フリートウッド・マックのボーカルとして、シンガーソングライターとして。一世を風靡したアイコン、スティーヴィー・ニックス。彼女の奔放なボヘミアンシックが2024年、トレンドと呼応してよみがえる! 現代的なエッセンスを加えて、モダンな着こなしを提案
フリートウッド・マックのボーカルとして、シンガーソングライターとして。一世を風靡したアイコン、スティーヴィー・ニックス。彼女の奔放なボヘミアンシックが2024年、トレンドと呼応してよみがえる! 現代的なエッセンスを加えて、モダンな着こなしを提案
なぜ今、スティーヴィー・ニックスなのか?
ハリー・スタイルズはスティーヴィー・ニックスを「彼女は、永遠に〝今〟の人であり、永遠にスティーヴィー・ニックスであり続ける」と称した。1998年にフリートウッド・マックの一員としてロックの殿堂入り。そして2019年にソロで、女性アーティストとして初の2度目の殿堂入りを果たした際のスピーチでのことだ。またテイラー・スウィフトは楽曲「クララ・ボウ」で「君はスティーヴィー・ニックスみたいだ/75年のその髪型も唇も」と歌っている。実際当時の彼女の髪型は、現在のテイラーやサブリナ・カーペンターとも似通っている。テイラーはまたこう語る。「彼女が道を切り開いてくれたおかげで、今の女性アーティストが存在する。私のヒーロー」と。
1948年、アリゾナ州生まれ。70年代に全盛期を迎えた伝説のフォークロックバンド、フリートウッド・マックのボーカリストであり主要なソングライターの一人であるスティーヴィー。1977年に発表された名盤『噂』は、史上最高に売れたアルバムランキングの9位、さらに去年アメリカで最も売れたアナログの8位でもある。収録曲の「ドリームス」は、なんと2020年にTikTokで大流行し、チャートに返り咲いた。
彼女はファッションにおいても、70年代のフォークシーンを象徴するようなボーホーから、90年代のゴシックなスタイルまで、時代に左右されずロマンティックで、自由であり続けてきた。そして2024年。フリートウッド・マックに影響を受けたシリーズ「Daisy Jones & the Six」が去年配信されたこともあり、ボーホーがリバイバル。TikTok上でも〝Stevie Nicks Outfits〟のハッシュタグで若者たちが彼女のスタイルを再現している。そしてクロエの最新コレクションが、このトレンドの復活を決定づけたといえる。
一貫したスタイルについて彼女は「自分自身であり続けることに自由がある」とも口にした。とりわけ70年代のロックシーンは、男性アーティストに占拠されていた時代。彼女のアティチュードは、ファッションにも発揮されているのだ。特に今のアメリカは、女性の権利やあり方が問われる、むしろ殺伐とした時代だ。彼女のようなしなやかな主張が新世代にはフレッシュに映り、心を射止めたのではないだろうか。
——— Text by 中村明美(ライター)