パールジュエリーが、モードラバーの定番アイテムとして定着して久しい。このムーブメントの火付け役といえば、タクーン・パニクガルをおいて他にいないだろう。
NYを拠点にするタクーン・パニクガルがTASAKIのクリエイティブディレクターに就任したのが2009年のこと。直線的なゴールドのバーに、パールが整然と並ぶ斬新かつコンテンポラリーなデザインは大きな話題を呼び、モードラバーの必携となった。パールトレンドの立役者であるタクーンに、これまでの軌跡や、クリエイションのルーツ、そして今後の展望を聞いた。
タイ生まれのタクーン・パニクガルは、11歳で渡米し、ネブラスカ州オマハで育つ。その後NYに拠点を移し、ファッション誌でエディターとしてキャリアをスタート。その後、名門パーソンズを経て、2004年に自身のブランドであるタクーンを設立。ミニマルかつ洗練されたデザインで注目を集め、2009年にはCFDA ファッション・アワードのスワロフスキー賞にノミネート。これまでにミシェル・オバマ元大統領夫人やサラ・ジェシカ・パーカー、デミ・ムーアなど名だたるセレブリティたちに支持されてきた。
2009年には、TASAKIのクリエイティブディレクターに就任。彼が手がける「TASAKI COLLECTION LINE」では、彼のワードローブ同様ミニマルかつコンテンポラリーな解釈を加えた名作パールジュエリーを次々に発表し、ジュエリー界に新たな潮流をもたらした。2017年からは、「TASAKI COLLECTION LINE」のデザイナーとして継続的にクリエイションを手掛けている。
パールジュエリーブームの金字塔、「バランス」シリーズ誕生秘話
「TASAKI COLLECTION LINE」初のアイコンシリーズとして発表されたのが、「バランス」。その独創的なデザインのインスピレーション源について、タクーンに聞いた。
「パールといえばクラシックの代名詞。ただ、正直当時は古臭いというイメージが強かった。だからこそ、これまでとはガラっと違うアプローチであっと驚かせたかったんだ。イメージしたのは、若い人が着けたくなるようなパールのジュエリー。美しい球体を際立たせるために、逆にジオメトリックなデザインを掛け合わせた。全く異なる要素を組み合わせるのは、僕のデザインの特徴の一つと言えるかもしれないね」(タクーン・パニクガル)
2020年には「バランス」シリーズの10周年を記念し、ダイヤモンドを贅沢にあしらったハイエンドなクリエイションも制作。同じシリーズの中でも、様々なデザインのバリエーションが揃うのも「TASAKI COLLECTION LINE」の魅力の一つだ。
フォーマル向けだけじゃない、日常使いのモードなパールジュエリー
幼い頃、母親とジュエリーのお店に行っては、パールを見て胸をときめかせたというタクーン。パールの最大の魅力は、普遍性にあるという。
「宝石は、カットされることで本来の美しさを引き出すけど、パールは採取された状態ですでに完成されている。言うなれば、最もナチュラルで、有機的な美しさを持っているということ。その普遍的な魅力は、老若男女問わず魅力的に映るはず。最近では、韓国の男性アイドルの影響もあって、メンズパールに注目が集まっている。モードなスタイルが好きな人なら、あこや真珠に、小さなスパイクを組み合わせた『デインジャー』シリーズの新作を是非トライして欲しいね」(タクーン・パニクガル)
「デインジャー」シリーズの新作として今年発売された、イヤリングとイヤーカフ。パールとゴールドのスタッズが意外性を演出するデザインは、カジュアルなスタイリングとの相性も抜群だ。
TASAKIが誇るダイヤモンドのノウハウを駆使した、前衛的なハイジュエリー
日本で唯一のダイヤモンドのサイトホルダーであるジュエラーのTASAKI。その高い技術力を示すのが、独自の「リファインドリベリオンカット」ダイヤモンドだ。
