2024.11.11

【カルティエ】【ティファニー】【TASAKI】など、タイムレスに輝くジュエリー&ウォッチ

大切なジュエリーと時計の美しさを、永遠に心の中にとどめておけたなら……。時を超えて読み継がれる文学作品の中に、宝石や時にまつわる表現を見つけたならば、私の宝物は一生の輝きを得るはず。

大切なジュエリーと時計の美しさを、永遠に心の中にとどめておけたなら……。時を超えて読み継がれる文学作品の中に、宝石や時にまつわる表現を見つけたならば、私の宝物は一生の輝きを得るはず。

シャルル・ボードレール『悪の華』

ティファニー タイタン by ファレル・ウィリアムス クラスプ ネックレス ボーン カフ
「ティファニー タイタン by ファレル・ウィリアムス」クラスプ ネックレス〈YG、ダイヤモンド〉¥5,995,000・「エルサ・ペレッティ™」ボーン カフ (ラージ)〈YG〉¥5,830,000/ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク(ティファニー) ドレス¥159,500/コロネット(フォルテ フォルテ)

金属と珍しい石に光り輝くこの世界は私の魂を恍惚にかし、音が光に混り合う物のすべてを、私は無我夢中に愛する。

(ちくま文庫) p.326より

ティファニーのジュエリーに込められた反骨心や官能性は現代の女性が生き抜くマインドに必要なもの。ときには、『悪の華』に描かれているように、それまでに得た固定観念や道徳観を越えていくような大胆さを携えて身につけたい。そぎ落としたスタイルにこそ、パワフルに輝く相棒になるはず。

吉田健一『時間』

シャネル プルミエール カフ 時計
時計「プルミエール カフ」〈SS(ゴールドプレート)、ブラックレザー、クォーツムーブメント〉¥1,826,000〈数量限定〉/シャネル トップス¥42,900/アマン(INSCRIRE)

一般に我々は過去、現在の観念から時間の経過というものを縦に考えることに馴れていて不断の変化ということからすればそれが縦であることに間違いはなくても、又それにも拘らずこの縦横の区別が多分に曖昧な性質のものであることも認めて置いてそれならばこれを縦でなくて横に、或は更に曖昧な言い方を敢てして同一の平面にあるものと見ることは出来ないものだろうか。

(講談社文芸文庫) p.229-230より

香水「シャネル No5」のボトルストッパーに用いられている八角形のケースとブラックレザーを編み込んだゴールドのチェーン。象徴的なディテールを組み合わせたカフ型のジュエリーウォッチが誕生した。時計のようでいて、ブレスレットでもある自由さは吉田健一が小説で書いた、時間へのしなやかな解釈とも一致する。連綿とつながる時間の流れを意識してみることで、視野が広がっていく。

ジョン・キーツ『エンディミオン』

カルティエ グラン ドゥ カフェ ネックレス
「グラン ドゥ カフェ」ネックレス〈YG、WG、ダイヤモンド〉¥1,663,200/カルティエ カスタマー サービスセンター(カルティエ)

美しきものはとこしえに歓びである。そのめでたさはいや増すばかり、それが無に帰することは絶えてなく、常に吾らがため寝間を静粛に保ち 眠りをばき夢と健康と安息もて満たしやまない。

岩波文庫 p.21より

映画『メリー・ポピンズ』(’64)で引用されるなど普遍的な美と愛について描写したキーツの物語詩は、宝石を目の前にしたときのときめきと重なる。カルティエの「グラン ドゥ カフェ」は上質なイエローゴールドの地金でコーヒー豆を表現。ふっくらとしたフォルムが目を引くカルティエの名品ジュエリーを眺めながら、自然美の奥深さに想いを馳せて。

エリエット・アベカシス『30年目の待ち合わせ』

パテック フィリップ TWENTY〜4 ウォッチ
「TWENTY〜4」ウォッチ〈25.1×30㎜/RG、クォーツ式、RGブレスレット〉¥7,540,000/パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター(パテック フィリップ) ブラウス¥97,900・スカーフ¥42,900/コロネット(フォルテ フォルテ)

