眼福ジュエリー図鑑 vol.7 TIFFANY & CO.

1960年代に誕生したジュエリーが、今なお心を惹きつけるのはなぜだろう?その秘密は、遊び心あふれるデザインと、永遠の美をもたらすクラフツマンシップにある。

クリエイティブな遊び心が、永遠の名作を生む

1837年創業のティファニーは、これまでに多くのマスターピースを創造してきた。なかでもブランドを語るときに欠かせないふたりのデザイナー、ジャン・シュランバージェとエルサ・ペレッティによる作品が、今も制作されている点に注目したい。ともに60年代に誕生した"バード・オン・ア・ロック"と"エルサ・ペレッティ ボトル"は、現在もみずみずしい美しさにあふれている。プレイフルで自由なマインドを感じさせる、普遍的なデザイン。そこにティファニーならではのクラフツマンの技が施されて誕生する、研ぎ澄まされたフォルム。エターナルな美を宿すジュエリーは、時の流れを超えて輝き続ける。

サファイアの瞳とダイヤモンドの羽を持つ鳥がジェムストーンにとまるブローチ。ジャン・シュランバージェの名作デザインを、新たな素材でよみがえらせた。ピュアなライラックピンクの、類いまれな色石は、エメラルドカットを施した、39.27ctのクンツァイト。ブランド創成期にジェモロジストとして活躍したクンツ博士に価値を見いだされ、彼にちなんだ名を持つ、特別な存在だ。

"バード・オン・ア・ロック"ブローチ〈K18YG、Pt、クンツァイト、ダイヤモンド、ピンクサファイア〉¥8,000,000/ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク(ティファニー)

"ボトル"コレクションは、エルサ・ペレッティが初めてデザインしたジュエリーのひとつ。彼女がイタリアのポルトフィーノを訪れた際に、花を手にした麗しい女性たちの姿に魅せられて「その花を美しく咲かせ続けるために」作ったといわれる。スモールサイズのオープンボトルのトップは、42.6×35㎜。有機的なフォルムから薫り立つような、自由で解放的な気分を胸に。

"エルサ・ペレッティ ボトル"オープンボトル ペンダント(スモール)[右]〈K18YG〉¥415,000・[左]〈Sil925〉¥63,000/ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク(ティファニー)

※この特集中、以下の表記は略号になります。YG(イエローゴールド)、Pt(プラチナ)、Sil925(スターリングシルバー)

SOURCE:SPUR 2019年10月号「眼福ジュエリー図鑑」
photography: Masanori Akao〈whiteSTOUT〉 styling: Yumi Takashiba edit: Michino Ogura text: Hiroko Naruse