【グランドセイコー】日本ならではの感性をいつも手もとに【名品時計物語】

名品と呼ばれる時計の、背景にある物語にフォーカスする連載の第6回。今回はGrand Seiko(グランドセイコー)に着目してみよう。

名品と呼ばれる時計の、背景にある物語にフォーカスする連載の第6回。今回はGrand Seiko(グランドセイコー)に着目してみよう。

グランドセイコーとは?

【グランドセイコー】日本ならではの感性をの画像_1

高度成長期真っただ中に「日本から世界基準の高精度で高品質な腕時計を作りだす」という決意のもと1960年にファーストモデルが誕生した。スイス天文台コンクールへ意欲的に参加し、好成績をおさめるなど世界への挑戦を続け、次々に進化型モデルを生み出していく。

その基本となったのが、現在まで受け継がれているグランドセイコースタイルだ。

グランドセイコーの王道デザインが揃う「ヘリテージコレクション」とは?

1960年からの歴史の中で、グランドセイコーの伝統に新しさをもたらした主に2つのデザイン―グランドセイコースタイルを確立した「44GS」ブランド初の自動巻きモデル「62GS」―をベースに、それらを現代的に解釈したモデルで構成されている。

日本の四季折々の表情と伝統を表現し、時代を超えて愛用し続けることのできる、正確で見やすく美しい腕時計がここにある。

新作からベストセラーまで。 「ヘリテージコレクション」6選

春の息吹を感じたら、手もとから季節の移ろいを感じられるモデルを選びたい。工房を取り巻く自然にオマージュを捧げるデザインや、手巻きムーブメントを搭載したモデルにも注目!

春の柔らかな風をまとう桜色のきらめき

グランドセイコーヘリテージコレクションの時計 62GS 26mm STGF389
グランドセイコー 時計「STGF389」

時計「STGF389」¥583,000(26×32.9mm径/SS、ダイヤモンド0.08ct、クォーツ)

桜とともに光り輝く春の、柔らかな風を表現する季語「風光る」のイメージを文字盤に表した新作モデル。爽やかな風が桜の花びらを揺らし、きらめきながら吹き渡る情景を表現して。

職人の感性が宿る。淡い紫色から漂う気品

Grand Seiko(グランドセイコー)のヘリテージコレクション 手巻メカニカル SBGW323
グランドセイコー時計「SBGW323」

時計「SBGW323」¥770,000(36.5×42.7mm/SS、手巻き)

グランドセイコースタイルを確立した「44GS」に現代の解釈を加えた機械式時計。雫石の自然に触発され、ブランドを代表するダイヤルのひとつである「岩手山パターン」と、「南部の紫桐」として愛される桐の花に想を得た明るい紫色を融合して。

雪と桜が奏でる幻想。「桜隠し」を映した優美なピンク

グランドセイコーのヘリテージコレクション62GS メカニカル 30mm STGK031
グランドセイコー時計「STGK031」

時計「STGK031」¥880,000(30×36.2mm径、SS、自動巻き、シースルースクリューバック)

グランドセイコーの雫石工房がある東北地方で、春の始まりに見られる風景「桜隠し」がテーマ。桜の花を雪が覆い隠す美しい景色が広がっていくような、繊細な型打ち模様とグレイッシュなピンク。ブランド初の自動巻きモデル「62GS」を、現代解釈によってアレンジした。

穂高の雪原に刻まれた、静謐な「風紋」とダイヤの輝き

グランドセイコーのヘリテージコレクションSTGF385
グランドセイコー時計「STGF385」

時計「STGF385」¥825,000(28.9×35.4mm/SS、クオーツ、ダイヤモンド0.39ct)

このモデルが製造される「信州 時の匠工房」から望む穂高連峰の雪景色を、白銀のダイヤルで表現。未踏の雪原に風が刻む風紋の繊細な模様が、ベゼルのダイヤモンドの煌めきにマッチする。

ピンクゴールドが奏でる、春の夜明け

グランドセイコーのヘリテージコレクション、メカニカルハイビート 36000 SBGH368
【グランドセイコー】日本ならではの感性をの画像_11

時計「SBGH368」¥4,400,000(38×44.7mm/K18PG、自動巻き、10気圧防水、シースルースクリューバック、クロコダイルストラップ)

ブランド初の自動巻きメカニカルモデル「62GS」を現代の解釈によってアレンジし、日本特有の季節の移ろいをダイヤルに宿したモデル。レギュラーモデルでは初めて、ピンクゴールドのケースを採用。温かみのあるピンク色と、ダイヤルに施された、朝日をあびる雪と桜による「桜隠し」の情景が調和する。

伝統をミニマルに再解釈した普遍の造形美

グランドセイコーのヘリテージコレクションSBGW291
グランドセイコー時計「SBGW291」

時計「SBGW291」¥726,000(36.5×42.7mm/SS、手巻き、10気圧防水、最大巻き上げ時約72時間駆動、クロコダイルストラップ)

グランドセイコーのデザインのルーツとなるモデル「44GS」をベースに、実用性に沿って進化させた「44GS現代デザイン」に属するモデル。そのラインアップの中で最小となる36.5mm径は、ジェンダーレスなイメージで着用することができる。手巻きムーブメントによって実現した小さめのケースと、端正なシルバーダイヤルがベストマッチ。

