「ジューンブライド」という言い伝えがある。その由来には諸説あるらしいが、なんでまたこんなジメジメした時期に、というのが率直なところだ。みんなに祝福されて結婚するのだから、お天道様にもにこやかに迎えてもらいたい。そのあたり、日本の気候に合わせてもっと柔軟にいかないものだろうか。
かくいう私も、梅雨シーズン真っただ中の七月初旬に結婚式を挙げていた。もはやジューンですらないし、その日が晴れていたか雨だったかも、今となってはまったく覚えていない。記憶にあるのは挙式当日の夜に食べた、ホテル最上階にある鉄板焼店のサーロインステーキの味だけ。思い出とはなんとも儚いものだ。
もしも、もう一度自分のウエディングがあるとしたら……などと想像してみる。二度目なのに晴れがましくやるのは気が引けるし、なるべく少人数でカジュアルにしたい。清楚な純白ドレスなんて恥ずかしくてもう無理。どうせなら普段使いもできるシンプルな一着に、主張のあるジュエリーを合わせたい。となるとやっぱり、ハズせないのはパールかしら。
パールといえば、プラダの2020年リゾートコレクションは印象的だった。フラワーモチーフやストライプ、チェックを多用したクラシックな装いに、大ぶりのバロックパールジュエリーが見事にモダンなスパイスを添えていた。「パールはこうやって取り入れればいいのよ」と、ミウッチャの手ほどきを受けているような気分になるコレクションだった。
特に忘れられないのは、バロックパールのロングネックレスをさらりとルーズにまとったルック。ロングネックレスといっても、「スーパーロング」だ。モデルがつけても股下に届くぐらいの長さだから、身長156センチの私がつけたら太ももあたりまでくるだろうか。否、私がつけてもさほど丈感は変わらず、自分の脚の短さを嘆く結果に終わるかもしれない。まぁ、いずれにしても、あえてこの長さを一連でつけてみたい。
個性的なバロックパールどうしのぶつかり合いを和らげるかのように、パステルカラーのビーズが差し込まれている。イノセントな乙女心というよりも、大人の遊び心を感じるデザインだ。もしも二度目の結婚式を挙げるなら、これくらいチャーミングなジュエリーを身につけたいと思う。さて、どんなドレスがマッチするだろうか。ピアスもパールでそろえるべきか。妄想ばかりがどこまでも広がっていく。
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illustration:Uca text:Eimi Hayashi