10代の頃は、恋人とペアでつける指輪に憧れた。20代になって実際に恋人ができたら、おそろいなんてめんどくさいと興醒めした。それから結婚してマリッジリングを交換したが、知らぬ間に夫が指輪をなくし、気がついたらペアでもなんでもない、私だけのものになっていた。誰かとおそろいにして、つながりを求めても、結局それを身につけているのは自分自身。人はくっついたり、別れたりを気まぐれに繰り返すけれど、物というのはなくしたり捨てたりしない限り、生涯持ち主に帰属する。決して消えることのない、確かな存在として。だからこそ、わたしはこう信じる。ペアだったものがいつしか自分ひとりだけのものになったとしても、そこに刻まれた幸せな記憶はホンモノだと。それが消えてしまうことは、決してないのだと。
ペアジュエリーといえば、少し前までは指輪のイメージが強かったが、最近はそうでもなくなったらしい。指輪よりも資産価値があるという理由で時計を購入するカップルもいれば、指輪よりももっと気軽に、ピアスやブレスレットを選ぶ人もいる。愛のかたちが多様であるように、愛のしるしだって人それぞれ。いまを生きるわたしたちは、風のように、旅人のように自由でいたいのだ。

