ご近所さんが家の外壁にイルミネーションを飾り始めて、ああもうそんな時期かとため息が漏れる。来月の今頃は年の瀬かと思うと、あれもこれも年内に済ませておかなくちゃと急に焦り出して仕事が手につかなくなる。11月の終わりってどうも心が落ち着かない。だがそんなことはおかまいなしといった感じで自分の誕生日がやってきて、まったく余裕のないまま今年もまたひとつ歳を重ねる。
何年か前から自分への誕生日プレゼントにジュエリーを買うようになった。1年間頑張ったご褒美という感覚はもちろんあるけれど、こんな高価なものを買ってしまったんだから来年も頑張って働きなさいよというプレッシャーの方がたぶん大きい。それで実際に頑張れているかどうかはまた別の話なんだけども。
40歳が目前に見えてきて、ついに私もヴァン クリーフ&アーペルの「アルハンブラ」が欲しいと思うようになった。確か小学生くらいだったか、百貨店のブティックで母が同コレクションのネックレスに見惚れていたのを覚えている。その頃の私には別次元過ぎて、まったく興味を持てなかったのだが、「いつかこのよさがわかる日がくるよ」と母は言っていた。思えばあのときの母も40歳くらい。いよいよ自分もこの境地に到達したとは、感慨深いものがある。
言わずと知れたヴァン クリーフ アーペルのシグネチャーである「アルハンブラ」。四つ葉のクローバーに着想を得たフォーチュンモチーフを、繊細なゴールドビーズで縁取った不朽の名作。身につけているだけで、世の中に潜む幸せのカケラが向こうから飛びついてきてくれそうだ。色とりどりのストーンの中でも目を引くのが、純白のマザーオブパール。清らかで愛らしくて、優しいのに力強い。そして時折、光を反射して虹色に輝くファンタジックな表情にもうっとりする。
狙い目はヴィンテージ アルハンブラのペンダント。40年近く生きてきて、まだ総額20万円を超える買い物をしたことがない私にとっては震えるほど高額だが、一生ものだと思えばどうだろう。誕生日だし、いっちょ大人の階段のぼってみるか!
憧れのタイムレスピースでありながら、デイリーに気軽に取り入れられるのもアルハンブラの魅力。この冬は総柄のスキンタイトなトップスか、キラキラのラメニットか、あるいはパンキッシュなバイカージャケットに合わせるのもアリかも。可憐なモチーフだからこそ、あえてエッジのきいたスタイリングで挑みたい。この人なかなか攻めた格好してるけど、胸もとはアルハンブラなのね! みたいなギャップをひそかに狙いたいのです。
ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク
https://www.vancleefarpels.com/jp/
0120-10-1906
illustration:Uca text:Eimi Hayashi