先日、ひょんなことからピアノを弾くことがあった。自慢ではないが、3歳の頃から練習していて、コンペでも何度か優勝した。プロレベルには到底及ばないが、先生からは専門の道に進むべきだと言われていた。でも今となっては、ファッションの道に進んで良かったと思っている。何事も、趣味くらいがちょうどいい。ツェルニー漬けの日に戻るなんて、まっぴらゴメンだ。
とはいえ、「好きなことで生きていく」ことが良しとされる昨今。仕事と趣味の境界線はこれまでにないほどフラットになった。会社員でありながら、アーティストとして成功し、二足のわらじを履く人。モデル、インフルエンサー、DJなど様々な武器を自由自在に操るマルチクリエイター。一つの道を極める職人が廃れることはないが、引き出しを増やせるのであれば、それに越したことはない。
プラダがファインジュエリーをスタートする、というニュースを聞いたのが今年に入ってからのこと。象徴的なロゴのモチーフをはじめ、ロボットやバナナ、ギター、ラビットなど、チャーミングなモチーフを、ミニマルなデザインで解釈したジュエリーが発表された。しかも用いられるのは、RJC(責任あるジュエリー協議会)の認証サプライヤーから調達18Kゴールドとダイヤモンド。デザインだけでなく、サステイナビリティまで配慮したクリエイションだ。
プラダにとってファインジュエリーは “趣味” なのか。否、その洗練されたデザイン、そしてエシカルゴールドとダイヤモンドを用いたクリエイションは、アイテム数こそ多くないものの、“引き出し” を満たすには十分な作品だ。
モードラバーなら是非チェックして欲しいのは、ギターをモチーフにしたアシンメトリーなピアス。イエローとホワイト、2色のゴールドを組み合わせたデザインは、個性的でありながら、どこかアンティークジュエリーのようなタイムレスな佇まいを放つ。
プラダ クライアントサービス
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art work: Tomohiro Muramatsu〈Sekikawa Office〉 text:Shunsuke Okabe