#10 「ジャラジャラ耳」は進化する【イヴォンヌ レオン】

両耳にこれでもかというほどボディピアスを連ねるスタイルが流行した90年代。パフィーの大貫亜美さんや神崎リサ(矢沢あい先生の漫画『ご近所物語』より)の「ジャラジャラ耳」が憧れだった。でも当時通っていた学校の校則が厳しくて、心ならずもリアルタイムで取り入れることはできず。ようやく卒業する頃にはジャラジャラブームもひと段落してしまっていたのに、それでも真っ先にピアッシングをした。どれだけピアスに執着していたんだろうか、私は。

20歳になる前に! という焦りにも似た衝動で、6個のピアスホールを一気に開けた。親にはひどく呆れられたが、「10代のうちにやりたいことリスト」のひとつを達成できて個人的には満足だった。以来、買ってはなくし、買っては壊しを繰り返しながら、地道にコレクションを増やしている。

流行もまた、繰り返すものだ。そして巡りながら進化していく。90年代のファッションがリバイバルしている昨今だが、耳もとのオシャレはボディピアスならぬ、イヤーカフが台頭しつつある。かつて私が憧れた「ジャラジャラ耳」も、今ではノンホールで叶ってしまう。その最たるものが、パリ発のジュエリーブランド、イヴォンヌ レオンのイヤーカフだ。

イエローゴールドとダイヤモンドのミニフープが交互に並ぶ、6連のデザイン。例えが微妙で申し訳ないのだが、長ネギを急いで小口切りすると、こういう形状のものができることがある。私はあの首の皮一枚でつながった状態のネギが好きで、美しい6連のイヤーカフを見ながらふと思い出してしまった。これを耳たぶではなく、耳の脇につけるのが絶妙に今っぽい。パンキッシュで不良っぽさがありながらも、ほどよく華奢でミニマル。そこにダイヤモンドがとびきりリュクスな輝きを放つ。

90年代は、ピアスホールがイケてる象徴でもあったのだが、令和の時代にそんな考えは化石である。服でノスタルジックなムードを取り入れつつ、耳もとはモダンなイヤーカフでパンチを効かせる。そのバランスが今の気分なのだ。

ところで、イヤーカフといえばチェッカーズ時代の藤井フミヤさんが愛用していたのをご存知だろうか。知らない読者はぜひこの機会に画像検索してみて欲しい。チェックオンチェックのルーズなセットアップに片耳だけイヤーカフを合わせたスタイルは、今見返しても新鮮だし、かわいくてヤンチャでかっこいい。あの頃からいち早くイヤーカフをつけていたフミヤは、やっぱりサイコーだなと思う。

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illustration:Uca text:Eimi Hayashi

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