2024年の気分はボーホーシック! スティーヴィー・ニックスの着こなしがお手本

フリートウッド・マックのボーカルとして、シンガーソングライターとして。一世を風靡したアイコン、スティーヴィー・ニックス。彼女の奔放なボヘミアンシックが2024年、トレンドと呼応してよみがえる! 現代的なエッセンスを加えて、モダンな着こなしを提案

フリートウッド・マックのボーカルとして、シンガーソングライターとして。一世を風靡したアイコン、スティーヴィー・ニックス。彼女の奔放なボヘミアンシックが2024年、トレンドと呼応してよみがえる! 現代的なエッセンスを加えて、モダンな着こなしを提案

ロング&リーンなシルエットに面影を

2024年の気分はボーホーシック! ステの画像_1
コート¥858,000・ドレス¥1,430,000・下にはいたショーツ¥93,500・シルクリボン¥71,500・チョーカー¥412,500・靴¥222,200/グッチ クライアントサービス(グッチ)

深緑のコートは、広いショルダーラインが印象的。素肌に羽織ったその下に、レースで贅沢に仕立てたドレスを忍ばせる。フロントからきらめくシークインが見え隠れし、さりげないロマンティシズムをひとさじ。細部まで凝ったデザインのロングドレスは、スティーヴィーが好んで着用していたトレードマーク。

デニムとオーナメントの多重奏

2024年の気分はボーホーシック! ステの画像_2
ビーズトップス¥380,600/エドストローム オフィス(ラバンヌ) デニムベスト¥19,800/PITTZZ

レトロなデニムベストを気負わず羽織り、ビーズとゴールドチェーンのトップスをレイヤード。色とりどりのパーツがリズミカルに配され視線を奪う。アクセサリーのデコラティブな取り入れ方も、今真似したいスタイルのひとつ。自由奔放に重ねづけするテクニックが、彼女らしさを形作る。

シルクシフォンに包まれる午後のひととき

2024年の気分はボーホーシック! ステの画像_3
バッグ「CAPRICE TOY」〈Hトップス¥597,300・サングラス¥58,300・リング¥62,700/クロエ カスタマーリレーションズ(クロエ) ブーツ¥322,300/セルジオ ロッシ カスタマーサービス(セルジオ ロッシ)2.5×W15×D9〉¥1,145,100〈11月発売予定〉/デルヴォー

2024年のボヘミアンリバイバルを牽引するクロエ。そのムードは"魔女"ともいわれたアイコンの幻想的な着こなしとも呼応する。さりげない日常をドラマティックに彩るのは、シルクシフォンの繊細なテクスチャーとポンチョシルエット。サイハイブーツで都会的なエッジをきかせつつ、サングラスは存在感たっぷりのビッグフォルムを。

自らの体を愛でるように服を着る

2024年の気分はボーホーシック! ステの画像_4
シャツ¥275,000・スカート¥198,000(ともに参考価格)・ベルト¥123,200・ヘッドピース¥157,300(参考価格)/サンローラン クライアントサービス(サンローラン バイ アンソニー・ヴァカレロ)

肌がやわらかく透けるシルク素材のトップスとボトムスを大胆にまとう。細長いタイは垂らしたり流したり、動きによって豊かに表情を変える。力強さとセンシュアリティが共存するバランスをモダンに落とし込んだ。"普通"を決めるボーダーラインをてらいなく飛び越え、自由に装う喜びを享受したい。

ボーホー・フラワーに夢中

2024年の気分はボーホーシック! ステの画像_5
ドレス¥1,967,900・パンツ¥132,000/エトロ ジャパン(エトロ) ニット帽¥15,400/SEASON(zayca) スカーフ¥11,700/WORN ネックレス¥7,920/SLOW 代官山店 ブーツ¥70,000/エドストローム オフィス(エイティーズ)

エレガントなキャミソールドレスにネックスカーフ、ニット帽のセットでぐっとヴィンテージライクに仕上げた。スパンコールを織り込んだ花柄は、シックな色調が大人にこそ似合う。チョーカーを首もとのアクセントに添えれば、2024年の装飾主義が完成する。

