2019.03.04

眼福ジュエリー図鑑 vol.1 BOUCHERON

生命の輝きや悠久のものがたりを閉じ込めた美の結晶。心を無にして眺めれば、しあわせな気持ちに満たされる。

 

軽やかな一瞬の動きを愛らしいジュエリーに

澄み切った空気の中、陽光を浴びて舞うクジャクの羽根と、湖面で翼を休める白鳥。繊細な動きを捉えたジュエリーには、ブシュロンならではの表現の技が光っている。硬くて重いゴールドを用いながら軽やかな作品は、創業から160年以上を経た今も、他の追随を許さない。1883年に誕生し、一躍メゾンの名を高めたクエスチョンマークネックレスは、一枚のクジャクの羽根をくるりと首に巻いたような、留め金のないデザインだった。身につける女性をときめかせる開放感を実現したのは、メゾンに受け継がれてきた、ゴールドを扱う特別なノウハウ。現代のジュエリーの大きな課題である、軽快なデザインと装着感を、ブシュロンは19世紀にすでに手に入れていた。その秘伝の技は、鳥の羽根にとどまらず、さまざまな動物たちの動きや毛並み、表情にも発揮されている。そこにあるのは、愛に満ちたまなざし。創業時から一貫した物づくりの姿勢が、アニマルコレクションをはじめとする作品すべてを輝かせる。

メゾンの伝説的なネックレスをルーツに持つ、クジャクの羽根モチーフのリング。ハイジュエリーの制作に用いられてきた高度な技術を受け継ぐゴールドの羽根は、表面にダイヤモンドをパヴェセッティングし、優美なローズカットの一粒ダイヤモンドを戴く。その一部はそよぐように動き、しなやかに指を包み込むかのよう。内側まで美しい完璧な仕上げが、軽やかな外観にふさわしい、格別の装着感を生む。"プリュム ドゥ パオン"リング〈K18WG、ダイヤモンド1.95ct/一粒石0.5ct〉¥4,700,000/ブシュロン カスタマーサービス(ブシュロン)

チャイコフスキーの「白鳥の湖」にインスピレーションを得た"シプリス"コレクションのペンダント。立体的で何層にも重なる羽毛の表現は、卓越したゴールドの彫金技術によるもの。白鳥は、つがいが互いを選び合って長い旅をし、一生を共に暮らすことから、完璧な愛を象徴するといわれる。そのダイヤモンドの羽根とルビーの眼が囁きかける、永遠の愛のものがたりを胸に。"シプリス"ペンダント〈K18WG、ダイヤモンド3.78ct、ルビー、オニキス〉¥5,100,000/ブシュロン カスタマーサービス(ブシュロン)

※この特集中、以下の表記は略号になります。WG(ホワイトゴールド)

SOURCE:SPUR 2019年4月号「眼福ジュエリー図鑑」
photography:Masanori Akao〈whiteSTOUT〉 styling:Yumi Takashiba edit:Michino Ogura text:Hiroko Naruse

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