日本の美意識から誕生した「グランドセイコースタイル」

1960年に発売された初代「グランドセイコー」

1960年に発売された初代「グランドセイコー」

グランドセイコースタイルは、1960年代に当時の服部時計店のチーフデザイナーによって発案された。

銀座の和光本館に足しげく通い、世界の高級腕時計を観察していた彼は、腕時計を構成している面の形状や張りによって、輝きに大きな違いが生じることに気づく。そして「高級腕時計としての普遍的な価値に必要なのは、燦然とした輝きである」との確信を得た。彼は外装工場の職人たちとともに、どういう造形が最も輝きをもたらすのかを研究し、試行錯誤を重ねていく。

そのベースになったのは、日本人ならではの光と陰の捉え方

日本には光と同じように陰を愛し、古来より屏風や障子といった平面を用いて、光と陰の効果を生活に取り入れてきた伝統がある。グランドセイコーの外観に日本らしい美しさを表現するには、それをどう生かしたらよいのか。考えぬいた結果、直線と平面を主体に構成されていながら光と陰の間に多彩な表情を生み出す、独自の構造を作り出すことに成功。こうして1967年に誕生したのが「44GS」だ。

独自デザイン「グランドセイコースタイル」とは?

スタイルの基本となるのは、3つのデザイン方針。これらは現在まで受け継がれ、おなじみのスタイルを形作っている。

  1. 平面を主体として、平面と二次曲線からなるデザイン。三次曲面は原則として採り入れない
  2. ケース・ダイヤル・針のすべてにわたって、極力平面部の面積を多くする
  3. 各面は原則として鏡面とし、その鏡面からは極力歪みをなくす

    1.によってシャープな印象を際立たせ、光と陰のコントラストにより表情のある輝きを生み出す効果があり、2.で高い視認性を、3.で燦然とした輝きを実現する。

「44GS」とは

44GSは第二精工舎製造として初めてのグランドセイコー

1967年に発表された、当時の最高精度で調整された5振動の手巻き時計。

現在まで受け継がれている「グランドセイコースタイル」による最初のモデル。面が際立つシャープな造形美を持ちながら、同時に光と陰が織りなす陰影を生む。この光と陰の調和による表情こそが、日本の美意識につながっている。

「62GS」とは

グランドセイコー初の自動巻モデル「62GS」

同じく1967年に誕生した、グランドセイコー初の自動巻きモデル

ベゼルのない構造によって広々と見えるダイヤルと、ザラツ研磨によって実現したシャープな多面体からなるケースが特徴。初代「62GS」のリュウズは4時位置に配されている。

グランドセイコーを支える3種類のムーブメント

9Sメカニカル

1998年誕生の、最新技術と匠の技を融合したマニュファクチュール(自社一貫生産)による機械式ムーブメント。「グランドセイコースタジオ 雫石」で生産されている。

独自の厳格な精度基準「グランドセイコー規格検定」に合格することが第一の条件。数百ものパーツで構成される機械式時計ゆえ、特に繊細さが要求される。このムーブメントは、機械式時計の仕組みを知りつくす優れた職人の手作業で、1/100mm単位で調整し、組み上げられている。

また他方で、パーツの加工精度を高めるため、先端技術のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を採用。

徹底した品質管理に加えて、手作業とハイテク機材の両面から、最高の時計作りをめざしている。

 

 

9Rスプリングドライブ

20年以上をかけて開発され、2004年に誕生したグランドセイコー独自のムーブメント、9Rスプリングドライブ

機械式時計の動力源と、全く新しいクオーツの調速機構を兼ね備えている。

自然界の時の流れを映し出すかのように音もなく滑らかに動く針が、移ろいゆく季節を繊細に感じ取り折々の風情を楽しむ、日本ならではの時の概念を象徴する。

9Fクオーツ

1993年に誕生した、それまでの常識を覆す高精度で高性能な究極のクオーツ

良い時計とは、「正確で、見やすく、美しい」条件を満たすこと。

この条件に則って開発されたムーブメントは、年差±10秒という高精度を実現する一方で、新機構「ツインパルス制御モーター」を搭載し、それまで不可能と言われた機械式時計のような大きく重い針を正確に動かすことに成功した。この特別なクオーツは、手作業で組み上げられる。

日本国内に構えるマニュファクチュール

グランドセイコースタジオ 雫石

機械式時計を製造する新施設「グランドセイコースタジオ 雫石」が岩手県雫石町にオープン

2020年、岩手県雫石町にある盛岡セイコー工業 雫石高級時計工房内にオープンした、機械式時計を製造する施設。岩手山を望む自然と調和する建物は、建築家の隈研吾が手がけた。

内部には時計師が組み立て・調整を行う工房と、ブランドの歴史・背景を知ることのできる展示スペースやラウンジがあり、完全予約制で一般公開されている。ブランドコンセプト「THE NATURE OF TIME」を具現化したスペースで、自然との共生の中から生み出される物づくりを体感してみたい。

信州 時の匠工房

Grand Seiko グランドセイコーが長野県塩尻に構えるマニュファクチュール、信州 時の匠工房

長野県塩尻市のセイコーエプソン塩尻事業所内、豊かな自然環境の中に立地する工房は、初代グランドセイコーを手がけた諏訪精工舎の時代から続く伝統と情熱を今に受け継ぐ。

現在は、精鋭の時計師や技術者が、スプリングドライブやクオーツムーブメントを搭載したグランドセイコーを作り出している。

仕事の内容は、ムーブメントの開発・設計・製造をはじめ、ケース、ダイヤル、針、インデックスなど、パーツの製造から組み立て・調整までを一貫して行う

またグランドセイコーのデザインを支える特殊加工技術のザラツ研磨も、ここで行われている。一般公開はしていない。