“キング・オブ・ダイヤモンド”と呼ばれ、あらゆる石に通じていた創始者ハリー・ウィンストン。「宝石そのものがジュエリーの個性を決定する」との信念が、ブランドを象徴する格別な輝きを生む。
特別な技法から生まれるシンボリックな輝き
最上級のダイヤモンドの代名詞として知られるハリー・ウィンストン。1932年にニューヨークで創業するやいなや、宝石を見極める卓越した眼力を生かし、たちまちトップジュエラーの地位を確立した。その名声は、マリリン・モンローが「教えて、ハリー・ウィンストン! 私にダイヤモンドのすべてを!」と歌ったことで世界的に。ある夜彼は、新雪きらめくヒイラギのリースにインスパイアされ、宝石と自然の美の根底に通じるものを見いだす。そして、宝石の形と輝きそのものがデザインを導き出すとの新たなコンセプトに沿い、さまざまなカットの石を極細の金属で立体的にセッティングする、クラスター技法を発明した。こうして比類なき輝きを放つジュエリーが次々に誕生。その秘密は、極上の宝石への愛と、画期的かつ独自のノウハウにある。
忘れな草の花をモチーフにしたリングは、クラシカルで気品に満ちた佇まいが印象的。ペアシェイプの宝石を6枚の花びらに見立て、ラウンドカットのダイヤモンドをセンターに配し、咲き誇る花のように。プラチナの極細の爪が、花びらにそっと寄り添うようにあしらわれ、それぞれの石の輝きを際立たせている。
“フォーゲット・ミー・ノット”リング[右]〈Pt、ダイヤモンド、ピンクサファイア〉¥1,370,000・[中]〈Pt、ダイヤモンド〉¥2,450,000・[左]〈Pt、ダイヤモンド、サファイア〉¥1,370,000/ハリー・ウィンストンクライアントインフォメーション(ハリー・ウィンストン)
ハリー・ウィンストンは、生涯を通して自然が生み出す究極の美に魅せられ、それらに着想を得たジュエリーを創造した。1950年代に誕生したヒマワリのモチーフは、均整のとれた美しさとあふれるような生命力の象徴として、約70年間愛され続けている。ヒマワリの花のセンターストーンは、ラウンドカットのダイヤモンド。それを小ぶりのダイヤモンドが、光の輪のように取り囲む。3輪の花を連ねたペンダントトップは、最小限のプラチナを用いたセッティング。繊細さを完璧に表現している。
“サンフラワー・スリーモチーフ・ペンダント”〈Pt、ダイヤモンド〉¥3,450,000/ハリー・ウィンストン クライアントインフォメーション(ハリー・ウィンストン)
※この特集中、以下の表記は略号になります。
Pt(プラチナ)
SOURCE:SPUR 2020年2月号「眼福ジュエリー図鑑」
photography: Masanori Akao 〈whiteSTOUT〉 styling: Yumi Takashiba edit: Michino Ogura text: Hiroko Naruse