「大きな決断するときには、必ず占ってもらう」というほど、占い好きな芸人のバービーさん。実はお笑い以外でも挑戦したいことがあり、今後の運勢に興味津々。2022年に待っている未来とは?
Profile
バービーさん
芸人。1984年、北海道生まれ。東洋大学文学部インド哲学科卒業。2007年にハジメとお笑いコンビ「フォーリンラブ」を結成し、活動スタート。現在はYouTubeチャンネル「バービーちゃんねる」をはじめ、下着のプロデュースなど幅広く活躍中。著書に『本音の置き場所』(講談社)がある。
常識にとらわれない、新しい発想が開運のポイントに!
水晶 バービーさん、ご無沙汰しています。2021年5月の「ダウンタウンDX」でご一緒して以来ですね。
バービー はい、その節はありがとうございました。今日はもっとじっくりお話をお伺いしたいと思い、楽しみにしてきました。
水晶 私ももう少し丁寧にお話ししたいことがあったのでお会いできてよかったです。本当にここ1~2年、私たちは激動の時代の中にいますよね。振り返ってみると、2020年は、どの占いを見ても大きな変化の年と出ていたのですが、未知の新型コロナウイルスとの遭遇があって、世の中が大きく変わりました。十二支十干で見ると、2020年は「庚子」で、それこそ、まるで大きな隕石がガツーンと当たり、岩が粉々にくだけて、ネズミみたいに小さな破片になって、すべてが個々に飛び散った感じになりました。個人で動くしかなかった。
バービー 本当にみんなで集まることがなくなりましたよね。
水晶 そうですね。それから約2年たち、今は少しずつ落ち着きを取り戻しつつありますけど、元どおりになるかと言ったら、そうはならないと思います。
バービー 全部がコロナ禍前のようには戻らないってことですね。
水晶 はい。オリエンタル占星術では、2022年は「参宿」の年。「参」という字は、「にじむ」とか、「なじむ」という意味があって、コロナ禍で起きた変化が浸透していく年になります。実際、コロナ禍を経て「これってなくていいんじゃない?」と気づいたものって、いっぱいあると思うんですね。満員電車で毎日通勤するとか、「もうできない」っていう人、いっぱいいると思います。リモートでできるなら、それでいいじゃんって。一度、エデンの園のリンゴを食べてしまったら、もう元には戻れない(笑)。
バービー コロナ禍前は、台風が来てもみんな這ってでも出社していましたよね。それが今はノマド的な働き方が現実になっている。お笑いもYouTubeやインスタグラムで発信する人も増えました。このあとも、継続するだろうなというのは感じています。
水晶 また、2022年は寅年です。草むらから虎がワッと勢いよく飛び出してくるように、これまでの常識や既成概念にとらわれない新しい発想が生まれたり、時代を変えるような革新的なリーダーが現れたりする可能性があります。簡単な思いつきでもいいので、新しいアイデアを出して、トライ&エラーを繰り返しながらでも、今までと違うことをして一歩ずつ前に進むことは開運のカギです。
バービー 頭をやわらかくすることが大事ですね。個人的には、コロナ禍を経て、人とのつながりが希薄になっているところが心配です。最近は、家族のあり方も変わって、どんどん個人主義の傾向が強くなっていますよね。そこからあぶれてしまった人たちはどうなるのかなって。
水晶 確かにそうですね。ただ西洋占星術では、2021年から約200年単位で「土の時代」から「風の時代」に変わってるんですね。家とか土地に縛られるのが、以前の「土の時代」だとすれば、もっと別の形のコミュニケーションが生まれてくるのが「風の時代」。これまでのように家族とか地縁というつながりは、薄くなるかもしれないけれど、代わりにインターネットだとか、新しいツールでつながった共同体が必ず出てくると思います。
バービー なるほど。形にこだわらなくていいということですね。
水晶 恋愛だって、昔は同じ会社の人とか、知っている人からの紹介などが定番でしたけれど、今やマッチングアプリも広く使われています。変化を受け入れて、新しい快適な生活を求めたのが2020年〜’21年だとしたら、それを調整して一歩進むのが2022年なんだと思います。
