三歳の息子のガチャガチャ好きに手を焼いている。この時期の特性なのかもしれないが、どうやら中身のおもちゃよりも、ガチャガチャを回してカプセルを開けるという一連の行為が楽しいらしいのだ。「まぁ一度なら」と思ってやらせてあげると、「もう一回!」コールが果てしなく続き、やるやらないの不毛な攻防戦を繰り広げることになる。しかもこのガチャガチャ、ファミレスやドンキホーテならまだしも、たまに駅構内やスーパーの入口など予期せぬ場所で出くわすことがあり、思わぬ足かせとなることもしばしばなのだ。
親になってからはつい厄介者扱いしてしまうガチャガチャだけど、「自分だって昔は大好きだったくせに……」と心の中のもう一人の自分が呟く。そういえば私が小さい頃は、ガムボールマシンに夢中だった。透明の球体ケースの中にぎっしり詰まった、色とりどりのガムボール。あまりに発色がよすぎてイケナイ感じすらしてしまうのだが、そこが余計にそそられるポイントでもあった。「カラフルなガムボールの海で泳ぎながら、全色食べてみたい」そんな可愛らしい願いを抱いていた時期もあったなぁ。
ガムボールで思い出したのだが、アニメ『Dr.スランプ アラレちゃん』でアラレちゃんがいつも舐めていた、なると巻きみたいな渦巻き模様のキャンディも憧れだった。「あんなの舐めたら一発でひどい虫歯になる」と親に脅され、まんまと真に受けて手を出せなかった禁断のシロモノ。結局、一度も食べられずじまいで今に至る。
ここ数年間ずっと髪を明るく染め続けてきたのだが、この春思い立って黒髪ショートにしてみた。そしたらがぜんインパクトのある耳飾りが欲しくなってきた。長引くマスク生活でほぼメイクをしなくなったので、顔まわりを華やかにしたいと思ったのも理由のひとつではある。いくつか心惹かれるものを見つけたのだが、その中でもトキメキ度MAXだったのが、LA発のジュエリーブランド、アイリーン ニューワースの「ガムボール ロリポップ イヤリング」だ。
ガムボールでロリポップ。幼い頃の憧れが蘇るネーミングに、心の蕾が一気にほころんだ。18金の細長い棒に刺さったクリソプレーズの球体は、さながらガムボールか、あるいはチュッパチャプスのよう。口に入れると甘酸っぱい青リンゴの味が広がってきそうで、生ツバが湧く。
子どもも喜びそうなポップなルックスを持つ一方、パステルグリーンの艶やかな天然石に神秘性を感じずにはいられない。しかもフック部分にはさりげなくパヴェダイヤがあしらわれている。ファインジュエリーをとことんプレイフルかつフレンドリーに表現するのが、このブランドの持ち味だ。
チャーミングなガムボールのイヤリングを、ギンガムチェックや花柄のワンピースと合わせて色の妙を楽しんでみたい。残念ながらまだ意気揚々と外出できるムードではないけれど、いつだってオシャレは自由なのだ。
季節の移ろいとともに新しいジュエリーを身にまとうときは、ガチャガチャを回したいという子どもの純粋な気持ちがよくわかる気がする。つまるところ、カプセルに入ったキッチュなトイも、端正なボックスに入った高価なジュエリーも、開けるときのワクワク感はきっと同じなのだろう。