幸せを運ぶ花のように【アリータ】#93

幸せを運ぶ花のように【アリータ】#93の画像_1

もしも、『ドラゴンボール』に出てくる筋斗雲がダイヤモンドの霧の中をくぐり抜けたなら。アリータのピアスを初めて見たとき、真っ先にそう思った。本当はフラワーモチーフなので、そもそも雲ではないけれど、日本で生まれて鳥山明さんの漫画で育った世代としては、「ヒューン」という効果音とともに飛ぶ、あの黄色い雲が容易に想像できてしまった。

デザイナーのシンシア・ヴィルチェス・カスティリオーニさんには10年ほど前、ブランド立ち上げ直後の来日時にお目にかかったことがあるのだが、とてもチャーミングでピュアな人だった。日常に溶け込む身近なモチーフをジュエリーに昇華させたファーストコレクションは、まさに彼女の自然体な人柄を体現しているように思えた。そんなわけで、こちらの勝手な妄想ではあるけれど、このピアスから日本一有名な雲の乗り物を連想するという話をしたら、「それも素敵ね!」と無邪気によろこんでくれそうな気がするのだ。もしもそのような機会に恵まれたら、「シンシアさんのような心の清らかな人でなければ乗ることができないんですよ」とお伝えしたい。

幸せを運ぶ花のように【アリータ】#93の画像_2
ピアス〈YG、ダイヤモンド〉¥533,500

むくむくの筋斗雲、ではなくて、可憐なマーガレットに着想した「MARGARITA(マルガリータ)」という名前のピアス。繊細な花びらのように波打つイエローゴールドの縁に、ダイヤモンドが清楚な輝きをまぶす。華やかながら抽象的なデザインは、持ち主の心にさまざまなイメージを呼び起こしそうだ。燦々と輝く太陽を思い浮かべる人もいれば、何かの重要な歯車か、あるいはUFOのような不思議な造形に見える人もいるかもしれない。「どう捉えるかはあなた次第」といわんばかりの自由さがあり、想像の翼が広がる。

ところで、「ALIITA(アリータ)」というブランド名は、シンシアさんの故郷であるベネズエラの先住民族の言語で「大切なもの」を意味する。例えばこのピアスが幸せの手鏡だとしたら、光沢のあるイエローゴールドは何を映し出すのだろう。大好きな人のくしゃっとした笑顔? 愛する子どもたちの穏やかな寝顔? それとも、遠い世界に旅立ってしまった、あの人との思い出? 耳もとで揺らめくたびに、陽だまりのようなぬくもりを放ち、ささやかな幸せを照らしてくれそうだ。このピアスがそばにあれば、少しくらい嫌なことがあっても、孫悟空のように「ま、いいか」と受け流せるかもしれない。


ブルーベル・ジャパン
https://aliita.jp/
03-5413-1050

FEATURE