のファブリックで登場した。ベーシックでカジュアルなアイテムを、マチュー独自の美学やバランス感覚で気品漂うルックに昇華している点にも注目だ。
卓越したレザーのクラフツマンシップで描き出す、大人のお絵描き
童心に立ち返るというテーマを、より象徴的に表現したのが、プレイフルなバッグやアクセサリー。
グローサリーのビニール袋に見せかけた、レザーのパッチワークのバッグ。ウサギの耳を模したベルトのバックルに、フラッフィーなウサギの耳が生えたかのようなパンプス。グレーのドレスや絵の具をこぼしたようなグラデーションのセットアップの上には、変身の象徴であるカエルのモチーフのブローチがしがみついている。
子どもたちが使っていたタイプライターからインスパイアされた「カバ」の新作や、色とりどりのレザーを大胆に組み合わせた「ブリコラージュ」バッグには、ボッテガ・ヴェネタが誇るクラフツマンシップが凝縮されている。
子どもたちが使っていたタイプライターからインスパイアされた「カバ」の新作や、色とりどりのレザーを大胆に組み合わせた「ブリコラージュ」バッグには、ボッテガ・ヴェネタが誇るクラフツマンシップが凝縮されている。
アイコンバッグの「アンディアーモ」は、今季からフラップ付きのデザインに刷新。内側に配したイントレチャートレザーのポケットは、今まで同色だったデザインが差し色に変わり、さらにディテールまで楽しめるように。
今回のコレクションをミラノで現地取材したエディターが、特に気になったルックを発表!
コレクションの中でリフレインされたオーバーサイズジャケット。“大人のスーツを子どもが着てみる”という着想源には、憧れやワクワク感が詰まっていて、服を着ることの楽しさを改めて教えてくれる。左右丈違いのパンツは、遊び心を感じるアンバランスな感覚が絶妙。今季は動物のモチーフが、あちらこちらでかくれんぼをしていて、このルックのベルトにはウサギが隠れている。
ノーブルなカラーリングでありながら、ボトムはアシンメトリーで挑戦的。誰にでも似合い、誰もが洗練されるスタイリングで、ある種、発明ともいえるルック。
親しみやすい愛らしさを感じさせつつも、“いなたく”見せない、絶妙なバランス。クラフツマンシップが光る花束やビニール袋の遊び心に加えて、ノンシャランなモデルのヘアに至るまで、すべての要素が完璧なルック。
今季のテーマの一つである「WOW!」。フォーマルなシャツとネクタイに、サーマルをレイヤードして意外性を演出。ひとつひとつのアイテムはノーマルであっても、組み合わせ次第で小さな「WOW!」が作れることを証明してみせたルック。
ボッテガ・ヴェネタが得意とする巧みなレザー使いを堪能できるルック。ヴィンテージ風のTシャツに合わせているのは、ジーンズではなく、シワ加工を施したレザー製のパンツ。メゾンならではのリュクスな遊び心は今季も痛快。
シワ加工、シンメトリーな形を描くシャツ、ねじられたタイ……。一見するとシンプルなアイテムの中にモードな仕掛けが随所に光るルック。靴とバッグもitな存在感を放つ。
今季のミラノコレクションで多く見られたのが、オールブラックのルック。そんな中でも、新鮮な驚きとエレガンスがハイレベルで共存する唯一無二の提案をしたのが、他ならぬボッテガ・ヴェネタだ。衿にはウサギが隠れていて、ノーブルな黒だからこそマチュー・ブレイジーの発想力が光る。
レザー製のガウンコートに施された繊細なカッティングは、まるでアートピースのよう。そんなラグジュアリーを象徴するルックに、ポップなバービーピンクカラーを採用するというギャップに今季のテーマ性を感じる。ここでもシューズにウサギの耳が!
