春夏シーズンの立ち上がりはソワソワする。好きなブランドから続々と登場する新作を見ていくうちに、手持ちのニットやアウターがどんどん退屈に思えてきて、とにかく早く新しい服が着たくなってしまうからだ。今年は懐かしのY2Kファッションが盛り上がっていて、丈の短いトップスやミニスカートをよく見かけるけど、おなかと太ももがスースーするのは不安なのでもうしばらく様子見。とはいえもう3月になるし、そろそろ何かしら印象に変化が欲しい。一度思い始めると、もうどうにも止まらない。「そんな時こそファッションジュエリーの力を借りるのだーー。フレッシュな季節にふさわしいニューブランドをチェックするがよいーー」これは天の声か、はたまた悪魔の囁きか。
ジュエリーの新ブランドといえば、気になっているのがジャパン生まれのBONEE(ボーニー)。デビューコレクションのルックでは、人種も性別も年齢もさまざまなモデルたちがストリートでごく自然体にまとう姿が印象深かった。「どんな人にも寄り添うニュートラルなデザイン」それがこのブランドの共通言語だ。だからといって単純にミニマルでユニセックスということではなくて、ひとつひとつのアイテムにはどことなく温もりというか“人肌感”があるように思える。それはもしかすると、熟練の職人によるハンドクラフトだからこそ生まれる表情なのかもしれない。
顔まわりの印象を今っぽく変えるなら、びよーんと伸びたシルバーのフープピアスが気分。輪っかが縦に伸びるだけで、こんなにしっとりした印象になるなんて。ビッグフープはティーンの象徴だと思い込んでいる私にとっては軽い衝撃。しかも少しだけくびれたシェイプになっていて、そういう色気のさじ加減にも大いに心をくすぐられる。クリーンなシルバー925は凛として涼しげでなおよし。ピアスは開閉式だから装着しやすく、耳の裏側に軸が飛び出さないのが実にスマート。鏡では見えないけど周りの人からはよく見える地味に大事なポイントで、これも注目すべき職人技のひとつ。
たとえば気持ちよく晴れた春の朝に、アイスコーヒー片手に愛犬と公園をのんびり散歩しながら、片耳にはこのピアスが軽やかに揺れている。そんなシチュエーションが超個人的な理想です。ちなみにこのブランドの売上の一部は動物愛護活動へ寄付されるそう。「いやでも、この大きさじゃマスクに引っかかるし、マスク生活には不向きでしょ」と思ってしまった人は、マスクを外す時に紐をゆっくりと大きく伸ばす練習を今すぐ始めましょう。
エドストローム オフィス(BONEE)
https://bonee.me/
illustration:Uca text:Eimi Hayashi