「世界的に見ても、自社でダイヤモンドをカットするジュエラーは珍しい。その高い技術を用いて、ダイヤモンドの使い方でも何か新しいことに挑戦したかった。そこで思いついたのが、独自の『リファインドリベリオンカット』。誰もが思い浮かべるラウンドブリリアントカットを逆さにしたようなカットで、ダイヤモンドのきらめきを最大限に引き出すだけでなく、デザインの独創性も際立たせたんだ」(タクーン・パニクガル)
TASAKIの創業60周年を記念し、2014年にはハイジュエリーネックレス「リファインド リベリオン スプレンディッド」を発表。あこや真珠の柔和な光沢と、ダイヤモンドのドラマティックな輝きが見事なコントラストを描くこちらの作品は、ハイジュエリーでありながら、デイリーにも使えるような軽やかさがタクーンらしいモダニティを体現している。
デイリー使いからウェディングまで、「TASAKI COLLECTION LINE」のおすすめジュエリー5選
不朽の名作リングは、ファースト・パールにぴったり
タクーンによる「TASAKI COLLECTION LINE」の中でも、最もアイコニックなクリエイション。直線的なバーと、有機的なパールが生み出す大胆なコントラストがインパクトを演出する。
「上から見るとパールの珠が整然と並んでいて、横から見るとパールの円とリングの円が幾何学的なコンポジションを生み出している。360度どこから見ても美しいバランスを追求したかったんだ」(タクーン・パニクガル)
定番の一粒ピアスに、ラグジュアリーな遊びを潜ませて
タクーンならではのツイストを利かせた一粒ピアス。洗練、そしてアンチ正統派というテーマのもと、クリエイトされた名品だ。
「このクリエイションのテーマは、隠れたラグジュアリー感。友人であるデザイナーが、ダイヤモンドのテニスネックレスを、裏表逆さにして着けていたことにインスパイアされたんだ。一見するとクラシックなパールのイヤースタッズに見えるけど、後ろには『リファインドリベリオンカット』のダイヤモンドがチラリと見える。もちろん、ダイヤモンドを表にして着けることもできるよ!」(タクーン・パニクガル)
パンクスピリットを感じるリングを、スタイリングのスパイスに
TASAKI独自配合のSAKURA ゴールドの柔らかな色味が、あらゆるスキントーンを美しく見せてくれるリング。この他にイエローゴールドやホワイトゴールド、そして新作ではダイヤモンドを取り入れたデザインも。
「『デインジャー』シリーズで最初にデザインしたのがこのリング。まるで牙が指を包み込んでいるように見えない? たとえデザインがアヴァンギャルドだとしても、パールならではのエレガントさも残してるんだ」(タクーン・パニクガル)
パールとダイヤモンドを組み合わせたタイムレスなリングは、ブライダルにもぴったり
洗練されたデザインの「バランス」シリーズは、エンゲージメントリングとしてもおすすめしたい。パールとダイヤモンドが並ぶデザインは、ダイヤモンドのソリテールリングとは一味違うモダンな驚きを演出してくれる。
「僕は自分でジュエリーを買うのが好きだけど、もし誰かの特別な日のパートナーに僕のジュエリーを選んでもらえたら、そんな幸せなことはないね。『バランス』シリーズは、シーンを問わず着けられるものばかりだから、是非ジュエリーボックスにしまっておかず、毎日着けてもらえたら嬉しいな」(タクーン・パニクガル)
円熟のモダニティとエレガンスを宿した、モードなパールネックレス
ベーシックを一通り揃えた玄人には、タクーンならではのサプライズに満ちたクリエイションを。白蝶真珠と黒蝶真珠を半分にスライスし、ダイヤモンドをセットしたバーで繋げた独創性溢れるネックレスは、スタイルを確立した大人にこそ相応しい。
「あこや真珠や白蝶真珠だけでなく、ミステリアスな黒蝶真珠にも惹かれるね。バロックパールを使ったハイジュエリーを発表したこともある。真珠のエキスパートであるTASAKIのノウハウをもっと吸収して、まだ誰も見たことのないジュエリーを作りたいと日々試行錯誤しているよ」(タクーン・パニクガル)