白に包まれて、夢見心地な気分

2024年の気分はボーホーシック! ステの画像_6
コート¥220,000・ニットドレス¥132,000・パンツ¥77,000/3.1 フィリップ リム ジャパン(3.1 フィリップ リム) チョーカー(ブローチ兼トップ)¥121,000/birth1970

ボーダーのカジュアルなニットドレスをメインに、たっぷりとした量感のコートをオン。お気に入りのファッションアイテムであり、お守りとしても愛用していた"ステートメント ペンダント"にオマージュを捧げて、首もとにはアイキャッチなモチーフをプラス。それが、一筋縄では終わらないスタイリングのフックとなっている。

フリンジを風になびかせて

2024年の気分はボーホーシック! ステの画像_7
ジャケット¥553,300・ドレス¥277,200・パンツ¥122,100/イザベル マラン 青山店(イザベル マラン) 頭に巻いたスカーフ¥11,700/WORN ブーツ¥255,200/JIMMY CHOO

メンズライクなツイードのジャケットにあしらったフリンジが、ボーホームードを加速させる。インにはあえて甘い表情のコットンドレスを選び、相反するテイストを堪能したい。エンジニアブーツとともに力強く闊歩する人物像は、自分らしさを貫くスティーヴィーの姿勢とも重なって。仕上げに頭に巻いたスカーフが、70年代らしい空気を薫らせる。

シックなトーンに奥行きを

2024年の気分はボーホーシック! ステの画像_8
キャミソール¥125,400・下にはいたボクサーパンツ¥82,500・レザーラップスカート¥400,400・レッグウォーマー¥34,100・ボディチェーン¥270,600・靴¥152,900/M(アン ドゥムルメステール) チョーカー¥363,000/エドストローム オフィス(シャルロット シェネ)

キャミソールやラップスカート、レッグウォーマーなどを巧みに重ねて。ベージュやブラックなどのベーシックカラーを選べば、コンテンポラリーに着地する。

なぜ今、スティーヴィー・ニックスなのか?

ハリー・スタイルズはスティーヴィー・ニックスを「彼女は、永遠に〝今〟の人であり、永遠にスティーヴィー・ニックスであり続ける」と称した。1998年にフリートウッド・マックの一員としてロックの殿堂入り。そして2019年にソロで、女性アーティストとして初の2度目の殿堂入りを果たした際のスピーチでのことだ。またテイラー・スウィフトは楽曲「クララ・ボウ」で「君はスティーヴィー・ニックスみたいだ/75年のその髪型も唇も」と歌っている。実際当時の彼女の髪型は、現在のテイラーやサブリナ・カーペンターとも似通っている。テイラーはまたこう語る。「彼女が道を切り開いてくれたおかげで、今の女性アーティストが存在する。私のヒーロー」と。

1948年、アリゾナ州生まれ。70年代に全盛期を迎えた伝説のフォークロックバンド、フリートウッド・マックのボーカリストであり主要なソングライターの一人であるスティーヴィー。1977年に発表された名盤『噂』は、史上最高に売れたアルバムランキングの9位、さらに去年アメリカで最も売れたアナログの8位でもある。収録曲の「ドリームス」は、なんと2020年にTikTokで大流行し、チャートに返り咲いた。

彼女はファッションにおいても、70年代のフォークシーンを象徴するようなボーホーから、90年代のゴシックなスタイルまで、時代に左右されずロマンティックで、自由であり続けてきた。そして2024年。フリートウッド・マックに影響を受けたシリーズ「Daisy Jones & the Six」が去年配信されたこともあり、ボーホーがリバイバル。TikTok上でも〝Stevie Nicks Outfits〟のハッシュタグで若者たちが彼女のスタイルを再現している。そしてクロエの最新コレクションが、このトレンドの復活を決定づけたといえる。

一貫したスタイルについて彼女は「自分自身であり続けることに自由がある」とも口にした。とりわけ70年代のロックシーンは、男性アーティストに占拠されていた時代。彼女のアティチュードは、ファッションにも発揮されているのだ。特に今のアメリカは、女性の権利やあり方が問われる、むしろ殺伐とした時代だ。彼女のようなしなやかな主張が新世代にはフレッシュに映り、心を射止めたのではないだろうか。

——— Text by 中村明美(ライター)

ファッションの最新記事はこちら

FEATURE
HELLO...!