ナオミのおかげでアンバーブラウンの瞳も悪くないと思えるようになったし、ブルーがますます好きな色になった。大学を卒業してからはずっとFacebook上での交流にとどまっているが、彼女の写真や近況がタイムラインに出てくるたびに、故郷の友人に会ったような温かい気持ちになる。もちろん、宝石のように輝く優しい瞳も健在だ。
そういえば、ナオミの美しい目にそっくりなジュエリーを見つけた。色石使いに定評のあるマリハの「イーヴィル アイ(Evil Eye)」というリング。日本では馴染みのないモチーフだが、トルコやギリシャなどの地中海周辺の国々では、厄除けのシンボルとして親しまれている。古くからこの地方では、「人々から羨望の眼差し(邪視)を浴びると災いが起きる」と信じられてきたそうだ。それってもしかして、私がナオミの青い目をうらやましいと見惚れていたのも、邪視ってこと!? 一瞬ドキリとしたが、そんなことを言い出したら私はあらゆる人に邪視をまきちらしていることになるし、そもそもそんな邪悪な力が自分にあるとは思えないので、杞憂ということにします。
リングに話を戻すと、中央の瞳の部分にセットされているのはロンドンブルートパーズ。深みのあるグレーがかった青が、ロンドンの空の色を彷彿させることからその名がついたといわれている。角度によっては深い海のようなブルーグリーンにも見え、光の当たり方で色が微妙に変化する様子が神秘的。ぱっちりと見開かれたその目は、イエローゴールドの地金でシンプルにかたどられた。つぶらなのに力強く、モダンで凛とした輝きを放っている。持ち主の身を守り、幸運をもたらすといわれる「イーヴィル アイ」。遠く離れた雪国で暮らす青い目の友人に思いを馳せながら、その穏やかな彩りを手もとに迎え入れたい。