マドモアゼルが恋したロシア、シャネルの新作ハイジュエリーの誕生秘話に迫る

ガブリエル シャネルとディミトリ パヴロヴィチ大公。© Collection Chanel / All Rights
ガブリエル シャネルとディミトリ パヴロヴィチ大公。© Collection Chanel / All Rights Reserved

 

「私はロシア人に夢中なの」。かつてガブリエル シャネルは、作家のポール モランにこう語ったという。1917年に起こったロシア革命により、パリへと亡命したロシアの名士や芸術家たち。ガブリエルは彼ら、彼女たちに影響を受け、まだ見ぬ土地への憧憬をクリエイションに込めた。

(左)セルゲイ ディアギレフ率いる「バレエ リュス」のプリマドンナ、アンナ パヴロワ。© Heritage Images / Contributor(右)流麗なエンブロイダリーを表現したオープンワークのティアラ。“パリ リュス” コレクションのマスターピース。
(左)セルゲイ ディアギレフ率いる「バレエ リュス」のプリマドンナ、アンナ パヴロワ。© Heritage Images / Contributor(右)流麗なエンブロイダリーを表現したオープンワークのティアラ。“パリ リュス” コレクションのマスターピース。

生涯を通して、ロシアを訪れることはなかったというガブリエルだが、彼女とロシアの深い繋がりを示す人物は枚挙に遑がない。伝説的香水「シャネル N°5」を生み出した調香師のエルネスト ボー。ロシア皇帝ニコライ2世の徒弟であり、ガブリエルの恋人であったディミトリ パヴロヴィチ大公。ガブリエルがパトロナージュとなり、また同時に衣装制作などを通してコラボレーションを手がけたストラヴィンスキーとディアギレフ。才能溢れる「バレエ リュス」のダンサーたちレオニード マシーン、セルジュ リファール、ボリス コフノ。そしてガブリエルは自身のアパルトマンに、彼女の夢見た国、ロシアの国章と同じ双頭の鷲があしらわれたミラーを飾っていた。

パリのアパルトマンに飾られたミラー。彫刻が施された木枠には、ロシアの国章である双頭の鷲が。© CHANEL / Photograph Olivier Saillant
パリのアパルトマンに飾られたミラー。彫刻が施された木枠には、ロシアの国章である双頭の鷲が。© CHANEL / Photograph Olivier Saillant

 

このロマンティックなストーリーに着想を得て、シャネルのファイン ジュエリー クリエイション スタジオ ディレクターのパトリス ルゲローが制作したのが、新作ハイジュエリー コレクションの「ル パリ リュス ドゥ シャネル」。63点にも及ぶ作品たちでは、先の双頭の鷲のエンブレムをはじめ、ロシアの伝統的なエンブロイダリーや“ブレ (稲の穂)” といった異国情緒あふれるモチーフを、ダイヤモンド、イエローサファイア、トルマリンをはじめ、希少性の高いプレシャスストーンを用いて描き出している。

シャネル(カスタマーケア)
https://www.chanel.com/
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text:Shunsuke Okabe

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