ヴァンクリーフ&アーペルのコレクション「アルハンブラ」が、今再び注目を集めている。誕生から50年以上を経てなお愛され続ける不朽の名作の歴史とストーリー、そして最新カタログをご紹介。

【ヴァンクリーフ&アーペル】「アルハンブラ」の魅力に迫る！世代や性別を超えて愛される理由とは？【2025年最新カタログ】

世代や性別を越えて人々を虜にする「アルハンブラ」

四つ葉のクローバーをモチーフにしたアイコニックなデザインで知られるヴァンクリーフ&アーペルの「アルハンブラ」。1968年の誕生以来、幸運の象徴として世界中で愛されてきたアイコンジュエリーは、今日ではメンズセレブリティの間でも注目を集めている。2022年頃から兆候が見えはじめたトレンドの火付け役は、BTSのJ-HOPEを筆頭に、ラッパーのオフセットやドレイクなど多岐にわたる。近年では“幸運を呼ぶお守り”として、スポーツ選手の間でも人気に火がつき、2024年のパリ五輪では、香港のバドミントン選手タン・チュンマンが着用したことでも話題を集めたほか、ロサンゼルス・ドジャースのミゲル・ロハス選手をはじめメジャーリーガーの間でもファンが急増している。

ヴァンクリーフ＆アーペル　アルハンブラ　サヴォワフェール　職人技 — 個体差のあるマザー・オブ・パールやオーナメンタルストーンを美しく仕上げるのは、“マンドール（黄金の手）” と呼ばれる熟練の職人たち。ギヨシェ彫りから、繊細なゴールドビーズのバフがけ、そしてアッセンブリー（組み立て）に至るまで、ヴァンクリーフ&アーペルが誇るサヴォアフェールが随所に生きる。

メゾンの歴史に伝わる、幸運のモチーフの伝説

「アルハンブラ」が誕生する前、ヴァンクリーフ&アーペルの歴史の中で四つ葉のクローバーが登場したのは早くも1906年のこと。創業者エステル・アーペルの甥、ジャック・アーペルはしきりに「幸運になりたければ、幸運を信じなさい」と口にし、メゾンのクリエイションにおいて幸運は普遍的なテーマとなった。

ヴァンクリーフ＆アーペル　アルハンブラ　歴史　デザイン — ジョン・グリーンリーフ・ウィッター作とされる詩《Don’t Quit》に添えられた、四つ葉のクローバー© Van Cleef & Arpels

そんなジャック・アーペルは、ジェルミニー・レヴックに構えた自宅の庭で四つ葉のクローバーを見つけては摘み取り、決して希望を失ってはならないというメッセージを込めて、英詩の《Don’t Quit》に添えて同僚へ贈ったという。

ヴァンクリーフ＆アーペル　アルハンブラ　歴史　デザイン画　アーカイブ — 四つ葉のクローバーを模したダイヤモンドのペンダントが描かれた作品カード。1948年。（ヴァンクリーフ＆アーペルアーカイブス）© Van Cleef & Arpels

メゾンの新たなクリエイティビティにスポットライトを当てた「アルハンブラ」

「アルハンブラ」が誕生したのは1968年。当時ヴァンクリーフ&アーペルといえば、卓越した宝石のカッティングや、1933年に特許を取得した「ミステリーセット」に代表されるジェムセッティングの技術、そして繊細でありながら大胆なデザインのハイジュエリーで広く知られており、世界中の王室や著名人から寵愛されていた。

ヴァンクリーフ＆アーペル　アルハンブラ　アーカイブ　歴史 — パリ・ヴァンドーム広場22番地に構える「ラブティック」の広告。1977年6月（ヴァンクリーフ＆アーペルアーカイブス）© Van Cleef & Arpels

そんな中登場したのが、当時まだハイジュエリーに用いられることが珍しかった、コーラルやラピスラズリ、マラカイトといったオーナメンタルストーンを大胆に取り入れた「アルハンブラ」。グラフィカルなモチーフが連なるモダンなデザインは、1960年代から1970 年代にかけて起きたファッションの進化と時代の精神を捉え、毎日身に着けられるジュエリーという新たな提案でジュエリーの歴史に多大な影響を与えた。モナコ公妃グレース・ケリーや、ミシェル・ドヴィル監督作品『怒りの羊（原題：Le mouton enrage）』の中で主演のロミー・シュナイダーが「アルハンブラ」のネックレスをまとう姿は、普遍的なエレガンスを象徴するアイコンとして今に至るまで広く知られている。