エディターとして撮影に臨む時、まず最初にやることがインスピレーション探し。本棚に山積みになった雑誌のホコリを払い、床一面に並べる。そこから気になるページを切り取って、ヒントを探す。自分が知らなかった世界へと案内してくれる雑誌は、いつになっても魅力的だ。
とはいえ、今日日ある程度のリサーチは文明の利器、別名スマホで十分。インスタグラムの保存機能を使えば、「動画撮影 ムードボード」で簡単に投稿を集めることもできるし、「ウィッシュリスト」を集めれば後で振り返る時も簡単。
さて、SNSが発達すると同時に、それまで知らなかった新しい才能を発掘する機会も増えた。先日インスタグラムを眺めていて運命的に出会ったジュエリーブランド、その名も Persée(パーセー)。デザイナーのナワル・ラウイは、ファベルジェやオーデマ・ピゲといった、ラグジュアリーウォッチブランドでマーケティングを担当してきた経歴を持つ。
2017年にデビューしたパーセー。ギリシャ神話に登場するペルセウスのフランス名を冠に持つこのブランドは、その名のごとく神話や、古代芸術に見るモチーフを、モダンに解釈したクリエイションで人気を博し、デビュー1年目にして伝説のセレクトショップ、コレットとのコラボを実現した。
SNSで気になったら、次のミッションはオンラインパトロール。ファーフェッチで見つけたピアスは、アンリ・マティスのポートレートをモチーフに、遊び心溢れるミニマルなデザインに仕上げている。
ファッション業界に身を置いていると、新しいブランドを取り入れるにも一苦労という人も少なくない。経歴、過去のコレクション、拠点地からセレブリティクライアントまでリサーチして、自分の価値観に合うと感じたら初めてトライする。その探究心はもちろん素晴らしいが、たまには気負わず、「SNSで偶然見つけた」ブランドを取り入れてみるのも新鮮かもしれない。
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art work: Tomohiro Muramatsu〈Sekikawa Office〉 text:Shunsuke Okabe