繊細にきらめくスパングルのドレスと、裾から覗かせた植物柄のドレスに、強烈なインパクトを放つ新聞紙柄のフリンジをオン。マチューが描く小宇宙に迷い込んだような気持ちになるルック。
コレクションのキーモチーフのひとつ、マッチ棒。このセットアップは、マチューがこれまで多用してきたフリンジのようにマッチ棒が施されている。歩く度に揺れるディテールがロマンティック。
コレクションの中でリフレインされたオーバーサイズジャケット。“大人のスーツを子どもが着てみる”という着想源には、憧れやワクワク感が詰まっていて、服を着ることの楽しさを改めて教えてくれる。左右丈違いのパンツは、遊び心を感じるアンバランスな感覚が絶妙。今季は動物のモチーフが、あちらこちらでかくれんぼをしていて、このルックのベルトにはウサギが隠れている。
ノーブルなカラーリングでありながら、ボトムはアシンメトリーで挑戦的。誰にでも似合い、誰もが洗練されるスタイリングで、ある種、発明ともいえるルック。
親しみやすい愛らしさを感じさせつつも、“いなたく”見せない、絶妙なバランス。クラフツマンシップが光る花束やビニール袋の遊び心に加えて、ノンシャランなモデルのヘアに至るまで、すべての要素が完璧なルック。
今季のテーマの一つである「WOW!」。フォーマルなシャツとネクタイに、サーマルをレイヤードして意外性を演出。ひとつひとつのアイテムはノーマルであっても、組み合わせ次第で小さな「WOW!」が作れることを証明してみせたルック。
ボッテガ・ヴェネタが得意とする巧みなレザー使いを堪能できるルック。ヴィンテージ風のTシャツに合わせているのは、ジーンズではなく、シワ加工を施したレザー製のパンツ。メゾンならではのリュクスな遊び心は今季も痛快。
シワ加工、シンメトリーな形を描くシャツ、ねじられたタイ……。一見するとシンプルなアイテムの中にモードな仕掛けが随所に光るルック。靴とバッグもitな存在感を放つ。
今季のミラノコレクションで多く見られたのが、オールブラックのルック。そんな中でも、新鮮な驚きとエレガンスがハイレベルで共存する唯一無二の提案をしたのが、他ならぬボッテガ・ヴェネタだ。衿にはウサギが隠れていて、ノーブルな黒だからこそマチュー・ブレイジーの発想力が光る。
レザー製のガウンコートに施された繊細なカッティングは、まるでアートピースのよう。そんなラグジュアリーを象徴するルックに、ポップなバービーピンクカラーを採用するというギャップに今季のテーマ性を感じる。ここでもシューズにウサギの耳が!
繊細にきらめくスパングルのドレスと、裾から覗かせた植物柄のドレスに、強烈なインパクトを放つ新聞紙柄のフリンジをオン。マチューが描く小宇宙に迷い込んだような気持ちになるルック。
コレクションのキーモチーフのひとつ、マッチ棒。このセットアップは、マチューがこれまで多用してきたフリンジのようにマッチ棒が施されている。歩く度に揺れるディテールがロマンティック。
ミラノ・ファッションウィークのハイライトのひとつであるだけに、ボッテガ・ヴェネタのショーには世界中から豪華なセレブリティが来場。日本からは、俳優の宮沢りえさんも駆けつけた。
この日、宮沢りえさんが着用したのは、今年の2月にミラノで発表された2024-25年秋冬コレクションのルック。密度の高いツイード地で構築的なシルエットを描きだした、ライトブルーのコートが主役だ。「表情豊かなファブリックと、華やかな色のバランスが素晴らしい。バルーンのようなシルエットも印象的」と着用した感想を語った。
今回のショーは、ゲストによって異なる動物モチーフの「ザ・アーク」チェアが用意されており、自分のチェアがどの動物なのかは席につくまでのお楽しみ。宮沢さんが座ったのは犬のチェア。
「ボッテガ・ヴェネタらしいエレガンスに、大人の遊び心があふれていて、本当に素敵でした。特に印象的だったのは、スカートとトラウザーズがアシンメトリーに組み合わされたルック。見る角度によってガラッと表情が変わり、まるで一人の人間の中に混在するさまざまな顔を映し出しているよう。レザーを細くカットし、フリンジのように刺しゅうしたドレスにも目を奪われました」。
ミラノを訪れる前には、イタリア北部の港町ポルトフィーノにある、世界遺産のチンクェ・テッレを訪れたという宮沢さん。ボッテガ・ヴェネタの美しいコレクション、そしてイタリアの風土に身も心も満たされた様子だった。