眼福ジュエリー図鑑 vol.10 MIKIMOTO

1世紀もの歴史の中で、日本発信の独創的なスタイルを築き上げたミキモト。「カワイイ」魅力にあふれたジュエリーには、世界中にファンがいる。

愛らしくフェミニンなスタイルは永遠に

ミキモトのジュエリーは、どこかノスタルジックな薫りがする。そのルーツは、いち早く西洋と日本のデザインの融合に着目し、 大正から昭和初期にかけて確立した「ミキモトスタイル」にある。当時の流行をリードした、モダンガールを思い浮かべてみよう。彼女たちを彩った繊細でエレガントなジュエリーは、時代を超えて女性の心をくすぐる、可愛らしさを兼ね備えている。それが、日本独特の美意識を世界に向けて発信する「ミキモトスタイル」の始まりだ。その流れは過去と現在、そして未来をつなぐ。ミキモトならではの高品質な真珠と匠の技に、「カワイイ」すなわち永遠の乙女心が加わったスタイルは、不変の魅力を宿している。

リボンモチーフは、ミキモトの創業時から用いられてきた、代表的な意匠のひとつ。技術の発達とともに、本物のような軽快さを備え、時代に呼応して進化してきた。先端が風にたなびくような繊細さをホワイトゴールドとダイヤモンド、アコヤ真珠で表現したネックレスは、そのシンボルともいえる存在だ。しなやかな動きのあるリボンに、軽やかに配されたダイヤモンドの見事なセッティング。気品ある輝きの真珠へと流れるようにつながる優美なデザインは、ミキモトならでは。

ネックレス〈約40㎝/K18WG、アコヤ真珠φ約3㎜~5.5㎜、ダイヤモンド約5.93ct〉¥6,500,000/ミキモト カスタマーズ・サービスセンター(ミキモト)

夢のある楽しいデザインを形にするのは、職人の手の技だ。人気のアニマルモチーフのジュエリーは、真珠のフォルムに合わせて一点ずつデザインし、すべて手作業で制作。天然真珠をそのままリスの尾に生かしたブローチは、ブラウンとホワイトのダイヤモンドが、毛並みを描くように配されている。大ぶりの白蝶真珠を胴体に見立てたカバは、開いた口の中一面に並ぶダイヤモンドが、繊細かつユーモラスなチャームポイント。

ブローチ(上)〈H約2×W約2.5/K18WG、天然淡水真珠、ダイヤモンド約1.01ct、ガーネット約0.27ct、オニキス〉¥2,400,000・(下)〈H約2.5×W約4/K18WG、白蝶真珠、ダイヤモンド約0.35ct〉¥3,300,000/ミキモト カスタマーズ・サービスセンター(ミキモト)

※この特集中、以下の表記は略号になります。WG(ホワイトゴールド)

SOURCE:SPUR 2020年1月号「眼福ジュエリー図鑑」
photography: Masanori Akao 〈whiteSTOUT〉 styling: Yumi Takashiba edit: Michino Ogura text: Hiroko Naruse

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