心にも四つ葉のクローバーを【マリーエレーヌ ドゥ タイヤック】#105

京都の街中を走る、ヤサカタクシー。えんじ色のボディに三つ葉マークのあんどんが目印だが、ごく稀に、四つ葉の車両もあるという。その数、約1,300台あるうちの4台。巡り合う確率は0.3%。年末ジャンボ宝くじなら1万円当選する確率とほぼ等しい。

先日、たまたま京都で取材をしていた連れ合いから、運よく四つ葉タクシーに乗車できたと嬉々として報告があった。しかも、乗車記念に四つ葉のシールをもらったとのこと。激レアな土産物となったそれは、後日私のもとに届けられた。グリーンの四つ葉マークに「ヤサカグループ」の名前が入った、2cm角ぐらいのシール。こじんまりとしていて、なんだか無性に愛おしい。自分が見つけたわけでもなんでもないのだが、思いがけず幸運のおこぼれをもらってしまうことになった。

心にも四つ葉のクローバーを【マリーエレーの画像_1

幸運のシンボルといわれる四つ葉のクローバーを、「色石の魔術師」はどう表現するのか。鮮やかなターコイズで4枚の葉をかたどったのは、マリーエレーヌ ドゥ タイヤックの「THIN CLOVER」リング。アンティークのような22Kイエローゴールドが手仕事のぬくもりをたたえながら、程よくポップにデフォルメされ、チャーミングな意匠に仕上がっている。南国の海のようなターコイズの発色は、ただ眺めているだけで心が健やかになりそう。夏のイメージが強い石だが、重厚なニットの手もとにも、軽快なアクセントとしてひと役買ってくれる。

身につけた瞬間、無条件に幸せな気持ちになる。マリーエレーヌ ドゥ タイヤックのジュエリーは、そんな魔法のようなパワーを秘めている。そしてそれは、およそ1万分の1の確率ともいわれる本物の四つ葉のクローバーとの出合いに匹敵するほどのよろこびだ。

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ターコイズ "シン・クローバー" リング〈YG、ターコイズ〉 ¥319,000/エムアッシュテ(マリーエレーヌ ドゥ タイヤック)

ところで、本来三つ葉のものが四つ葉になるのはどうしてなのか。さまざまな要因があるらしいが、そのうちのひとつが、人や動物に踏まれることによる物理的な衝撃だという。踏まれたときに茎の先端の成長点が傷つき、1枚の小葉が2枚に分かれることがあるらしい。たくさん踏まれて傷を負いながら、静かに生み出されるのは小さな奇跡。なんと健気な植物なのだろう。

誰かに踏みつけられ、傷ついても、心には四つ葉のクローバーが生えてくる。つい被害者意識を持ってしまう自分という人間も、そんなふうであればどんなに生きやすいだろう。せめて大切な人には、小さな幸せを届けられる存在でありたい。四つ葉のシールをくれた、最近くたびれ気味のあの人に、クローバーのお返しをしよう。

エムアッシュテ
https://www.mariehelenedetaillac-jp.com/
03-5468-2703

連載「寝ても覚めてもきらめきたいの」:SPURエディターがパーソナルな感情とともに綴るジュエリーエッセイを堪能して。

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