格式高さと、先進的なビジョンで知られるカルティエ。人生のお守りとして、今買うべき逸品とは? ジュエリーを愛するふたりが心ときめかせながら届ける
20代で買うなら
ナットをモチーフにした「エクル ドゥ カルティエ」は、感度の高い20代にぴったりなデザイン性に富むコレクション。個性的なモチーフを用いながら、ディテールに至るまで端正なフォルムが印象的。
「エクル ドゥ カルティエ」リング〈YG〉¥243,000・〈WG〉¥259,000/カルティエ カスタマー サービスセンター(カルティエ)
50代で買うなら
数あるカルティエのアイコンの中でも、最も格式高い「パンテール」は、上質を知り尽くした50代にこそふさわしい。表情豊かかつ躍動感あふれるモチーフが、主役級の輝きを放つ。
「パンテール ドゥ カルティエ」リング〈WG、ダイヤモンド、エメラルド、オニキス〉¥4,176,000/カルティエ カスタマー サービスセンター(カルティエ)
スタイルあるモードラバーの手もとに不朽のアイコンを
本間(以下H) 岡部さんが選んだ「20代で買うべきジュエリー」は、「エクル ドゥ カルティエ」。釘をモチーフにしたアイコン「ジュスト アン クル」と同じく、日用品をプレシャスに昇華したコレクションですね。
岡部(以下O) エッジのきいたデザインが好きで、2017年のデビュー以来狙っていました。「ジュスト アン クル」にももちろん憧れますが、モード好きとしては、あえて知る人ぞ知る“バイプレイヤー”をピックアップして個性を出したいなと。
H 玄人好みのシリーズを選ぶあたりが岡部さんらしいですね。
O 20代って、いろんなファッションを楽しむと同時に、長く使い続けられる質のよいものへの関心も芽生える世代ですよね。本間さんのファースト・カルティエって何でしたか?
H 今はもうない「エリプス」というコレクションのゴールドのリングを買ったのが最初ですね。シンプルながら、モダンなデザインがお気に入りでした。岡部さんが今日親指につけてるのは、「トリニティ」ですか?
O はい。ミーハーなんですが、ジャン・コクトーが小指につけていたというエピソードに触発されて、昨年末に買いました(笑)。
H コクトーもそうですが、カルティエのジュエリーをつけてる人って、自分のスタイルを持っているイメージがある。
O わかります! そして、さまざまなアイコンジュエリーそれぞれにペルソナがあるような気がします。たとえば本間さんが選ばれた「パンテール ドゥ カルティエ」は、強くて自立心のある女性、というような。
H ジャンヌ・トゥーサンのイメージ、そのままですよね(笑)。アイテムによって少しずつ顔が違うのが「パンテール」の魅力ですが、個人的には前足がついたデザインが好き。年を重ねた手もとには、高さと立体感のあるリングがよく似合います。
O 確かに、これだけのラグジュアリーなジュエリーは、若い人では気合負けしてしまいそうです(笑)。かなりボリュームのあるデザインですが、愛嬌のあるモチーフなのでカジュアルなスタイルにも合いそうですね。
H まさにそのとおり! ジュエリーもファッションと同じ。これはこう合わせなければいけない、というルールはありません。ハイエンドなアイテムこそ、自分らしく取り入れるのが真のモードラバーです!
Profile
本間恵子
時計・ジュエリー専門ジャーナリスト。ジュエリーデザイナーという経歴に基づく鋭い目利きと、圧倒的な知識を武器に、メディアでの執筆やテレビ出演など幅広く活躍するエキスパート。
岡部駿佑
美しいものをこよなく愛するエディター。専門分野はランウェイとジュエリー&ウォッチ。SPUR.JPでYouTube連載もスタート。デジタルとプリントを横断して活動。
※この特集中、以下の表記は略号になります。YG(イエローゴールド)、WG(ホワイトゴールド)
SOURCE:SPUR 2021年4月号「人生 100年時代のジュエリー」
photography: Masanori Akao 〈whiteSTOUT〉 styling: Lisa Sato 〈bNm〉 text: Shunsuke Okabe