もとめ認めあうまなざし——激しく惹かれあう魂。こんなにも魅了されうっとりし、ほとんど驚いてすらいた。初めて彼と会っているような気がした。こころの奥をのぞいてみた。ふれたらやけどしそうなくらい彼をもとめていた。

知りあって三十年。本心を口に出せるようになるまで三十年。(中略)疎遠になっていた歳月は秘められた愛の歳月、それが今日、広場で彼に見つめられたとたん幕をおろし、三十年にわたる夢と願望がのようにほとばしって大海となり、ふたりをへだてる壁は彼の腕にふれられるや倒壊し、今回は不注意からふれたのではなかった。このなにげないしぐさで圧倒的な幸福感がわきあがり、生まれて初めて生きていると実感した。
早川書房 p.148-149より

若き日の恋の記憶のようにエモショーナルな気持ちに寄り添ってくれるのはバラ色の時計。定番の「TWENTY〜4」はローズゴールドのブレスレットや落ち着いたパープルの文字盤など、ロマンティックかつマチュアな魅力にあふれた名品だ。長く心の内に秘めたラブストーリーがある日突然動き出す、そんな刹那的な時間を慈しみたい。

グザヴィエ・ド・メーストル『部屋をめぐる旅』(「部屋をめぐる夜の遠征」)

フランク ミュラー ロングアイランド プティ カラードリームダイヤモンド ウォッチ
(女性)「ロングアイランド プティ カラードリームダイヤモンド」ウォッチ〈25×18㎜/K18PG、ダイヤモンド、クォーツ式、クロコダイルストラップ〉¥6,688,000/フランク ミュラー ウォッチランド東京(フランク ミュラー) トップス¥36,300/ハルミ ショールーム(ヴェニット) (男性)キャップ¥36, 300・マフラー¥64,900/コロネット(フォルテ フォルテ) プルオーバー¥126,500/イザ(ボッター)

半端にしか愛したことのない者は、恋とか愛とかいった強烈な感情のうちには幾度か長い幕間があるものだと言うが、恋人の傍で過ごす一日はいつも短かく、会話と同じくらい沈黙もまた味がある。

(幻戯書房) p.119より

想像力あふれる『部屋をめぐる旅』を読むと、ほんの些細な出来事でも視点を変えれば、色鮮やかに感じられるきっかけになる。たとえば恋人と過ごす時間に起こる駆け引きや、もどかしさ、それらのひとときは特別で、人生の糧になっていくもの。色とりどりの喜びを象徴するかのようなカラフルな文字盤の時計をまとって、一瞬一瞬を大切に過ごしたい。

三島由紀夫『女神』(「蝶々」)

ヴァン クリーフ&アーペル ラッキー サマー」スターフィッシュ クリップ
「ラッキー サマー」スターフィッシュ クリップ〈RG、レッドジャスパー〉¥808,500/ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク(ヴァン クリーフ&アーペル)

その白い手は、卓の上に軽く、しかし何か豊かな感じに置かれていました。そこに私は優雅なのをもったサファイヤのを見ました。青い宝石、紺碧の宝石。……海の宝石。

──そう考えて、私はある迷信じみた強い印象にぶつかりました。

これが海だったのだ。これが私とあなたとの間の海だったのだ。このしい宝石の魔力が、あなたと私とを隔てたのだ。……

(新潮文庫) p.204より

テラコッタ色に艶めくヒトデのクリップはエネルギーに満ちあふれた海を象徴するモチーフ。薄い縞模様が浮かび上がるレッドジャスパーの石とリズミカルなローズゴールドの縁取りも鮮やかだ。ある男が思い描いた理想の女性をつくり出そうとする短編「蝶々」にも海は永遠の美への思いをかき立てる象徴として表現される。魅惑的な宝石の虜になる甘美さは何にも替えがたい。

石沢麻依『月の三相』

IWC ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー 42 ウォッチ
「ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー 42」ウォッチ〈42.4㎜/K18レッドゴールドケース、自動巻き、アリゲーターストラップ〉¥5,450,500/IWC ジャケット¥126,500(リンペルメアビレ)・シャツ¥47,300(バルバ ナポリ)/コロネット 帽子/スタイリスト私物

