うだるような暑さが続く夏は、どんな着こなしが正解? 「気温別コーディネート」の第2弾は、ジメジメとした梅雨シーズンや酷暑を見据えた7〜8月に最適な服装をご紹介。5月〜6月編に続き、日本気象協会の気象予報士、安齊理沙さんとスタイリストの山﨑静香さんのアドバイスをもとに、気候とファッションの両面から詳しく解説する。この夏を快適に、自分らしく過ごすためのヒントをチェックして。
2021年に独立し、現在は雑誌やweb媒体、広告のスタイリングを担当。2022年冬から「ヤエ」のディレクターとしても活躍している。最近は、ロングからボブに大胆なイメージチェンジを遂げ、鮮やかな色柄やシアー素材を取り入れながら本格的な夏スタイルに移行中。
【2024年・東京の月平均気温】から読み取る、7〜8月のコーディネートのポイント
参考資料:気象庁「過去の気象データ検索」 https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/
おしゃれと快適さを両立するためには、毎日の天気予報や気温をチェックし、それを基準にしたスタイリングを考えることが肝心だ。まず押さえておきたいのが、天気予報でよく耳にする最高気温と最低気温の定義。日本気象協会に属する気象予報士の安齊理沙さんによると、気温は1分ごとに計測され、1日の中で最も気温が高い時間と低い時間の温度が観測値として公表されるそう。
「最高気温は昼の13〜14時くらいに出ることが多く、最低気温はぐんと冷える明け方の時間に出ることが多いです」。昨年の東京で観測された平均気温のグラフを見ると、7〜8月は最低気温が25度以上、最高気温は33度を上回る。例年の傾向から推測するに、7〜8月には、過去に40℃以上の気温が観測された日もあることを忘れてはならない。
気温と服装の目安をチェック!
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朝晩の最低気温でさえ約25度、日中の最高気温が常に30度以上を上回ると予想される夏シーズン。7月以降もジメジメした湿度の高い日が続くことを考えると、基本的には風通しがいい服を選ぶのが最善だ。
「半袖やノースリーブ1枚で過ごせる夏は、屋内のエアコンで体が冷えないように、薄手のカーディガンやシャツを持ち運ぶのがベスト。1日の動きを想定して、それぞれが過ごす環境に適した服装を心がけるのが重要です」。そして、服装の調整をした上で、7〜8月はさらなる暑さ対策が必要になると安齊さんは語る。「日差しをシャットアウトすることで熱中症対策にもなる帽子や日傘、猛暑を乗り切るための冷却グッズなどを携帯して、少しでも快適に過ごせる準備をしてから外出することを推奨しています」。
【気温25〜35度】に対応するコーディネートを厳選
7〜8月の東京の平均的な最低気温は約25度、最高気温は30〜35度。ここでは、気温ごとに最適なコーディネートをファッショニスタのInstagramやオフランウェイのスナップから厳選。スタイリストの山﨑静香さんによるコメントとともに紹介する。
スポーティな装いにエレガンスをひとさじ
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フェラガモの2025-26年秋冬コレクションに登場したモデルのアレックス・コンサニ。颯爽と会場を後にする彼女の肩には、同ブランドのハンドバッグが。「シャーリングを施したミニサイズのフットボールTシャツに、ワイドなデニムを合わせて。肌見せが涼しげなウエストからインナーのランジェリーをのぞかせるテクニックは、暑い夏こそ気負わず真似しやすいので、ぜひトライしてほしいです! スポーツマインドあふれるスタイルに、上質な革小物を合わせる意外性にもときめきました」。
セットアップを着るなら通気性に優れたショート丈
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上下ショート丈のセットアップは、あれこれ考えずともコーディネートが成立する真夏の救世主。「体型を拾わずすっきりと着られるセットアップは、カットソー素材で風通しがいいのもうれしい。ともすればパジャマのように見えがちなスタイルですが、サングラスやレザーバッグなどのハードな小物を合わせることで、ラフさが中和され、かえってこなれた印象に。ルーズになりすぎないよう、足もとはサンダルではなく彼女のようにスニーカーで締めるのが正解です」。
韓国出身のインフルエンサー、スンミは巧みなバランス感覚の持ち主。『シンプソンズ』が描かれたTシャツにハーフパンツを合わせ、カジュアルに仕上げた装いのポイントは? 「リブではなく透け感のある靴下をセレクトし、小物を黒で統一するなど、キャラクターものを大人の女性が上手に取り入れる際の工夫が随所に。プリントTシャツはオーバーサイズだと野暮ったく見えがちですが、あえてボディラインを拾うチビTにすることで、スマートに着こなせます」。
色使いで盛り上げるシンプルな半袖ワンピース
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気温25度にぴったりな半袖のミニ丈ワンピース。シャーベットのようなイエローと鮮やかなレッドがとびきりプレイフル。「色の掛け合わせはもちろん、軽やかなワンピースに重厚感のあるウェスタンブーツというコントラストが可愛い! 花柄のバッグもスタイリングの色を拾うなど、細部まで計算ずくの着こなしが、カジュアルながらも上級者の品格を漂わせます」。