バービー では、コロナ禍も終息して、少し明るい年になるということでしょうか。
水晶 そうとも言えないかな。2020年、2021年と比べると穏やかですが、十二支を季節にたとえると、2022年の寅年から「春」に移り変わります。新しいものが芽吹く一方、予期せぬ出来事が起こりやすい傾向もあるので油断は禁物。コロナの終息は、いろいろな占いを総合して2024年以降になるのではないかと予想しています。
占いをはしごしたりもします(笑) - BARBIE
トライ&エラーをしながら前に進んで - TAMAKO
占いは「さだめ」ではないので、「道具」として使ってほしい
水晶 バービーさんの個人的な話をすると、1984年1月26日生まれの水瓶座ですよね。2021年は、水瓶座に幸運の星・木星が入っていて、12年に一度の大幸運期でしたけど、どうでしたか。
バービー まさにそのタイミングで結婚したのに加え、仕事でも飛躍できたし、金運もすごくよかったんです。
水晶 それは何よりです。先ほど聞いた話では、結婚は占い師さんに見てもらったのがきっかけで決めたとか。
バービー はい。彼とは急いで結婚するつもりはなかったんですけれど、年初めに占っていただいたのがきっかけで、1カ月くらいでバタバタッと決めました。
水晶 実はバービーさんは、「生月天中殺」といって、生まれた月が天中殺なんですね。生月天中殺の人って、自分の意志で、「この道を行こう」と切り開いていくより、人から「これやってみたら?」と言われたことをやって、流れに乗っかっていくほうが成功するタイプなんです。
バービー それ、めちゃめちゃ当たってます! 私、自分で道を切り開くタイプに見られがちなんですけど、全然違う。人の言うことに従ってここまできたんですね。この世界に入ったときも、最初はドラマの脚本を書きたいと思っていたのに、スクールの人に「おまえは芸人だろ」と言われて、芸人のコースに進んだし、コンビを結成したときも相方に何度も誘われて、「まあ、そこまで言うなら」っていう感じで組んだんです。
水晶 特に2020年から2022年には、バービーさんは年運の天中殺(子丑天中殺)だったので、それも幸いしたと思います。
バービー えっ、天中殺なのが幸いしたっていうのは、どういうことですか?
水晶 生月天中殺や生年天中殺(生まれた年が天中殺)の人は、年運の天中殺のときのほうが周囲に振り回されず、自分の意志を通すことができるんですね。だからこの2年は、結婚にしろ、仕事にしろ、自分の意志で決められたっていうのがあると思う。2022年の節分で、天中殺が終わるから、それまでに大事な決断はしたほうがいいかもしれません。天中殺って誰にとっても必ずしも悪いことばかりの時期ではないんです。それにしてもバービーさんは、結婚のときも占い師さんに見てもらったくらいだから、占いがお好きなんですね。
バービー めちゃめちゃ好きで、いろんな占いに行きます。エンタメ性の高いものから、カウンセリング的なものまで何でも。自分が欲しい答えをもらえなかったときは、占いをはしごしたりします(笑)。
水晶 そうやってはしごすることで、自分の本当の気持ちに気づくこともありますよね。
バービー そうなんです。大事な決断をするときには、占いで見てもらうことが多いですが、そのときには自分の気持ちはだいたい決まっているかもしれません。
水晶 それでいいと思います。占いって、決して「さだめ」ではないんですね。自分の選択で運命は変わっていくんですよ。だから何か決断するときに、「あ、占いであんなこと言ってたな」って思い出すくらいでいい。占いに支配されちゃうと自分をなくしてしまうから、あくまで道具として使ってほしいですね。
何かを守りたいという気持ちを持つと、大きな力を発揮します
水晶 仕事に関して言うと、バービーさんは、人をまとめて、何かを組織して引っ張っていくような仕事が向いています。加えて「守る」がキーワード。「これを守りたい」という気持ちを持つと、大きな力を発揮できます。
バービー つまり、芸能界以外の仕事の可能性もありますか?
