#23 麗しのターコイズ【スーリヤ】

15歳のとき、家族でハワイ旅行に行った。そのときの具体的な出来事はほとんど思い出せないが、ワイキキの露店で指輪を買ってもらったことだけは鮮明に覚えている。ハイビスカスのモチーフに包まれるように、ターコイズブルーのピースがセットされたシルバーリング。値段からして間違いなくイミテーションだったが、それでも爽快なブルーに心を奪われた。ワンサイズのみのその指輪は、幸いにも私の薬指にぴったりだった。

帰国後、学校の同級生たちと私服で遊びに出かけたときのこと。薬指の指輪に気づいた友人が、「アンタ、いつ間に彼氏できたん!?」と前のめりに聞いてきた。もちろん彼氏などいない。事情を説明すると、友人は呆れた顔でこう言った。「薬指に指輪つけてると、オトコが寄ってこなくなるよ」。女子高校生とは、かくも早熟で生意気なイキモノである。薬指に指輪をつけるということはつまり、恋人がいる証し。そんなことも知らなかった自分が急に恥ずかしくなった。

さて。薬指の指輪が“オトコ除け”になるかどうかはさておき、天然のターコイズは魔除けの効果がある石として知られる。さまざまな危険から持ち主の身を守ってくれる神聖な石として、昔から人々に崇められてきた。信じるか信じないかは身につける人次第だが、目の覚めるような鮮やかなブルーを見ていると、なにか底知れない力を秘めているように思えてならない。10代の頃は、色が綺麗ならプラスチック製でも何ら問題なかったが、いつしか本物を手にしたいと思うようになった。年齢を重ねるというのは、なんともおめでたいことだ。

今ウィッシュリストにあるのは、スタイリストの佐々木敬子氏が手がけるブランド、スーリヤのダブルサークルピアス。ビッグフープの内側に、まんまるの天然ターコイズがくっついている。それはまるで惑星が軌道を描いているようだ。遠目からだと下側のフープが宙に浮いているようにも見えて、より神秘的なフォルムをつくり出す。シンプルなフープピアスにそろそろ飽きてきたという人は、この秋冬にネクストステージに進んでみてはいかがだろう。ターコイズはベージュやブラウン系のアウターとも相性がよく、くすみがちな冬の肌を明るく華やかに見せてくれる。私はこのピアスを黒のタートルニットに合わせて、顔まわりの小宇宙を堪能したいと思っている。動くたびに感じる揺れさえも、「パワー」という重みのある言葉に変換できそうだ。

ちなみに、ターコイズは人から贈られることで、絆や友情をさらに深める石でもある。大切な友人とこのピアスを片耳ずつシェアするのも粋なアイデアかもしれない。大丈夫、指輪じゃないからきっとオトコ除けにはならないはずだ。

イヤリング〈18KYG、ターコイズ〉¥200,000
イヤリング〈18KYG、ターコイズ〉¥200,000

パラグラフ(スーリヤ)
https://see-surya.com/
03-5734-1247

illustration:Uca text:Eimi Hayashi

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