2022.03.06

【教養としてのジュエリー学 vol.1】CHANEL ココ クラッシュ

シャネルのスタイル哲学を継承するファインジュエリーとして2015年に発表された「ココ クラッシュ」。メゾンを象徴するキルティングモチーフを再現したシンプルでありながら印象的なデザインで、発表当初から世代や性別を問わず支持を集めている。

(右から)リング〈WG〉¥440,000・〈ベージュゴールド〉¥319,000・〈ベージュゴールド、WG、ダイヤモンド〉¥385,000/シャネル

フープピアス〈ベージュゴールド〉¥649,000・イヤーカフ〈ベージュゴールド、WG×ダイヤモンドの2本セット〉¥396,000/シャネル タンクトップ¥24,200/フィルグショールーム(A.ROEGE HOVE)

新作のフープピアスは、イニシャル「C」を彷彿とさせるシルエットが特徴。定番のイヤーカフやリングも引き続き注目。シンプルなものから、異なる色のゴールドを組み合わせた個性的なデザインまで幅広いラインナップが揃うのも「ココ クラッシュ」の魅力。



タイムレスな美学を宿したジュエリーで自分を慈しむ

岡部(以下O) 好評をいただいているジュエリー連載が4月号からリニューアル。今回クローズアップするのはシャネルの「ココ クラッシュ」です。

本間(以下H) 発表されたのは7年ほど前。シャネルのアイコンコレクションの中では比較的新しいものですが、すでに多くの方に愛され、メゾンを代表するジュエリーとなっていますね。

O モデルビジュアルでは、新作のフープピアスを合わせています。

H ワードローブの定番であるフープピアスですが、大胆にあしらったキルティングのモチーフが個性的。

O ミニマルなシルエットなので、イヤーカフとの重ねづけが映えますね。

H ちなみにフープピアスは2019年にトレンドの兆しがあったんです。ランウェイでもさまざまなブランドで登場していて。そこへきて、パンデミックによって世界は変わってしまった。

O 私自身もですが、マスクを着用するようになってピアスをつける頻度がめっきり減ってしまいました。マスクの紐と相性が悪いんですよね。

H 私もそうでした。ただ、そろそろマスク生活にも慣れてきたのか、最近ではファッション感度の高い人たちがデコラティブなフープピアスや、大ぶりなイヤーカフをつけているのをよく見るようになりました。

O 顔に一番近いパーツなので、マスクを着用していても華やかさを演出できる、という点では今の時代にこそ必要なアイテムかもしれませんね。ちなみに普段私はイヤーカフを使っているのですが、サイズ選びが難しくて、耳が痛くなることもしばしば……。

H 私は逆に、サイズが大きくて落ちてしまうことが多いです。イヤリングも、ピアスの穴の位置や、耳の形によって見え方がガラッと変わるので、実物を試着するのがやはり最善ですね。

O 2022年といえば、マドモアゼル シャネルが初めてジュエリーコレクションを発表してから90周年という節目の年にあたります。改めて、本間さんが考えるシャネルのファインジュエリーの魅力について伺えますか?

H まずはタイムレスなデザイン。ファッション同様、トレンドに左右されない美学を体現し、時を経ても色あせない魅力を放つのが最大の魅力です。

O 改めて考えると、1世紀以上前に発表されたスタイルが、今なおデザイナーたちをインスパイアし続けていること自体が驚異的な事実ですね。

H もう一つ、シャネルならではのアプローチが、ミックス&マッチでさまざまなスタイリングに合わせられるという点。マドモアゼル シャネルといえば、高価なジュエリーとコスチュームジュエリーをミックスさせるのを好んだというのは有名な話。宝石が階級や権力の象徴として扱われていた当時からは考えられなかったことです。

O 人に見せびらかすためではなく、自分らしさを表現するために身につける。今で言うところのセルフエンパワーメントにも近い考え方です。

H ちなみに私の友人は、「ココ クラッシュ」のキルティングモチーフが「XX(キスキス)」のように見えるといって愛用していました。ポストコロナ時代に向けて、デザインだけでなく、自分らしいメッセージを込めたジュエリーを見つけられたら素敵ですね!

本間恵子
時計・ジュエリー専門ジャーナリスト。ジュエリーデザイナーという経歴に基づく鋭い目利きと、圧倒的な知識で、モード誌をはじめ幅広いメディアで活躍する唯一無二のエキスパート。

岡部駿佑
美しいものをこよなく愛するエディター。専門分野はランウェイとジュエリー&ウォッチ。SPUR.JPでのYouTube連載も好評を博し、デジタルとプリントを横断して活動中。

SOURCE:SPUR 2022年4月号「教養としてのジュエリー学」
photography: Masanori Akao 〈whiteSTOUT〉 styling: Lisa Sato 〈BE NATURAL〉 hair & make-up: Ryoki Shimonagata model: Ayumi Turnbull text: Shunsuke Okabe cooperation: AWABEES

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