ふたりの息子と暮らすようになって5年が経つ。長男は小学生で、次男は未就学児。男の子は大変だという苦労話を先輩たちから山のように聞いてきたが、それでもここまで壮絶とは思わなかった。喧嘩していようが、仲良く遊んでいようが、とにかく常に騒がしい。病める時も健やかなる時も、落ち着かない日々である。時々我が子ながら、何か強大なエネルギーを持った、半分だけ話の通じる不思議な生物と対峙しているような気持ちになる。
ひとりで育児をしていると、たびたび心が折れそうにもなる。1分1秒を争う朝にテコでも動かぬ様を目の当たりにする時、同じことを何度言っても暖簾に腕押しな状態が続く時、「一太刀浴びせてくれるわ」という激しい思いに駆られる。しかしどんなに癪にさわろうとも、どんなに憎らしかろうとも、1日の終わりにふたつの無防備な寝顔を見ると、すべて許せてしまうのである。
連載「寝ても覚めてもきらめきたいの」:SPURエディターがパーソナルな感情とともに綴るジュエリーエッセイを堪能して。


