紫陽花が好きになったのはここ数年。年齢を重ねたせいか、梅雨に打たれて凛と咲くその姿を見ると、しみじみと胸を打たれるようになった。先日、物知りな人が教えてくれたのだが、紫陽花は育った土壌の酸性度合いによって色が変化するらしい。酸性の土では青く色づき、アルカリ性ならピンクに染まる。植える場所によって色が変わる気まぐれな咲き方にも、なんともいえない愛おしさを感じる。
青でもピンクでも紫でもない、真っ白な紫陽花もある。白はもともと色素を持たない品種ゆえ、どんな性質の土壌でも色が変わることはないそうだ。「わたしは何色にも染まらない」そう声高に宣言するかのごとく純白に咲き誇る姿を見ると、道すがら思わず足を止めてしまう。その瞬間、むせ返るような湿気を含んだ空気が、すっきりと澄み渡るような気がするのだ。
連載「寝ても覚めてもきらめきたいの」:SPURエディターがパーソナルな感情とともに綴るジュエリーエッセイを堪能して。