フランクは若さと美しさが結びつく顔を必要とはしていなかった。彼が求めたのは変容であり、時間の経過に従い移ろうものだった。(中略)フランクは、重なり合う時間の浸食を思い描く。弱さも脆さも刻んだ身体を、皺の目立つ手の時間の跡を、眼差しや指は感触として記憶し始めていた。

(講談社) p.190より

サイエンスフィクション的な時間の世界が描かれる『月の三相』。主人公のフランクは時の経過を記録し、老いていく自分を受け入れる。月の表と裏や、満ち欠けを通した時間の流れへの想像力は私たちにさまざまな問いを投げかけてくるよう。永久カレンダーの技術を駆使し、正確性を誇るIWCの機械時計の文字盤にはムーンフェイズが現れる。精密な月の周期を知ると、心も穏やかに。

宮本 輝『ドナウの旅人』

TASAKI リンケージ イヤリング ペンダント
「リンケージ」イヤリング〈WG、あこや真珠、ダイヤモンド、タンザナイト、アクアマリン〉¥3,300,000・ペンダント〈WG、あこや真珠、ダイヤモンド、ブルージルコン〉¥1,980,000/TASAKI ドレス¥242,000(ヌメロ ヴェントゥーノ)・ブラウス¥83,600(コート)/イザ

「賢過ぎる女も、それに愚か過ぎる女も、人生を劇のように生きられないわ。でも、それが楽しい劇だろうと哀(かな)しい劇だろうと、平凡な劇だろうと、劇のない人生に真のしあわせなんかありませんよ。そして劇は偶然に訪れたりしないわ。さあ、そろそろ準備をなさい。忘れ物はない?」

(新潮文庫) p.116-117より

若い恋人と逃避行した母とそれを追う娘。国境を越える二人の旅はどこにたどり着くのか? 小説『ドナウの旅人』に描かれる、母娘の劇的な物語を読み進めると、まるで舞台を観ているような感覚に誘われる。ダイヤモンドとパールのフレームが目を引く「リンケージ」のジュエリーは私たちの人生を特別な舞台であるかのように切り取る。

朝吹真理子『TIMELESS』

オメガ コンステレーション メテオライト ウォッチ
「コンステレーション メテオライト」ウォッチ〈28㎜/YG、ダイヤモンド、クォーツ式、YGブレスレット〉¥4,257,000/オメガお客様センター

壺の底にまだ私たちはいる。細い月も雲のなかに消えたのかいつのまにかいなくなっている。私たちはくらいものになってきている。アミのつけているセイヨウネズとアンゼリカの香りが、砂糖とカルダモンのような香りへと移っていた。その甘い香りが動作によって何気なく運ばれてくる。それだけ時間が経っているということだった。

(新潮社) p.25より

時間は層のように積み重なることもあれば、瞬時に移り変わるときもある。あらゆる作家たちが、自らの言葉で表現してきたが、作家の朝吹真理子の場合も唯一無二の世界観で書き上げた。『TIMELESS』に描かれている時間はつかみどころのない自由自在な存在。魅惑的な香りに誘われているうちに、いつの間にか時が移ろっているのだ。捉えようのない時間を少しでも捕まえようとするならば、正確に動き、美しく輝く星から着想を得た時計「コンステレーション」を。隕石を使用したダイヤル部分に、時の果てしない奥行きを感じたい。

シェイクスピア『ロミオとジュリエット』

ダミアーニ MIMOSA ピアス
「MIMOSA」ピアス〈WG、ダイヤモンド〉¥5,357,000/ダミアーニ 銀座タワー(ダミアーニ) ジャケット¥126,500/ハルミ ショールーム(AKIRANAKA) シャツ¥39,600・タートルネックニット¥28,600/POSTELEGANT

大空中の、ことにも美しい二つの星が、何か用事にでも呼ばれてって、帰るまで、代りに彼女等の星座にいていてもらいたいと、姫のあの二つのに頼んでいるのだ。もしあの瞳が、大空に輝いて、代りに星どもがあの顔に輝くとしたらどうだろう?ちょうど日の光の前のランプのように、あの姫のの美しさは、それらの星どもをさえ恥じ入らせるに相違ない。天に挙げられたあの瞳は、大空一杯に光をみなぎらせ、ために小鳥たちも歌声をあげ、夜を昼とうかもしれぬ。おお、あの片手に頰をせかけた姿!かなう願いなら、いっそあの手を包む手袋になってみたい、そしてあの頰に触れていたいのだ!