涼しげかつトレンドが垣間見えるサファリルック
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スタイリストのヤンカ・ポリアーニは、リラックスした佇まいに今年らしいムードが漂うサファリルックを披露。「ボーダーのポロシャツとチノ素材の膝下丈パンツは、いずれも今季のトレンド筆頭。アイテム自体はカジュアルですが、胸もとを広く開けて着崩したり、上品なピンヒールのパンプスを合わせたり、エレガンスを意識した彼女らしいアレンジが効いていますね」。
シンプルな装いを格上げする旬のボウタイ
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2025年の夏は、トップスと同素材のボウタイを首に巻くスタイルがトレンドに浮上。「ノースリーブトップスとウォッシュドデニムのごくシンプルな装いにボウタイをくるりと巻いて味付け。ボウタイは細くて長いデザインが今年らしさ抜群です。ヘアはタイトに結び、足もとにはメタリックな質感のパンプスを。緩急のバランスが絶妙なスタイリングです」。
爽快なカラーリングで柄×柄をフレッシュに
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ストライプのサマーニットに、バイカラーが印象的なハーフパンツを合わせて。「夏気分を盛り上げる柄×柄のスタイリング。彼女の場合はメインカラーを水色に定め、小物まで同系色でまとめて難しそうに思えるテーマを爽やかにクリア。気温がぐっと上がる日は、インパクトのあるアクセサリーで思いっきり遊びたいですよね」。
ベーシックに意外性をもたらす腰ばきテクニック
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バランスの妙でモノトーンルックを新鮮に。「今季、一大トレンドのローライズですが、ヘソ出しではなく、さらに下の腰位置をのぞかせるバランスが大胆で新しい! 程よく首が詰まったトップスを合わせるなど、肌見せの分量も計算されています。なるべくストレスフリーに過ごしたい季節、足取りが軽くなる薄底スニーカーはどんな服装にも合わせやすく、おすすめです」。
花柄にもアニマル柄にも見える、アール サーティーンのエッジィなパンツを着こなしたインフルエンサーのパク・ミンジュ。「インパクトのある柄はボトムだと取り入れやすく、印象的かつチャーミングなスタイリングに。ダメージ入りのノースリーブやトングサンダルといったリラックス感あふれるアイテムを組み合わせた力の抜き加減も秀逸です」。
臨機応変に対応するスカーフをキャップに重ねて
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「スカーフで春服を盛り上げる最旬コーディネート15選」でも紹介した、キャップにスカーフを重ねるテクニックを採用すれば、熱中症対策にも。「セットアップを主役にしたオールブラックスタイルのアクセントに。日除けになるのはもちろん、クーラーが効きすぎた場所では、頭から外して体に巻けば冷房対策にも。1枚身につけているだけで安心感を得られます」。
つば広ハットとシャツが猛暑対策に大活躍
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肩まで影を作る幅広ブリムのハットを取り入れた、真夏に最適なコーディネート。「彼女が着たホルターネックのワンピースのように露出が多い日は、日除けにも冷房対策にもなるシャツを持っておくと便利。一見ミニマルな装いですが、ビッグなストローハットをはじめ、アクセサリーのようなマイクロバッグや厚底シューズなど、サイジングの遊びが効いています」。
ドレススタイルをシャツの腰巻きで爽やかに更新
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簡単に装いのアップデートを図れる上、室内外の温度差にも即座に対応できるシャツの腰巻きスタイル。「エレガントなスリップドレスと相性のいいブルーのシャツを合わせ、夏が似合うカジュアルな印象にまとめています。薄手の季節こそ気になる腰回りのカバーをしてくれるという点でも、おすすめのレイヤード術です」。
アクティブに働く日はジャケットを味方に
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ベアトップタイプのビスチェをヘルシーに着こなして。「一見カジュアルですが、仕立てのいいアイテムを選ぶことでシックなムードも両立。手に持ったジャケットを羽織れば、ワークスタイルにも最適なコーディネートです。上半身は品よく、下半身はスポーティに仕上げたギャップにもグッときます」。
快適性を追求した洗練のオフィスコア
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オーバーサイズゆえに肌と接する面が少なく、通気性にも優れているリネン調のセットアップを主役に。「快適な着心地のセットアップは、ワンセットあれば重宝すること間違いなし。夏は見た目にも涼しい色を着たくなるので、グレー寄りのベージュというチョイスにも共感。インナーから小物まで黒で統一し、シャープにまとめた真夏のワークスタイルの好例です」。