#09 大きくったっていいじゃない、Pomellato(ポメラート)のリング

「リトラット」(右)¥850,000・(左)¥533,000<ともにローズゴールド、ローズクォーツ、ブラウンダイヤモンド>/ポメラート

「重ねづけを楽しめるよう小ぶりに華奢に」というのがジュエリー界のトレンドです。特にカラージェムを使ったコレクションはこの傾向に。ところが、ポメラートが世に送り出したばかりのこちらはその流れに完全に逆行。大胆なジュエリーが生まれた背景にはこんなストーリーがあります。

古代のインドに、「ポートレートカット」なるものを施された宝石がありました。時計の風防のごとく、細密画を覆う美しきカバーとして使われていたとのこと。(なんと贅沢なカバーですこと! )絵を覆うくらいですから大振りな宝石だったのでしょう。これに着想を得たコレクションが、今回の主役「RITRATTO(リトラット)」。イタリア語で「ポートレート」を意味する言葉です。

ですからこの大きさは必須だったのです。だけど王侯貴族でもないのに存在感のあるジュエリーを身に着けるのは、気がひけますね。だって妙な貫禄が出てしまいますもの。「ワシの石、大きいだろう!」みたいな。

その点、RITRATTOは「石が大きいからって威張っちゃダメよ」とウィンクをしているかのような軽やかさがあります。ファセットをくっきり出すというよりは面取りをしたかのようなカットは、どこまでもまろやか。指の角度とは逆方向に逃げていくかのように、センターストーンはちょっぴりナナメっています。カチッと90度の角を作れる技術がありながらも「あえてナナメっちゃう」お茶目さがとてもポメラートらしい。

一見キメキメじゃないカットですが、実は22のクラウンファセットに68のパビリオンファセット、計101のファセットを内包しています。その深遠な輝きを見ていると、トイレから深海へ潜り込んだ『トレインスポッティング』のレントンのように指輪の中に入ってしまいたくなります(例えが汚くてゴメンナサイ)。

さらなる胸キュンポイントはアシンメトリーな爪。宝石の煌めきに引き寄せられてじゃれつくネコもしくはネコ科の動物を想起させます。(ちなみにPRの方に何の爪か聞いたところ、特にないですとのこと。こちらの想像にゆだねてくれる”ゆるさ”もうれしい)

私のいちばんのおすすめは、ローズクオーツ×ローズゴールド。日本人はピンクが好きだろうとばかりにジュエリーも”ピンク攻め”が多い昨今ですが、こちらはひと味違います。乳白がかったひんやりとした色に、ゴールドのマット具合が洒落ているんです。ダイヤモンドはブラウンをチョイスしているのも絶妙。うっかり日焼けで黄ぐすんだ肌にもやさしくなじんでくれるインティメイトな逸品です。

(写真下)(右)¥1,440,000<ローズゴールド、アメシスト、ダイヤモンド>

・(左)¥1,440,000<ローズゴールド、ロンドン ブルートパーズ、ダイヤモンド>

/ポメラート

リングは3サイズ展開、ほかにもイヤリングやペンダントあり。

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エディターNAMIKI

ジュエリー&ウォッチ担当。きらめくモノとフィギュアスケート観戦に元気をもらっています。永遠にミーハーです。

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