小学生の頃、4月生まれの女子に憧れていた。クラスの中で一番早く年上になる彼女は、冬生まれの私よりずっと大人っぽくてワンランク上にいるような気がしたのだ。友達も多く、いつも陽の当たる場所にいて、誰よりも輝いて見えた。
あるとき、たまたま読んでいた百科事典で4月の誕生石がダイヤモンドだと知った。子どもの目から見てもそれは息をのむ美しさで、早熟な彼女にふさわしい石だと思った。
あれから数十年。かつての幼い少女は、大きくなったらとびきり大粒のダイヤモンドをつけられると信じていた。今思えば実にロマンチストな小娘である。十分すぎるほど大人になった今でも、そんなシロモノはなかなかお目にかかれない。けれど、小粒の幸せならなんとか手にすることができるようになった。それでいいのだ。というか、そう思うしかない。
心を奪われた「小さな」ダイヤモンドがある。日本発のジュエラー、アルティーダ ウードのスライスダイヤモンド ネックレスだ。原石を薄くカットし、採掘されたままの姿を生かすのが、スライスダイヤモンド。つまり、ダイヤモンドの理想とされる無色透明とはほど遠い。
ストーンの内包物が有機的な表情を描く。価値を下げる要素のはずなのに、明らかに魅力を引き立たせている。それに、ダイヤモンドも自然の鉱物なのだと実感し、なんだかホッとする。風合いも形もひとつとして同じものがなく、輝きはしなやか。まるで身につける人の「ありのままの美しさ」を引き出すかのよう。
このスライスダイヤモンドは、インド・ジャイプールの職人の手によりK10ゴールドでふちどられる。華奢なチェーンとともに、肌に溶け込むようなナチュラルさが魅力だ。
ダイヤモンドは思いっきり背伸びしなければ届かない。ずっとそう思っていた。だから同じ思いを持つ人に、このネックレスをおすすめしたい。気負わず、自然体で。4月生まれのまぶしい少女になった気分で楽しみたい。
アルティーダ ウード
https://www.artidaoud.com/
03-5413-6702
illustration:Uca text:Eimi Hayashi