ジュエリーの世界におけるトレンドセッター、ヴィクトワール・ドゥ・カステラーヌの才能を疑う人はまずいないだろう。その先進的な美的感覚で、これまでに生み出してきたクリエイションは数知れず。ラージストーンに、色とりどりのエナメルを合わせた “ディオレット” のリングは、いつか手に入れたいと昔から憧れている作品だ。
ハイジュエリーはおいそれと手が出ないが、ヴィクトワールのクリエイティビティをより身近に感じられる作品にも目を向けてみよう。2005年に発表されたディオールのアイコンジュエリーのひとつ、“ウィ”。そのストーリーは実にユニークで、ポストイットに手書きで書かれた文字、“Oui(肯定を意味するイェス)”に着想を得てデザインされたという。フィアンセからのプロポーズへの回答、とも取れるが、コレクションに込められたメッセージはそれだけではない。自分自身を肯定すること、それはすなわちオノ・ヨーコの “YES” に通づるポジティビティの礼賛だ。
さて、このコレクションに新たに仲間入りを果たしたジュエリーが、これまたユニークなのだ。先のメッセージに続くような “Je t’aime(フランス語で愛してる)” の筆跡をそのままゴールドで模った、ダブルフィンガーリング。手の甲を覆う大胆なデザインに、2石のダイヤモンドがリュクスにキラリ。まるで抽象的なオブジェのようなデザインが、手元をアーティスティックに彩る。
クリスチャン ディオール
http://www.dior.com/
0120-02-1947
art work: Tomohiro Muramatsu〈Sekikawa Office〉 text:Shunsuke Okabe