世代的に、「インディアンジュエリー」といえば、イーグルモチーフのペンダントをまとった若かりし頃の木村拓哉さんが思い浮かぶ。小麦色の肌にマッチする無骨でちょっとワルなアメカジスタイルはまさにその当時の「かっこいい」の象徴で、地味で平凡な中学生だった私には一生ご縁のないものだと思っていた。だが大人になってから、セレクトショップで偶然目にとまったインディアンジュエリーが驚くほどシックで、一瞬で心を奪われた。「これなら私も!」と喜び勇んでそのとき購入したのがHARPOのシルバーブレスレットだった。
カタカナにすると「ハルポ」と書くが、フランス生まれなので発音すると「アルポ」となる。アメリカ先住民の伝統的な銀細工技術に感銘を受けたジェラール・ナドー氏が1971年にパリで創立。ナバホ、ホピ、ズニといった様々な部族と生活を共にし、現地のアーティストたちと独自の関係性を築き上げ、半世紀以上にもわたって良質なハンドメイドのインディアンジュエリーを展開し続けている。
部族内で代々受け継がれてきた手仕事による意匠美は、インディアンジュエリーでしか堪能できないもの。だがそれに加えて、ハルポのジュエリーにはどこかコンテンポラリーなムードも感じられる。インディアンジュエリーというと重厚かつ大胆なピースをイメージしてしまうのだが、ハルポのジュエリーに出合ってからは華奢でシンプルなデザインも少なからずあることを知り、それまで抱いていたハードルが一気に下がったような気がした。70年代のシェールのようなヒッピーライクな装いを試みずとも、Tシャツにジーンズのようななんてことない都会のリアルクローズにもさらりとなじみ、それでいて着こなしに程よいスパイスを与えてくれる。キムタクの「抱かれたい男」じゃないけど、その包容力には目を見張るものがある。
最近はクラフト感のあるファッションアイテムに夢中なこともあり、私の中でインディアンジュエリーブームが再燃している。以前購入したハルポのブレスレットに加えて、今新たに狙っているのがハート型のシルバーブローチ。そろそろハートモチーフのジュエリーを堂々と身につけるのが小っ恥ずかしくなってきたアラフォーにもちょうどいい辛口なデザイン。ポップになり過ぎず、かわいくもなり過ぎず、だけど遊び心は忘れてないんだよ、と言わんばかりのよき塩梅に惜しみない拍手を送りたい。比較的どんなアイテムにも合わせやすく、見た目は辛口なのに意外と優しい、そんなギャップにも大いにラブを感じています、えーっと、ハートなだけに。
ロンハーマン(ハルポ)
https://ronherman.jp/
0120-008-752
illustration:Uca text:Eimi Hayashi