それでも愛おしい君たちへ。【シャルロット シェネ】のTwinリング #133

ふたりの息子と暮らすようになって5年が経つ。長男は小学生で、次男は未就学児。男の子は大変だという苦労話を先輩たちから山のように聞いてきたが、それでもここまで壮絶とは思わなかった。喧嘩していようが、仲良く遊んでいようが、とにかく常に騒がしい。病める時も健やかなる時も、落ち着かない日々である。時々我が子ながら、何か強大なエネルギーを持った、半分だけ話の通じる不思議な生物と対峙しているような気持ちになる。

ひとりで育児をしていると、たびたび心が折れそうにもなる。1分1秒を争う朝にテコでも動かぬ様を目の当たりにする時、同じことを何度言っても暖簾に腕押しな状態が続く時、「一太刀浴びせてくれるわ」という激しい思いに駆られる。しかしどんなに癪にさわろうとも、どんなに憎らしかろうとも、1日の終わりにふたつの無防備な寝顔を見ると、すべて許せてしまうのである。

シャルロット シェネの「Twin」リング。18Kイエローゴールドのふたつの輪っかが繋がり、その隣には1石のダイヤモンドが清らかに光り輝く

親は親で勝手なもので、出張で家を離れた夜、ビジネスホテルの静けさに包まれると、子どもたちの賑やかさが急に恋しくなる。ふとした瞬間にも彼らの存在を感じられるようなジュエリーを身につけたい。そう思っていた時に目に留まったのが、シャルロット シェネの「Twin」リングだった。18Kイエローゴールドのふたつの輪っかが繋がり、その隣には1石のダイヤモンドが清らかに光り輝く。固く結ばれた家族の絆を祝福しているかのような、力強くも優しい意匠には、双子の母でもあるシャルロットの親心が込められているのかもしれない。

シャルロット シェネのTWINリングを手に身につけて。まるで知恵の輪のような、ひねりのきいた幾何学的なデザイン

まるで知恵の輪のような、ひねりのきいた幾何学的なデザインは、指につけると確かな存在感を発揮する。それでいて、重ねづけしてもうるさくならず、どんなスタイルにも似合う。これ見よがしに手もとを飾るわけではなく、身体の一部のように溶け込んでゆく。そんな肩肘張らない心地よさを与えてくれるのが、彼女のつくるジュエリーの持ち味だ。洗練された佇まいには、どこか子どものようなピュアさと愛嬌がにじむ。

シャルロット シェネのリング〈K18YG、ダイヤモンド〉¥360,800

リング〈K18YG、ダイヤモンド〉¥360,800

出張から帰った日、息子たちの手と足の爪をまとめて切った。小さくて丸い、40本の爪。たった1日見なかっただけなのに、ずいぶん伸びたような気がした。少しもじっとしていられない子どもたちの手をしっかり握りながら、爪の先の白くなった部分を無心で切っていく。「パチン、パチン」と軽やかな爪切りの音が響く。

ただ生きているだけで爪は伸びるし、髪も伸びる。何もしなくてもお腹は空くし、からだは汚れる。生活を営むのは、手間のかかることだらけだ。うんざりすることもあれば、無性に愛おしく思うこともある。申し訳なさや悔しさが込み上げることもある。それもこれも、きっと「今」しかない感情なのだろう。そう思うと、「パチン、パチン」という乾いた音の中には、何か別の音色も交じっているような気がしてくる。

子どもたちの小さな手を握りしめる私の指には、「Twin」リングが光っている。繊細すぎず、重厚すぎることもない、絶妙なバランスで。私がふたりを思ってこのリングをつけていることなど、彼らには知る由もない。

シャルロット シェネ
https://www.charlottechesnais.com/

連載「寝ても覚めてもきらめきたいの」:SPURエディターがパーソナルな感情とともに綴るジュエリーエッセイを堪能して。