水晶 はい。42歳までに、ご自分のライフワークに出合えると思います。
バービー すごく思い当たるものがあります。実は4年前くらいから、故郷の町おこしの活動に取り組んでいまして。
水晶 ご出身は北海道ですよね。
バービー はい。栗山町というところで、炭鉱で栄えた町ですけれど、今は過疎化が進んでいます。私は大学進学で上京してから、ずっと東京で生活してきたんですが、田舎を離れて、そのよさに気づくことがたくさんあったんですね。美しい自然はあるし、おいしい食べ物もある。その魅力を伝えることができれば、きっと町を盛り上げることができるんじゃないかと。そのような思いで、友人と町役場に直談判に行ったのが最初です。
水晶 素晴らしいですね。具体的にはどんなことを行なっているんですか?
バービー たとえば地元の野菜を全国の方に手に取ってもらえるようにECサイトを作って販売したり、加工品にする活動ですね。「町ごとホテル化計画」というプロジェクトも進行中です。栗山町には、空き家となった古民家がたくさんあるので、リノベーションして部屋に見立て、町全体をひとつのホテルにするという構想です。今後、町とのかかわりはより深くなるし、まさに私が引導していかないといけないので、私のライフワークなのかなと思います。
水晶 すごい行動力。もともとバービーさんは子丑天中殺の人だから現実を大きく動かす力があるんですよね。さらに2022年は、新しいアイデアを出していくことで運が開ける年。どんどん進めていってほしいです。なにしろバービーさん、すごく楽観的なところがあるはず。どんなときも「どうにかなる」って思っているところないですか?
バービー 思ってます。「まあ、なんとかなるでしょう」って(笑)。でも、周囲の人たちには、迷惑をかけてるかも……。
水晶 西洋占星術でバービーさんのホロスコープを見ると、木星、金星、海王星がコンジャンクション(接近して、力が重なり合うこと)していて、ものすごく発想力豊かだけど、夢見ているみたいに楽観的。「詰めが甘い!」「ゆるすぎ!」というところはちゃんと実務能力のある人の力を借りてください。感謝しながら(笑)。
バービー うわっ、耳が痛い。
水晶 ただ楽観的って周囲を明るくするし、人を押すパワーにもなります。それって誰もが持っている力じゃなく、すごいことですよ。
占いもお笑いも時代につれて、ジェンダー規範が変わっている
水晶 ところで「土の時代」から「風の時代」に変わって、今までの価値観はどんどん変わり始めています。お笑い界でもいろいろ変化があるんじゃないですか?
