女性による、女性のための宝飾品。色石をふんだんに用いたポップな色彩感覚と、オンリーワンのストーリーからなるチャーミングなピースには、幸福が満ちている。
【ジ】ュエリーにはファンタジーが必要だ
ディオール ファイン ジュエリーのコレクションの背景には、いつも心に響く物語がある。1998年にアーティスティック ディレクターに就任したヴィクトワール・ドゥ・カステラーヌが、従来の保守的な宝飾界に吹き込んだ新しい風。9世紀から続く名家に生まれ、幼い頃からハイジュエリーに囲まれて育った彼女は、宝石を知りつくしている。その彼女がムッシュ ディオールの美的価値観を受け継ぎ、さらに自身のエッジィな感性を融合して、唯一無二の世界観を創造した。特にユニークなのが、縁起をかついだムッシュ ディオールの一面に着想を得たデザインだ。“テト ドゥ モール” リングは「メメント モリ」(死を想え=今を楽しめとのラテン語)を彼女流に解釈し、幻想的なスカルに表現。“ローズ デ ヴァン” ハンドジュエリーは羅針盤の風配図をメダイヨンにあしらい、いつも身につけられるお守りに。自由な発想の根底に流れる美しい夢。そこから新しい可能性をアピールするジュエリーが、次々と誕生する。
スカルの顔は、アメシスト原石から手作業で加工し、研磨して製作したもの。宝石彫刻と立体的な金細工、繊細なセッティングに、匠の技が光る。高さ約3.3㎝(編集部調べ)のパワフルな存在感も、主役にふさわしい。
“テト ドゥ モール” リング〈K18PG、ダイヤモンド、アメシスト、ピンクサファイア、イエローサファイア、エメラルド、トルマリン、スペサルタイト ガーネット、ツァボライト ガーネット、ターコイズ〉¥8,700,000
オリエンタルな雰囲気の意匠に、メダイヨンがスパイシーに輝いて。
レングス18.5㎝、着用時のブレスレットからリングまでは約8.5㎝(編集部調べ)。“ローズ デ ヴァン” ハンドジュエリー〈K18YG、ダイヤモンド、ラピスラズリ、MOP〉¥1,050,000/クリスチャン ディオール(ディオール ファイン ジュエリー)
※この特集中、以下の表記は略号になります。PG(ピンクゴールド)、 YG(イエローゴールド)、MOP(マザーオブパール)
SOURCE:SPUR 2020年11月号「眼福ジュエリー図鑑」
photography: Masanori Akao 〈whiteSTOUT〉 styling: Yumi Takashiba edit: Michino Ogura text: Hiroko Naruse