#10 GUCCI(グッチ)、不思議の国のジュエリー

ロマンチックななかに、ちょっと毒がある--アレッサンドロ・ミケーレのGUCCIは最初は衝撃を持って受け止められましたけど、今やトレンドを牽引していますし、世界中にファンがいます。

その世界観は、服だけでなくジュエリーにも貫かれています。動物をかたどったジュエリーは数多く作られてきましたけど、GUCCIのそれは一味違う。「いったいなんの動物?」とツッコミたくなるような不思議ないきものも多い。それにちょっと怖い顔つきだけど頼り甲斐のあるお守りになってくれそう。図鑑というよりは神話や童話に登場しそうな……。
ダイヤモンド、ルビーなど煌めく宝石にいぶされたようなシルバーと、ジュエリー界の常識を裏切るような組み合わせも。おばあちゃんのそのまたおばあちゃんの代から存在していたかのようなヴィンテージ感が深みを与えているのです。


私が今季、GUCCIで出会ったのはゴールドの蜂のリング。姿かたちが、リアルに繊細に再現されています(触覚がしばしば衣服に引っかかるのはご愛嬌)。虫が苦手な人(私もです)はオッとなるかもしれませんが、これがぷっくり膨らんだハートの上にとまっているからファンタジック。欧米では蜂は繁栄を運んでくるラッキーモチーフだと知ればさらにロマンを感じます。

↑右と左はコスチュームジュエリー。

他にもGUCCIのジュエリーはコスチュームでふたつほど持っています。ここにもダーク・ファンタジーな世界観が貫かれているので、コスチュームジュエリーとファインジュエリーを混ぜて身につけても違和感がありません(そもそも今の時代、その違いになんの意味があるの? という方も多いんですけどね)。それに、おのおの主張が強いのに重ねても重ねても成立する。この”足し算の美学”こそミケーレの真骨頂。

で、この主張の強いジュエリーをどんな服につけるの? と聞かれたら、これまた足し算な方向でレトロな柄のドレスやクラシカルなフリフリブラウスにぜひ、と答えてしまいます。ですが先日まさにこのライオンとターコイズカラーのリングを、スーツにさらりと合わせた横分けハンサムボーイを見かけたので、ここに記しておきます。男性がこういうジュエリーをするって、とても素敵だと思いますよ。

発売中のSPUR8月号では、GUCCIのジュエリーが織りなす”おとぎの森”のストーリーを展開しています。それはまさに、おとなのためのフェアリー・テイル。ちなみに、上の写真のライオンのリングはしばらく家出していた時期がありました。「なくしてしまったのかも……」と落ち込みながらブログに書いたところ、翌日にコートのポケットからポロリ。ドラえもんの四次元ポケットさながら、時空を超えたところからひょっこり現れてもおかしくない、それがGUCCIのジュエリーなんです。

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エディターNAMIKI

ジュエリー&ウォッチ担当。きらめくモノとフィギュアスケート観戦に元気をもらっています。永遠にミーハーです。

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