(新潮文庫) p.73-74より

古典の名作からは、愛する人への惜しみない賛辞を天体になぞらえた一節を選びたい。美しいジュリエットの横顔を思い浮かべ、そこに星空や太陽の輝かしさを見出すロミオのロマンティックな表現は、いつの時代にも胸をときめかせる。無数の星が女性の横顔に流れていくようなダイヤモンドのロングピアスはそんな気分にもフィットするはず。

宝石&腕時計と 合わせて読みたい10作

ジュエリーと時計、その比類なき美しさや神秘性に通じる精神や表現を含む作品を選出。書評家の江南亜美子さん、服飾史家の中野香織さん。二人のエキスパートが推薦する計10冊を堪能したい。

江南亜美子さんプロフィール画像
書評家江南亜美子さん

書評家・京都芸術大学准教授。新聞、文芸誌、ファッション誌などで、おもに日本の小説と翻訳小説を評する。共著に『世界の8大文学賞——受賞作から読み解く現代小説の今』(立東舎)など。

中野香織さんプロフィール画像
服飾史家中野香織さん

ファッションの中でも、ラグジュアリー領域やイギリスのロイヤル文化を中心に研究。雑誌での連載のほか、『「イノベーター」で読む アパレル全史』(日本実業出版社)など服飾史にまつわる著書多数。

『ボードレール全詩集1 悪の華』 シャルル・ボードレール著 /阿部良雄訳

『ボードレール全詩集1 悪の華』 シャルル・ボードレール著 /阿部良雄訳
¥1,210/ちくま文庫

「ボードレールの代表作にして、19世紀半ばのフランスに衝撃を与えた問題作。一部が反道徳的であるとして削除を命じられたことも。生誕から死までを官能的、退廃的に表現し、当時の道徳観に正面から挑んでいます。社会の裏側に潜む美を鋭く切り取る詩人のまなざしは、現代を生きる私たちの心にも響くものがある。タブーに挑戦し、芸術の限界を押し広げたという意味で、文学史に輝く古典です」。(中野さん)

『時間』 吉田健一著

『時間』 吉田健一著
¥1,980/講談社文芸文庫

「外交官の父・吉田茂に従い、欧州に学んだ吉田健一。日本という枠組みの外から世界を見続けた彼は、晩年繰り返し、"時間はただ経過していく"と述べました。時間が不可逆的なのは当然ながら、地層のように降り積もっていく平面の時間をイメージせよと。現代の文明や私たちが生きる"時間"自体を考察する本書を読めば、縮こまった背すじが伸びるように、精神の自由が呼び起こされます」。(江南さん)

『対訳 キーツ詩集』 ジョン・キーツ著/宮崎雄行編

『対訳 キーツ詩集』 ジョン・キーツ著/宮崎雄行編
¥792/岩波文庫

「ロマン派詩人ジョン・キーツの詩集に収録される、物語詩『エンディミオン』。ギリシア神話を題材に、羊飼いの青年エンディミオンが夢の中で出会った月の女神セレネーを探す旅を描く。豊かな自然描写と官能的な表現を織り交ぜながら、美と愛、そして人間の魂を探求する。詩の冒頭は、映画『メリー・ポピンズ』(’64)や『夢のチョコレート工場』(’71)などの作品で引用される有名な一節です」。(中野さん)

『30年目の待ち合わせ』 エリエット・アベカシス著 /齋藤可津子訳

『30年目の待ち合わせ』 エリエット・アベカシス著 /齋藤可津子訳
¥2,310/早川書房

「1989年のパリ、20歳のアメリとヴァンサンは恋に落ちる。だが待ち合わせの日のすれ違いによって、運命が暗転する——。ままならぬ恋を胸に、遠い地でそれぞれ家庭を持った彼らは、30年もの隔たりののちに再会を果たします。王道的な筋書きながら、人生の重みを考えざるを得ません。初恋の相手と、長く現実的に向き合ってきた家族、どちらを選ぶのが幸せか。時間を超越する恋の強さに感動」。(江南さん)