バービー はい。以前は、女芸人は、ド派手で、インパクトがあって、ブサイクに見えるほうが得でした。それで笑いを取れていたんですね。でも、今はブサイクに見えることが女芸人にとってメリットとは限らない時代に。みんな、過度なブサイクメイクをしないようになりました(笑)。この変化は私自身も楽しんでいます。「女芸人」という見られ方から、ただの「芸人」という見られ方に変わってきたんだと思います。
水晶 結婚している人も多いし、みなさん、自然体でいいですよね。
バービー コロナ禍による大きな変化もありました。以前は、テンポの速い掛け合いだとか、必ずオチをつけるのがカッコいいみたいな文化がありましたけれど、少し薄れた気がします。ゆるい空気でもオーケーという感じになったし、ほんわかする芸人が売れるようになったりしました。
水晶 コロナ禍では大きな声も張れないし、現実が厳しい分、鋭いツッコミより癒やしが求められるようになったのかも。
バービー そもそもひな壇がなくなっちゃったから、芸人同士の速い掛け合いのリレーや、団体芸みたいなことができなくなったんですよ。これには賛否両論あって、前のほうがよかったという芸人さんもいますけど、私は今のほうが断然好きですね。以前だと、テレビで見ているだけで、「ああ、このタイミングで話を振られたらキツい」って冷や汗が出ちゃって。今は安心して見ていられるし、視聴者の方も同じなのかなって思います。
水晶 風の時代の影響もあって、ボケやツッコミなど定型や序列などに縛られない自由さが魅力になるし、しばらくは知的でゆったりした感じが、お笑いでもエンタメでも受けそうです。特にバービーさんは、風の星座である水瓶座の生まれだから、あまり枠のないこの時代が合っていると思いますよ。
バービー 自分でもそう思います。占いも時代によって変わってきましたか。
水晶 そうですね。古い時代の占いの本などを見ると、女性のことなんて、ほとんど書いてないんですよ。書いてあっても良妻賢母になるのが最高で、結婚もしない、子どもも産まない女の人生なんて失敗でしかない、というイメージで書かれていて。でも、現代社会では、女性も社会進出して、生き方の選択肢もたくさんあるから、解釈自体を変えていく必要があるわけです。特に私は、女性誌で長く書いてきたので「女性の人生の多様性をどう感じて、占いで表現するか」は自分の中で、大きなテーマになっていました。
バービー 占いも時代の価値観が反映されているということですね。
水晶 そうです。だからジェンダーを規定しないよう、今は占いで「彼」「彼女」という言葉ではなく、恋人とかパートナーと言うようになりましたね。あと、昔の占いでは、夫は妻の運気をもらえるけれど、その逆はないと教えられたんですよ。いわゆる“内助”ですね。でも、今の時代にそれって全然合ってないし、当然、その逆もあると私は思っています。ちなみに2021年にご結婚されたバービーさんのパートナーは、39歳まで海外運がとてもいいんですね。バービーさん、以前から「海外で歌姫になるのが夢」って言っていたけれど、もしも実現したいなら、パートナーが40歳になるまでに挑戦したほうがいいですよ。
バービー それはいいことを聞きました! ほかに、2022年を乗り切るために、知っておいたほうがいいことはありますか。
水晶 十二支十干で見ると、2022年は「壬寅」。「壬」は陰陽五行の「陽の水」の気で、学びや習得を象徴するものです。仕事、趣味、資格など、何でもいいので、何かを学んで吸収しようという姿勢は開運につながります。それと情報戦争やフェイクニュースの問題も起こりやすいときです。SNSなどは、情報を発信するにしろ、受け取るにしろ、盲信的にならないようにしてください。
バービー 気をつけなくちゃですね。
水晶 それから2022年、土星が水瓶座にある間に「人権」というものがクローズアップされ、人道主義的な方向に社会が変わっていきます。人のために何ができるだろうと考えたり、行動したりすることがキーポイントになっていくので、ボランティアに参加するのもいいですね。また、運気が滞っていると感じたときは、自分のためではなく人のためにできることをしてみてください。それだけで気の巡りがよくなりますから。ちなみに、具体的な開運カラーとして今日はバイオレット系のワンピースを着ました(笑)。紫や青系の色はおすすめです。
バービー そうなんですね。今日はいろいろとためになることをお話しできて楽しかったです。ありがとうございました。これで2022年も前向きに生きられそうです!
Message from Tamako Suisho
2022年は、これまでの既成概念にとらわれない斬新なアイデアなどが必要になります。生きることは変わり続けること。占いを"道具"として使いながら、ゆっくり変化していきましょう。あなたはどんなふうにも変われます
SOURCE:SPUR 2022年2月号『水晶玉子さん×バービーさんの「私と社会はこう変わる」』
illustration: Yukina Ieda interview & text: Hiromi Sato photography: Wakaba Noda 〈TRON〉 styling: Natsuki Taniguchi (BARBIE) hair & make-up: Mayu.H (BARBIE), Yuka Toyama 〈mod’s hair〉(Tamako Suisho) cooperation: AWABEES