『部屋をめぐる旅 他二篇』 グザヴィエ・ド・メーストル著 /加藤一輝訳

『部屋をめぐる旅 他二篇』 グザヴィエ・ド・メーストル著 /加藤一輝訳
¥3,190/幻戯書房

「18世紀末、世界周遊とその探索に人々が夢中だったころ、メーストルは42日間かけて自分の部屋を旅し、記録するというユーモラスな書物『部屋をめぐる旅』を書きました。いくつかの続編のうちひとつが本作。自分にとって身近な室内の細部から、愛の記憶、星々の美しさ、自分という存在についてまで。恋人と一緒にいるときの倦怠も含んだ時間の流れは、いつの世も同じく特別です」。(江南さん)

『女神』 三島由紀夫著

『女神』 三島由紀夫著
¥781/新潮文庫

「『蝶々』はこの本の中の短編。プッチーニのオペラ『蝶々夫人』と、"マダム・バタフライ"と呼ばれた日本人オペラ歌手、三浦環がモチーフとなっています。主人公が戦地に赴いている間に人妻となっていた女性に宛てた手紙と、二人の再会後の出来事が物語の主軸です。登場する女性たちの儚い命を蝶々のイメージに、そして人と人との距離感を海の情景に重ねながら、喪失の美学を耽美的に描いています」。(中野さん)

『月の三相』 石沢麻依著

『月の三相』 石沢麻依著
¥1,870/講談社

「デビュー作で芥川賞を受賞した気鋭の作家の、二作目の長編小説。旧東ドイツに位置する街では、10歳になると"肖像面"を作り、時間の経過による変化を記録する習慣を持つ。幻想と現実、過去と現在を行き来しつつ、"不在の肖像"にまつわる謎が解明されていくストーリー。美とは何か、記憶とは何かと、根源的な問題がテーマに。時を刻むという抽象的イメージを、月と重ねた物語世界が美しいです」。(江南さん)

『ドナウの旅人(上)』 宮本 輝著

『ドナウの旅人(上)』 宮本 輝著
¥935/新潮文庫

「人生の岐路に立ち、ドナウ河畔への旅に出る50歳の絹子。娘の麻沙子が後を追い、ドイツから東欧へと続く壮大な旅が幕を開けます。異国の地で出会う4人の男女の複雑な関係の中に、文化の違いを超えた人間の本質、そして母娘の絆が描かれる。深く繊細な思索に裏づけられた自己探求と再生の物語。ヒロインたちと心の旅をともにする過程で、人生に新たな視点をもたらす味わい深い名言に出合えます」。(中野さん)

『TIMELESS』 朝吹真理子著

『TIMELESS』 朝吹真理子著
¥1,650/新潮社

「融通無碍な語りで読み手を魅了する、著者3冊目となる小説。恋愛感情を持たずに入籍した、高校の同級生、うみとアミ。現代の麻布台で徳川家光の母、江姫の火葬時の香木を焚きしめる匂いを嗅いだり、人間とクラゲの物理的隔たりを超越したり。不思議な物語世界の中に、先立つ時間と到来する時間の両方を含んだ"永遠"が立ち上がってくるよう。酔いにも似た、自在に伸縮する時間感覚が味わえます」。(江南さん)

『ロミオとジュリエット』 シェイクスピア著/中野好夫訳

『ロミオとジュリエット』 シェイクスピア著/中野好夫訳
¥572/新潮文庫

「中世のイタリア・ヴェローナを舞台に、敵対する名家の子どもたち、ロミオとジュリエットの悲恋を描いた古典の名作。時代を超えた普遍的な魅力を持ち、21世紀においてなお映画化されたり翻案されたりしている。想像力を刺激するような、ロマンティックな比喩表現を多数含む本作。中でも中野好夫訳は、原文の詩的な要素や情感を損なうことなく、流麗で洗練された日本語を味わうことができます」。(中野さん)

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